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我々怪異研究部!!

第36話 - ないとめあピエロ!!

672

2025年07月15日

#司類

#冬彰

#ホラー

#ほのぼの

#感動

あかまる🍓🐾໊

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672

あかまる🍓🐾໊

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#36 ないとめあピエロ!! / あかまる🍓🐾໊

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冬弥

司先輩？

司

おぉ、冬弥か！

冬弥

こんにちは。まさかここでお会いするとは思いませんでした。

司

まぁ、普段はあまり利用せんからなぁ

冬弥

何かお探しものですか？

司

特にこれといった目的の本は無いんだが、久しぶりに怪談系の本が読みたくてな。

冬弥

あぁ、なるほど。

冬弥

怪談系でしたら、あちらの本棚にまとめて置かれていると思いますよ。

司

おぉ、そうか！ありがとう！

司

(えーっと…あ、あった！)

司

(おぉ、色々あるな。何か面白そうなものは…)

カサッ

司

む？

司

(紙の音？)

ひらっ…

司

！

司

(な、何か落ちたぞ？！)

司

(紙…？2つ折りになってる…何かのメモか？)

何気なく開いてみると、真ん中に子供のような字で「nightmare」と書かれていた。

司

ナイト……メアか？

司

(普通に訳すと「悪夢」だが…何のメモなんだ？)

司

(というか、何故本と本の間にこんなものが…？)

