ダリー

－ 夏 －

私は家から出た瞬間… 涙が止まらなかった…

なぜ、泣いてるかというと＿＿＿.

－ 2週間前 －

私がダリーと出会ったのは

約6年前＿＿＿.

コテンッ

廊下に滑って転びながらもこちらに来る姿があまりにも可愛くて…

何度も廊下で「ダリー」と呼んでは、ダリーは可愛く転んでいた。

ダリーは、卵を使った食べ物が大好きで、

良く、食べさせていた…

これからもダリーとは一緒だと思っていたのに…

－ 1週間前 －

いつものように、家に帰ると…

いつも帰ってくれば、ダリーはわたしを見て、微笑みながら吠えてくれるのに……

そして、リビングに行くと＿＿＿.

ダリーは、ぐったりとしながら、床に倒れていたのだ……

そのかすかに聞こえた、ダリーの声は

私に何かを訴えているようだった

でも、どうして…

昨日まで、あんなに元気だったのに…

ダリーは、私にキスだけして、

この世を去ったのだ。

－ 現在 －

駅に着いた時には＿＿＿.

仕事で忙しそうな人々が、わたしをジロジロ見ては、通り過ぎていく…

それでも私の涙は止まらなかった＿＿＿.

そして、私は電車の中へ入り、

席に座ろうとしたが、空いてなかった

無愛想に、私に放った言葉を聞き

顔をあげると…

ハンサムな男の子が、私に席を譲ると言ったのだ。

蚊のような声で、席に座り、また泣いた＿＿＿.

そして彼は…

なんと、わざわざハンカチまでくれたのだ

そして、彼は

私と同じ駅で降り

私と同じ駅にまた乗り

そして、私と同じ駅で降りた＿＿＿.

私に気を使ってくれているのか、

どこまでも、わたしを優しい目で見てわ、どこか悲しそうに見た…

そして、私の涙も収まった頃＿＿＿.

－ 喫茶店 －

ダリーと…一緒ね、

かれは、うるっとした目でわたしを見つめた…

歩いて30分＿＿＿.

何かとプールに行かせようとする彼

仕方なく私は水着を買って、入った

そして、彼は

バシャッ

まるで魚のように、可憐に泳いだ

恐る恐る入ると…

まるで、糸で引っ張られているかのように、

私は素早く泳いだのだ＿＿＿.

そして、プツンと切れたかのように、

ハッとした時には、もうプールの半分を泳いでいた

そして彼はわたしを見て、ニッコリ笑った

そして、私は彼に顎を持ち上げられた

そして、キスをした

驚いたのは、キスをしたからではなく

あまりにも、ダリーのキスに似ていたからだ。