私はランド セル子、私の両親はいつも帰るのが遅く、私はいつも家でひとりきり。でも忙しい両親にそんな弱音を吐くことが出来ないままであった。
ランド セル子はひとでなんでも抱え込んでしまう子だった。今日は小学校の参観日である。
先生
はい、それでは、5時間目の授業を始めます!気をつけ!礼!
生徒
お願いします!
ランド セル子
お願いします。(ままもぱぱも来れないし、意味無いなぁ…。はぁ…。)
生徒
あっ!高坂!お前来てくれたんだ!
生徒
あ!ほんまじゃ!やっほ!
ランド セル子
?(え?高坂?誰?そんな苗字の人いないし…。)
先生
ちょっと!みんな?保護者の方々が来てくれていて喜ぶのはもちろんわかるけど、授業しっかりと受けてね?
生徒
はーい!
生徒
高坂!ちゃんと見てろよ?
ランド セル子
(高坂って人、ガキ大将ポジの子にあんな口のきき方されて嫌じゃないのかな?しかも、苗字呼びの家族って珍しすぎる…。まぁ、関係ないけどね…。)
高坂
よっし!君達!
ランド セル子
!?(いや!急になんか保護者の誰かが話し始めた!?)
先生
え?
生徒
おい!高坂!今じゅぎょーちゅうだぞ!大声出したらダメだって!
生徒
そうだよ!先生も困ってんだろ!
ランド セル子
(いや!例の高坂ってやつなんかい話しとったの!変な人だなぁ…。)
高坂
でも!俺が今から言うことは、参観日というものにおいて大切なことなんだ!皆さん!よく聞いてください!
先生
…?
生徒
…?
保護者
…?
ランド セル子
(えっ!?なんでみんな聞こうとしてんの!?止めろよ!)
高坂
えー、参観日というものはですね!とにかく!俺は楽しむものだと考えます!だって!せっかく両親が来てくれているのですから!
ランド セル子
!…。(ちょ…、両親って…、。)
生徒
おい!でも待てよ高坂!
高坂
なんだい?
生徒
両親来てない人だっているぞ?
高坂
あー、今からそれも言うところだよ。
ランド セル子
…。(そうよ!全員が来てくれるなんて大間違いだし!)
高坂
ご両親が来てない人だってもちろんいるさ。まぁそういう人こそ、参観日は楽しむべきだと思うんだ!
生徒
はぁ?何言ってんだ高坂!両親来てなくて楽しいわけねぇだろ!
生徒
そうだよ!
高坂
うん、だからだよ。
ランド セル子
は?
生徒
?セル子?どうしっ
ランド セル子
高坂さん、いってること、おかしいんですけど。
高坂
…、君は?
ランド セル子
今は名前よりも言わなきゃいけないことがあるんですけど?(なんか、腹が立ってしまう。)
高坂
なんだい?
ランド セル子
ずっとあなたの話黙って聞いてたけど、両親来てない人は楽しめない、だから楽しまなきゃいけない?何言ってるんですか!?どっちだよ!
先生
ランドさん?落ち着いてっ
ランド セル子
私っっ…、何言ってるかわかんないしっ!ほんっっっとにどっちだよ!?来てない人にとってはこの話っ、悲しくなるだけなんだけど!?
生徒
わっ、私も来てない!そうだよ!セル子ちゃんの言ってる通り、聞いてるだけで悲しくなっちゃうからやめてよ!
先生
みっ、みんな!落ち着いて!
保護者
まぁたしかにそーよねぇ、高坂君が結局何を言おうとしてるのかは分からないわよね?
保護者
そうねー…。
ランド セル子
私達を悲しませたいのあなたは!?ねぇ!?どうなの!?
高坂
人の話を最後まで聞いてくださいっ!
ランド セル子
っ…?
先生
?
生徒
?
保護者
?
高坂
俺が言いたいのはですねっ!つまりっ!楽しくない、つまらないっ、悲しいからこそっ!楽しさでその穴を埋めろと言っているのです!だから楽しくない時は楽しめと言ったのです!
ランド セル子
え?
生徒
あー!そーゆーことかぁ!
生徒
なるほどな!
先生
高坂君!ありがとう。
保護者
高坂君ってやっぱいいこと言うわねー!
保護者
見直しちゃったわ!
高坂
へへへっ。
ランド セル子
…。(そーゆー意味なの?でも…。)
高坂
ランドさん?だっけ?君もっ
ランド セル子
楽しむって…どうやって楽しめばいいんですか…?
高坂
え?あー。
ランド セル子
…。(多分、この人は楽しむ方法なんて知らない。だって、そんなこと考えないでいいくらい、きっとこの人は人生を楽しんでいるから。)
高坂
…。
ランド セル子
(ほら、やっぱりわからないんっ)
高坂
本当の気持ちを相手に伝えることかな。
ランド セル子
えっ…。(本当の気持ちを…つた…える?…。)
高坂
そうすればきっと楽しめる。俺はそう信じてる。
ランド セル子
…、そうか…、そうだったんだ…。
高坂
うん。…君みたいな子は特にね?
ランド セル子
…、答えてくれて…、ありがとうございました…。
高坂
あぁ、もちろんさ。
先生
あぁ、先生なんか泣けてきちゃった…、高坂君、ありがとうね。おっといけない、授業しますよ!
高坂
なんかみんな涙ぐんでいる?どうしてなのだろう?まぁいいか。参観日がみんなにとって楽しいものになるのなら。へへっ。
ランド セル子はこの日、手紙を書いた。それは、両親に向けてのものだった。少し、この子は親に甘えるという行為を覚えた。
因みに高坂はこの話を読んでわかるように、K・Yなところがある。