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並木 杏
強い風が髪を踊らせる。
額の汗を冷やす。
夏に近付いてきたものの、日々を"暑い"とは言い切れない。
並木 杏
そんなジメっとした廊下に、騒がしい声が追い打ちをかける。
女子A
女子B
女子A
女子B
女子A
女子B
モスキートーンは聞こえなくなった。
彼女らが去ったのか、黙ったのか、自分の耳の限界かはわからないが落ち着くことは出来そうだ。
並木 杏
ああいう類の人間には言っても無駄だろうということは猿でもわかる。
並木 杏
こうやって下に見てしまうのも、羨ましいからだろうか。
自分には、一緒に騒いで馬鹿してくれる友達も、優しく寄り添ってくれる友達もいない。
内気な自分が嫌になる。
そう考えていると、胸が苦しくなる。
自分じゃどうにも出来ないことが 明白であるからこそ苦しい。
細かく言えば、どうにかなる。
しかし、その勇気が出ないだけ。
自分で抱え込むことは慣れている。
慣れているけど、
苦しい。
先生
並木 杏
並木 杏
先生
慣れてるから。
先生
並木 杏
今日は一段と苦しい。
日々の疲れも溜まってきたのだろうか。
常に自粛を強いられる日々。
もう、体は限界なのかもしれない。
お母さん
並木 杏
家が自分をさらけ出せる唯一の場所、
お母さん
並木 杏
並木 杏
な、訳ではない。
いつ自分は本当のことを言える?
並木 杏
お母さん
並木 杏
"お父さんの分"
心臓が跳ねる。
お母さん
並木 杏
自分が先走りすぎてしまった。
普通に考えればそうだよね、と心の中で間違いを弁護する。
未だに、大好きだった父を"居ない"と認められない。
"父"と言われると"死"にすぐに結びつくものの、"疑"が即座に包み込む。
"本当にそうか?"と問いかけてくる。
お母さん
並木 杏
言葉に感情はない。
もう、寄り添う気持ちもとうに枯れている。
お母さん
心?
考えることが多すぎる。
もう、この身も心もバラバラ寸前だ。
涙が溢れ出る。
並木 杏
枯れ果てた感情が滲み出てきた。
けれど、これはもう……
限界。
何もかも、疲れた。
並木 杏
並木 杏
これを汚すとなると、すこし罪悪感がある。
けれどもう、後には引けない。
並木 杏
並木 杏
並木 杏
並木 杏
並木 杏
キラリと光る包丁に、一瞬懐かしい顔が映る。
感情が……溢れ出す。
並木 杏
並木 杏
並木 杏
並木 杏