冬弥

先輩？

司

どわっ？！？

冬弥

お、驚かせてすみません。いい本はありましたか？

司

あぁ、それがだな。何かメモのようなものを見つけたんだ。

冬弥

メモ？

司

これだ。本と本の間に挟まっていた。

冬弥

……「nightmare」？

司

あぁ。

冬弥

紙も少し古そうな気がしますが……何なんでしょう？

司

全く分からん。誰かのイタズラかもな。

冬弥

捨てておきましょうか？

司

む、いいのか？頼む。

司

それと、この2つの本を借りようと思うんだが。

冬弥

はい、分かりました。手続きしますね。

彰人

お、冬弥。委員会終わり？

冬弥

あぁ。

冬弥

それと、今日は司先輩に会ったんだ。

彰人

へぇ、あの人図書室とか行くんだ。

冬弥

怪談や都市伝説をまとめた本を2冊借りていった。

彰人

あぁ、なるほど。

彰人

つか、なんかお前…

冬弥

？

彰人

……なんか、焦げ臭くね？

冬弥

え？

彰人

いや、焦げ臭い？違うな…なんか、黒いというか…

冬弥

く、黒い？

彰人

なんて言うんだろ…嫌な感じというか、

冬弥

そ、そんなに俺に不快感を…？

彰人

いや、お前が不快とかじゃなくて…うぅん…

彰人

えっと…お前、何か持ってたりする？

冬弥

？

冬弥

今持ってるのは、ハンカチと石だけ…

カサッ

冬弥

……あっ

冬弥

もしかして、この紙か？

彰人

？！

彰人

なんだそれ？！気持ち悪っ？！

冬弥

？！

彰人

なんでそんな真っ黒なもんポケットに入れてんだ……？？

冬弥

ま、真っ黒？

冬弥

俺にはただの紙切れに見えるんだが…

彰人

紙切れ？

彰人

……いや、なんか大量の黒い虫みたいなのがぐるぐる回ってるようにしか見えねぇけど、

冬弥

た、大量の黒い虫が？！たしかにそれは気持ち悪いな…

冬弥

ただの誰かのイタズラかと思ったが…もしかして、怪異にまつわるものなのか…？

彰人

それ、どこで拾った？

冬弥

俺が拾ったというか、司先輩が見つけたそうなんだ。

冬弥

図書室で、本と本の間に挟まっていたと。

彰人

センパイにも紙切れに見えてたってことか？

冬弥

あぁ。

彰人

まぁ、これが見えてたら発狂するか…

彰人

えっと、それ紙切れなんだっけ？白紙？

冬弥

いいや、中に「nightmare」と書かれている。

彰人

な…？

冬弥

「ナイトメア」。直訳すると「悪夢」だ。

彰人

へー

冬弥

彰人…

彰人

いや、「悪夢」とかいう単語使わねーし…

冬弥

たしかに、普段使いすることは少ないだろうが…

類

おや、彰人くんと冬弥くんじゃないか。

彰人

あ、センパイ。

冬弥

こんにちは。

類

あぁ、こん…

類

…………な、なんか…冬弥くん、中々クレイジーなものを持ってるね？

冬弥

あ……この紙切れの事でしょうか…？

類

紙切れ？

彰人

センパイ、あれ何に見えます？

類

うぅん…煤のようなものが渦巻いて真っ黒に見える、かな。

冬弥

ということは……彰人と同じ？

彰人

あぁ、多分。

類

彰人くんにもそう見えるの？君、結構強いんだねぇ

彰人

？何が？

類

うーん、「見る力」…的な意味かな？

類

それにしても、どうしてそんなもの持ってるんだい？気味悪いし、捨てた方がいいと思うけれど、

冬弥

捨てようと思って、ポケットに入れたまま忘れてたみたいなんです。

冬弥

けど…たしかに気味悪いので、今捨ててきますね。

彰人

俺も行こうか？

冬弥

いいや、すぐ戻るから大丈夫だ。

冬弥

(それに、彰人はこれに不快感があるようだし、あまり近付けたくない…)

彰人

分かった。じゃあ待ってる。

冬弥

あぁ。

校舎裏

冬弥

(……わざわざ焼却炉まで来るのはやり過ぎだったか？)

冬弥

(いやでも、不気味だし念の為燃やした方が…)

杏

あれ？冬弥じゃん！

冬弥

あ、白石に小豆沢…

こはね

こんにちは。青柳くんもごみ捨て？

冬弥

まぁ…そんな所だな、

杏

ん？手に持ってるの何ー？

杏

紙切れ？

冬弥

図書室で見つけて、捨てに来たんだ。

こはね

わ、わざわざ焼却炉まで？

冬弥

念には念をというか…

杏

え、何？なんかヤバいやつ…みたいな？！

こはね

もしかして、怪異研究部の活動の一環…？！

冬弥

い、いいや。関係ない…と思う。

冬弥

ただ、気味が悪いから捨てに来ただけだ。

こはね

ただの紙切れじゃないってこと？

杏

それなんて書いてるの？な……いぐと、まれ？

こはね

な、「nightmare」だよ。

こはね

直訳すると「悪夢」かな。

杏

さっすがこはね！物知り〜〜！！

こはね

杏ちゃんはもうちょっと英語頑張ろうね…

杏

でも、「悪夢」ってだけ書かれた紙切れはたしかに不気味だね〜

冬弥

あぁ。燃やすのはやり過ぎかもしれないが…

焼却炉に紙切れを投げ込んだ。

冬弥

……念の為。

帰り道

司

流石に2月の夜は寒いな…

司

お前、その状態で袖なんかまくって寒くないのか…？

類

いや、普通に寒いよ。

司

なら何故袖を捲る？！

類

手元に何かあるのが鬱陶しくてねぇ

司

さ、寒さより嫌なのか…

類

…前から気になってたんだけど、ちょっと聞いていいかい？

司

む？なんだ？

類

司くん、どうしていつも遠回りして帰ってるの？

司

……え？

司

と、遠回り……か？

類

うん。さっきの道、真っ直ぐ来てるけど、左に曲がった方が近いよ。

類

どうしてわざわざ遠回りするんだい？

司

左に……

司

……ずっと、この道で通っているからな、

司

今更変える気はないというか…

類

…そうか。

類

変なこと聞いてごめんね。忘れてよ。

司

あ、あぁ…

司

……すまない、

類

なんで謝るの？

司

いや、なんとなく…

司

すまない……

類

…

類

顔上げて。ただでさえ暗いのに、俯かれたら困るな。

類

君の顔がよく見えないじゃないか。

司

！

司

こ、こら！！近い！！

類

だってよく見えないんだもん〜

司

全く……！！あんまりそういうことしたらダメだぞ！

類

大丈夫。司くんにしかしないから。

司

全然大丈夫じゃないわ！！

司

ぅ……

司

……ん？？

司

ここは……学校の廊下？

司

(あぁ、学校の夢か…しかし、夜の学校とは珍しいな…)

