これは、いつの記憶だろう
…そもそも、これは記憶なのかな
太陽にあたりながら、誰かと喋る
微笑んで、心の底から幸せを噛み締めて
「ね、今年はいい1年だった?」
なんて、聞こえないはずの声に夢を見た
「…そうだね」
「…少なくとも、最悪の結果は免れてるかも」
そんな、曖昧な返事をした
「…そっか」
「…来年は、もっといい年になるといいね」
そう言って笑う彼に、夢を見た
いつかの、感情を重ねた
遠い遠い、過去の出来事
それも全て、抱えて
笑った
「そうだね」
「…来年はきっと、いい年になるね」
君が泣かなくて済むのなら
君が笑ってくれるのなら
私の名前を覚えていてくれるのなら
私の名前を呼んでくれるのなら
…もう、それでいいね
ぼんやりと、目を開けた
…なんだ、夢か
なんとなく、途中からそんな気はしていた
…会えないからって、最低だな
すくなくとも、今の私は
その感情を、封印した方がいい
桃香
桃香
桃香
久しぶりに発したその名前に
…勝手に涙が流れた
気がした