廃校past complex

事務所

893らしき人についていって15分くらい経った

そうしたら、とあるビルの一角の会議室らしきところについた

今更すぎるけどなんだか怖くて、逃げ出したくなった

怖さを隠すように、自分を保っていられるように、大きい声で返事をした

そんな胸をはった態度が気に入ったのか、なんだか嬉しそうだった

言われるがままに奥へと進んだ

長いデスクの通りを抜け、ホールを抜け、書物が沢山あるところを抜けた先にようやく目的地があった

社則的なものをまとめた紙を渡された

漫画やアニメでよく聞く言葉だ

確か、その職業のキャラは皆輝いていて、煌びやかな演出に洗練された動きが強調されていて…

皆カッコいいから密かに憧れている

56すのは流石にちょっと怖いかな…

でも、憧れていたからなんだか楽しみだ

ワクワクして袋を開けると、そこには制服がきちんとたたまれていた

でも…なんか違う

アニメとか漫画に出てくるやつじゃない

これは作業着…だよね

893らしき人は電話中だから話しかけられない

何か違うだなんて、今更言えない

まあ現実はこんなものか、と割り切るしかない

お前が責任を持って用意しろ、と言いたかったが、逆らったら56されそうだからやめた

仕方なく、外で野宿でもすることにした

外

冬ということもあってか、かなり寒い

でも…布団もちょっとした布も無い

強いて言うなら、レジャーシートと上着が少しある

向こうには立っているお姉さん達が一列に並んで、皆スマホを見たり話したり、彼氏らしき人といちゃついている

あの人達も段ボールやレジャーシートは一応敷いている

まあまあ冷たい地面に座って、さっき渡された社則的なものを読むことにした

と、その時、私の背中を誰かが叩いた

なんか怪しい

なんだか全てを見透かされている気がする

まだ諦める様子はない

…正直、逃げられるなら、楽になれるなら…

ついていっても良いかも…？

腕を握ってきた

背中にも手を回された

気付いたら手が出ていた

え、どうして…

え、なんで、私…不審者殴っているの…

なんか…理性が消えた…？

気になって腕を見てみると、赤い痣と針を刺した痕があった

気付けば、すぐ隣に893らしき人がいた

きっと気を取られているうちに他の人に打たれたのだろう

もう逃げられない、そう確信したと同時に地味な56し屋に少し希望の念を抱いた日になった