じいちゃん
明日夢
明日夢
明日夢
じいちゃん
じいちゃんの言葉に涙が溢れる
うまく言葉にできなくて
その代わりに涙ばかりが出てきてしまう
そんな俺の頭をじいちゃんは優しく撫でてくれた
じいちゃん
じいちゃん
地下室の扉を閉め
じいちゃんが特注の鍵で施錠する
それはじいちゃんにしか扱えない特殊な鍵で
防犯上の理由から
本来は家族であっても施錠や解錠に立ち会うことはできない
でも今日は俺の目の前で鍵を閉め始めた
ガチャガチャと音を立てながら鍵を閉めるじいちゃんの姿に
驚きを隠せなかった
いつも頑なに人に見せなかった施錠を俺の目の前で……
明日夢
じいちゃん
明日夢
明日夢
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
じいちゃん
そう言ってじいちゃんは笑った
遮音性が高く頑丈な地下室の扉と違って
階段の先にある廊下への出口は普通の扉で鍵もない
この扉を空けると右に玄関があり
目の前には二階に続く階段
左に延びる廊下は居間に繋がっていて
いつもおばあちゃんが料理をしたりテレビを見たりしている
立派な暖房機が設置してあって凄く居心地がいいけど
居間の方にはたまにしか行かないし
俺はじいちゃんのいる地下室も大好きだ
扉の脇の壁には受話器が取り付けられていて
地下室に設置された電話と繋がる仕組みになっている
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
じいちゃん
明日夢
おばあちゃん
おばあちゃん
心配そうなおばあちゃんの顔
きっと酷く泣き腫らした顔をしているんだろう
鏡があれば見てみたいもんだ
じいちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
じいちゃん
おばあちゃん
ソファに座って落ち着こうと思ったけど
また涙が溢れてしまって
直ぐにじいちゃんがタオルを持ってきてくれた
明日夢
じいちゃん
おばちゃんに聞こえないようにそっと耳元で囁く
答える前におばあちゃんがポットを片手にキッチンから戻ってきた
おばあちゃん
おばあちゃん
明日夢
おばあちゃんはまだ何も知らない
じいちゃんがタイムマシーンを作っていることも
そのタイムマシーンで俺が過去に飛んでいることも
だから事情を話したくても
どう話せばいいかわからなくて……
明日夢
明日夢
明日夢
じいちゃん
おばあちゃん
明日夢
明日夢
明日夢
明日夢
明日夢
過去の母ちゃんは幸せそうだった
でもきっと
真実を知ったら俺のことを諦めるかもしれない
そうなったら俺は消えてなくなって
父ちゃんと母ちゃんの記憶からも俺は消える
じいちゃんとおばあちゃん
友達や委員長の記憶からも消えてなくなる
母ちゃんを守るためには
ルールを破ってでも真実を伝えた方がいいのかも知らない
不意にそんな考えが浮かんだ
明日夢
おばあちゃん
おばあちゃん
明日夢
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
明日夢
おばあちゃん
おばあちゃん
愛紗
愛紗
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
愛紗
おばあちゃん
愛紗
明日夢
明日夢
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
おばあちゃん
母ちゃんは全部わかってたんだ
俺が生まれてくることを
自分に何が起きるかを知っていたのかもしれない
それでも母ちゃんは俺を産んでくれた
全部知ってて
それでも諦めないでいてくれたんだ
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