コツ…コツ…

司

(……む？)

司

(奥から足音…？)

司

？！？！？

ピエロ？

♪ないとめあ〜…そうさ……ボクはこどもたちの…

ピエロ？

♪ボクはないとめあ〜…

司

(な、ななな、なんだあれ？！？！)

司

(ち、血まみれの……ピエロ？！なんか刃物っぽいの持ってる？！)

ピエロ？

♪ないとめあ〜…そうさ…ボクは君の…

ピエロ？

やぁ、こんにちは！

司

(急に話しかけてきた？！？)

ピエロ？

ここは"ないとめあ"！君の夢さ！

司

は、はぁ…

ピエロ？

君ははじめましてだから、簡単に説明するね！

ピエロ？

とぅっとぅっとぅる〜♪ないとめあ〜♪

ピエロ？

そうさ〜♪ボクはこどもたちのないとめあ〜♪

司

(な、なんか歌が始まった……)

ピエロ？

いつもとなりにいるないとめあ〜♪

ピエロ？

さぁさ♪あそぼう♪ないとめあ♪

ピエロ？

ボックが鬼♪ボックが鬼♪

ピエロ？

ルールは簡単♪鬼ごっこ♪

司

(お、鬼ごっこか……)

ピエロ？

ボックから逃げて♪ないとめあ♪

ピエロ？

捕まっちゃったらげーむおーばー♪

ピエロ？

まっかに染まるよ♪ないとめあ♪

司

ま、まっか？

ピエロ？

気になる？おっしえてあげる♪ないとめあ♪

ピエロが持っている刃物を大きく振り上げた。

グシュッ！

司

……は？

何かを潰すような音の後に、肩に稲妻のような激痛が走った。

司

？！？！

ピエロ？

まっかっか♪

司

っっ……！！！

すぐに叫びたくなる衝動に駆られたが、その衝動を動力源に、足を踏み出した。

ピエロ？

わぁい！ルールが分かったんだね！

ピエロ？

じゃあ始まりさ♪ボクらのないとめあ♪

司

はぁっ！はぁっ！はぁっ！はぁっ！

司

ぐ……っ……ふぅ……っ

司

(肩からの出血が酷い……これ、深度何cmだ……？！)

司

う"っ……い"っ

司

(ダメだ……しばらくは走れん……！！)

司

ふ……っ…はぁ……っ

司

(あのピエロはなんだ……？！夢の中とか、"ないとめあ"だとか…)

司

(夢にしても、なんでこんな夢を……)

司

ないとめあ……

「ナイト……メアか？」

「普通に訳すと「悪夢」だが…何のメモなんだ？」

司

(……あのメモか？！？)

司

(あのメモを見たせいで、こんな夢を見てる……？！)

司

(もし、あのメモがこの夢を見る条件なのだとしたら……)

司

(……冬弥もいるということか？！)

司

(ま、マズイ！！オレがあの時見せてしまったから…！！)

司

(こうしちゃおれん……！！責任持って、オレがしっかり守らねば！！)

コツ…コツ…コツ…

冬弥

(はっ…はっ、はっ…)

冬弥

(あれはなんだ…ピエロか？)

冬弥

(それに、アイツが持ってるもの…)

冬弥

(刃物……だよな。それに、血のようなものまで…)

冬弥

(なんとか、夢から醒める方法を探そう…)

彰人

(ったく、なんだよこの夢……)

彰人

(さっきのあれはなんだ？ピエロか？)

彰人

(普通に刃物振るってきたし…)

彰人

(なんとか避けて逃げられたからいいが……あれ、本物だよな…)

