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橘靖竜
340
るしゅ
都内某駅。
予定通りに例の女が電車を降りる。
時間きっかり。
今日も今日とて、薄汚い雌の匂いさせながら、女は駅を出る。
それを彼は追いかける。
駅を抜け、街に出て、人の気配のない河川敷脇の土手を歩く。
もう日は落ちてしまっており、当たり前だが周囲に人の気配はなかった。
本当ならば、街の中を歩いたほうが安全なのだろうが、彼女はこの道を使いたがる。
理由はいたってシンプル。
こちらのほうが家に近いから。
彼女と距離を置きながら、ゆっくりと後をつける。
さすがに街灯しかない河川敷脇の土手では、自分の気配を完全に消すことはできなかったか。
何かを感じたであろう彼女は振り返った。
身を低くしてやり過ごす。
大丈夫――この距離でならば見つからない。
女性
本能的にそう感じたのか、それとも目に見えぬ何者かに対する牽制なのか。
彼女はそう漏らすと、少しだけ歩く速度を上げた。
ここから河川敷脇の土手を抜けるまで、ほんのわずか数分。
彼は――ずっと忍ばせていたアイスピックを握りしめると駆け出した。
風の切る音を感じながら、しかし下半身のそれは興奮のあまり膨張していた。
女性
彼女が振り返ろうとするが、その瞬間には、握りしめていたアイスピックが、彼女の背中に突き刺さっていた。
ゆっくりと体にアイスピックが入り込んで行く感じ。
きっと、これが挿入なのであろう。
女性
女性
女性
パニックを起こしつつある彼女の口を手で塞ぎつつ、抜いたアイスピックを今度は腹部に突き刺す。
女性
またアイスピックを抜き、そして突き刺す。
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も!
殺人蜂
巷では、女性が鋭利な刃物らしきもので滅多刺しにされる事件が何件も起きていた。
そして、マスコミは彼のことをこう名づけ、毎日のように報道している。
殺人蜂(キラービー)と……。
気がつくと下半身が、しっとりとした温かさに包まれていた。
女性はぐったりとしたまま動かない。
無理矢理顔をこちらのほうへと向けさせて唇を奪った。
そして、女の口にいつものものを詰めると、土手の上から河川敷の茂みの中に蹴り落とした。
殺人蜂
殺人蜂
彼はそう言葉を投げかけると、アイスピックを荷物の中にしまう。
殺人蜂
殺人蜂
殺人蜂
誰に言うでもなく呟くと、殺人蜂は塾に連絡を入れる。
殺人蜂
殺人蜂
非現実から現実へと戻った彼は、スマホで連絡を入れると、そのまま夜の暗がりの中へと姿を消す。
これが、猟奇殺人鬼殺人蜂の5件目の犯行だった。
神座(かんざ)――。
この辺りでは有数の歓楽街。
その神座の通称【遊郭通(ゆうかくとおり)】に、ちょっとだけ場違いな格好をした男女の姿があった。
遊郭通は名前の通り、いわゆる殿方を相手にした風呂屋などが並ぶ通り。
そこにスーツ姿の男女の姿はいささか場違いだ。
ホテル通りと間違えて入ってしまったカップル……でも、少しばかり言い訳としては苦しい。
それもそのはず、彼らの目的は別のところにあるのだから。
縁
縁
彼女の名前は山本縁(やまもとゆかり)という。
神座署、捜査一課所属。
尾崎
尾崎
少し前を歩く、長い髪を結えた男は尾崎裕二(おざきゆうじ)。
彼もまた神座署、捜査一課所属。
すなわち、2人とも刑事である。
しかしながら――彼らの立場は少しばかり特殊だった。
尾崎
尾崎
縁
縁
縁
縁の言葉もそこそこに、尾崎は人妻ヘルスと書かれた看板の脇の道へと入る。
店舗に入る扉の脇には、エレベーターが。
尾崎はエレベーターのコンソールに、カードをかざした。
しばらくすると、エレベーターのドアが開く。
尾崎
尾崎に促されてエレベーターに乗り込む縁。
ドアが閉まり、エレベーターは地下へと降りて行く。
そう、気が遠くなるほどの地下へと。
縁
尾崎
尾崎
縁
尾崎
エレベーターを降りると、そこには細長い廊下が続く。
廊下を抜けると、大きな鉄扉があり、そこで見知った顔の男が姿を現した。
倉科
尾崎
尾崎
彼の名は倉科重道(くらしなしげみち)。
階級上は尾崎と縁の直属の上司となる。
そう、こんな地下深くの収監所。
倉科
倉科
尾崎
地下収監所であるアンダープリズンの入り口にて合流した3人は、そのまま重たい鉄扉を開ける。
すると、これまた警備服を着た男が姿を現した。
中嶋
中嶋
倉科
倉科
中嶋
中嶋
尾崎
倉科
中嶋
中嶋
倉科
中嶋
中嶋はそう言うと、拳銃を3丁取り出し、それぞれに手渡す。
中嶋
中嶋
中嶋
中嶋
拳銃を受け取ると、鍵は倉科が代表して受け取る。
倉科
中嶋
中嶋
中嶋に促されて、さらに奥へと進む。
するとそこには――これまた大きな鉄扉があった。
倉科
倉科
倉科
倉科
倉科は鍵を差し込み、そして、鉄扉を開ける。
その場には鉄格子があり、鉄格子の向こう側には、ベッドに腰をかける男の姿があった。
坂田
彼の名は坂田仁(さかたじん)――。
かつて九十九(つくも)殺しの異名を持ち、すでに死刑が執行されたはずの、凶悪猟奇殺人犯だ。
倉科
倉科
これは、捜査一課0.5係ーー通称ハンテンと呼ばれる刑事達と、凶悪猟奇殺人鬼が、狂気に満ちた事件と対峙する物語だ。
コメント
3件
新作早いなー