桜優花
………
日野あかり
こんにちは
桜優花
…何よ
日野あかり
こちらの都合に合わせていただきありがとうございます
桜優花
……別に、
隠しているのだろうが、青あざが少し見えてしまっている
日野あかり
まずは本当に遥くんを亡くならせてしまい、本当に申し訳ございませんでした
桜優花
…
桜優花
今日
日野あかり
…?
桜優花
今日はなんで私だけを呼んだの?
日野あかり
あなただけは遥を愛していると感じた…いや遥がそう知らせてくれたからです
桜優花
…!?
日野あかり
実は遥から時効で届くメールをいただきました
日野あかり
あなたは……あなたは遥を春雄さんから遠ざけるために外へ逃した。そうですよね?
桜優花
っ…
日野あかり
゛はるちゃん゛呼びも愛しているからこその愛称だなって思いました
日野あかり
だから本当に申し訳ございません
桜優花
……
桜優花
もう…最初から諦めていたのよ、あの子を育てるのは…
日野あかり
え…?
桜優花
あの人との遥ができたときあの人の態度が変わったの。「子を作る気はなかった」「お前が責任持って生んで育てろ」って。
桜優花
昔はああじゃなかった
桜優花
私が惚れたのは笑顔で周りを安心させる覇気を持っているあの人だった
遥とは少し違う安心感をもたせる旦那さんだったということか。
もし旦那さんが今でもそういう性格だったらきっと遥も日常的に笑顔を見せていたのだろうか
桜優花
遥が生まれたら私達に対する態度は悪くなっていった
桜優花
どうしてかはわからないけど…あの人も昔は仕事をしていたから。きっと上手くいかなくなったんだと思う
桜優花
気づけば暴力沙汰になっていた
桜優花
遥が泣くとあの人はすぐに怒るから、遥をあやすのは本当に大変だった。
桜優花
きっとあなたと一緒にいた頃も…涙を見せなかったでしょ?
日野あかり
……
思い返せば、遥が泣いているところなんて1度も見たことがない
桜優花
それくらい私の方からも「辛くても泣くな」「お父さんが怒るから泣くな」と言い聞かせた日々だった
桜優花
それから遥が大きくなっていった頃には私だけが暴力を受ける日々になっていった
桜優花
私が懇願して「遥だけにはこの殴られている光景を見せないで」と訴えたから。まあきっと遥には気づかれていたのかもしれないけど
桜優花
あの子が中学生になった頃にはもう私が耐えられなくなっちゃって。
桜優花
精神的な面と遥をサポートしなきゃいけないっていうプレッシャーでもう耐えられなかった
桜優花
だから……捨ててしまった
日野あかり
…………
桜優花
本当に悪い選択だとはわかっていたの
桜優花
でもあの子と一緒にいたら春雄さんに殺されてしまう…!!殺されるなら私だけでいい、そう思っていたのにっ…!!
日野あかり
優花さん
桜優花
…なんで、あなたは冷静でいられるの…?
日野あかり
…
桜優花
遥の彼女だったんでしょう……?