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夏の影を追いかけて

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夏の影を追いかけて

第7話 - 届かない言葉

120

2025年04月01日

#一次創作

#ミステリー

#海

小月

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120

小月

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阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

お〜久しぶりだな！

郁斗ｰｲｸﾄｰ

ど〜も〜。

涼雅ｰﾘｮｳｶﾞｰ

どうも。

鈴花ｰｽｽﾞｶｰ

お久しぶりです。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

昔の生徒が遊びに来てくれるのは嬉しいもんだね。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

ゆっくりして行けよ〜。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

あ、このあと空いてる？

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

良かったらご飯でも行こうよ。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

奢るよ？何食べたい？

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

何でもいいよ〜。

鈴花ｰｽｽﾞｶｰ

……あの！

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

ん、どしたの？

鈴花ｰｽｽﾞｶｰ

小景ちゃんのこと、覚えてますか？

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

……。

小景さんの話題を出した途端、阿久津先生は静まり返った。

郁斗ｰｲｸﾄｰ

阿久津先生？

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

そんな話をするためにわざわざここまで来たっていうのか？

郁斗ｰｲｸﾄｰ

え？

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

いや、ごめん。何でもない。

涼雅ｰﾘｮｳｶﾞｰ

小景さんって、俺らのクラスにいましたよね？

阿久津先生はしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

ああ、覚えてるよ。

そう言ったものの、先生の表情はどこか曇っていた。

まるで、思い出したくない過去に触れてしまったかのような、そんな表情だった。

鈴花ｰｽｽﾞｶｰ

じゃあ、小景ちゃんが文化祭の前に泣いてたことは知ってますか？

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

え？

阿久津先生は目を伏せ、少しの間沈黙した。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

……いや、知らないな。

その答えは、妙にあっさりしていた。

郁斗ｰｲｸﾄｰ

じゃあさ、文化祭の時期に小景さんとよく話してましたよね？

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

……ああ、まあ、文化祭の準備でな。

涼雅ｰﾘｮｳｶﾞｰ

でも先生、俺らのクラスのこと、正直あんまり興味なかったですよね？

鈴花と郁斗が焦ったように俺を見た。

けど、俺は気になったことをはっきり聞く。

先生は昔から、クラス運営には消極的で、生徒たちのこともそこまで深く関わろうとはしなかった。

そんな先生が、文化祭の時期だけやけに小景さんと話していた。

違和感がある。

阿久津先生は、少し困ったように笑った。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

……変に勘繰られるのも嫌だから、正直に言うよ。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

俺は……小景に、「やめろ」って言ったんだ。

鈴花ｰｽｽﾞｶｰ

やめろ？

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

そうだ。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

あいつ、文化祭の準備に没頭しすぎてた。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

誰よりも動いて、誰よりも頑張ってた。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

でも、俺にはそれが……無理してるように見えたんだよ。

阿久津先生は、遠くを見るような目で続ける。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

それで、ちょっと強めに言ったんだ。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

「そんなに頑張らなくていい」って。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

「全部を背負う必要はない」ってな。

郁斗ｰｲｸﾄｰ

先生にしては、珍しいですね。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

一応教師だからな。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

でも……結局、俺の言葉は届かなかった。

先生の表情が、一瞬だけ苦しげに歪んだ。

涼雅ｰﾘｮｳｶﾞｰ

先生、小景さんが何に悩んでいたか知っていますか？

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

……さあな。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

……俺が話せることは、もう言った。

それ以上のことは語らない。

そう言いたげな顔だ。

涼雅ｰﾘｮｳｶﾞｰ

最後に1つだけ。

涼雅ｰﾘｮｳｶﾞｰ

小景さんは、どんな子でしたか？

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

……。

沈黙が、まるで時間を引き伸ばすように重くのしかかる。

やがて、先生は小さく呟いた。

阿久津先生ｰｱｸﾂｰ

あいつは、"嘘が上手な子"だったよ。