彰人

(とにかく、見つかったらマズイっぽいな。どっか教室に隠れるか…)

彰人

(あー、この教室とか？)

彰人

(つか、帰りてぇ。夢から醒めりゃいいのか？)

彰人

(なんかヒントとかねぇかなー……)

ガタンッ

彰人

！

彰人

(ロッカーから…物音？)

彰人

……

彰人

(……開けるか。)

キィ…

彰人

…！？

杏

キャアアアアアアアアアア！！！？！？！

彰人

うわっ！！バカ！！

杏

むぐっ？！

彰人

アイツが来るだろうが！静かにしてろ。

杏

あ、彰人？！

杏

よ、良かったーーー…！！

杏

ｸﾞｽｯ…こはねもいないし、一人ぼっちで…

彰人

(杏もいる……なんで？)

彰人

(冬弥とかセンパイはともかく、杏まで巻き込まれるのは…)

彰人

(…そもそも、俺がこの夢を見てる理由は？)

彰人

(絶対何か条件的なのがあるはず、)

彰人

……

彰人

(…いや、絶対あの紙切れ?だな。)

彰人

(いや、でも待て。あれは俺ら4人しか見てないはず…)

杏

彰人ってば！

彰人

ん？

杏

無視しないでよ…！！怖いじゃん…！！

彰人

あぁ、悪い。ちょっと考えてた。

彰人

…なぁ、杏。お前、紙切れ見たか？

杏

紙切れ？冬弥が持ってたやつ？

彰人

？！

彰人

見たのか？！

杏

う、うん。たまたまごみ捨て当番で、焼却炉でばったり…

彰人

もしかして、こはねも？

杏

うん、一緒にいたけど、

彰人

(てことは、ここにいるのは多分6人…)

彰人

…杏、ここに来るまで、誰かに会ったか？

杏

う、ううん…

杏

あっ、なんか、怖いピエロなら見かけた…！

彰人

そうか…

彰人

俺は今から、他に誰かいないか探してくる。多分冬弥もいるはずだし。

彰人

お前はどうする？

杏

お、置いてく気？！

彰人

いや、足でまといかなって。

杏

酷？！

杏

私も足は速い方だし！

彰人

いざとなったら動けないだろ。

杏

そ、それは…

彰人

ここに残るか、一緒に行くか。どっちでもいいぞ。

杏

……

杏

わ、私も……こはね、探しに行く。

杏

こはねも、怖い思いしてると思うし…！！

彰人

分かった。じゃ、行くぞ。

杏

うん！

こはね

(あのピエロ…何なんだろう…)

こはね

("ないとめあ"…って言ってたな、)

こはね

(そういえば、今日どこかでnightmareって…)

こはね

(……あっ、青柳くんの持ってた紙だ！)

こはね

(あれ、やっぱり怪異か何かに関係するものだったのかな…？)

こはね

(とにかく、きっと杏ちゃんもいるはず。探さないと。)

冬弥

小豆沢？

こはね

ひゃっ？！

こはね

あ、青柳くん？！

冬弥

何故ここに……？

こはね

わ、分からない…

冬弥

小豆沢がいるということは…

冬弥

……やはり、あの紙切れか、

こはね

う、うん。そうだと思う…

こはね

だから、きっと杏ちゃんも、

冬弥

彰人と先輩もいるな…

冬弥

合流出来て良かった。他のみんなを探しに行こう。

こはね

うん！

ピエロ？

み〜つけたっ♪

こはね

？！

冬弥

！

ピエロ？

そうさ♪ボクはないとめあ〜♪

こはね

(な、なんかよく見たら刃物持ってる！！)

冬弥

逃げよう。走れるか？

こはね

あ、あんまり自信ないけど…！

冬弥

すまないが、俺もない。

ピエロ？

とぅっとぅるっとぅ〜♪ないとめあ〜♪

冬弥

走ろう！

こはね

う、うん！

冬弥

はっ、はっ、

こはね

はぁっ、はぁっ！

ピエロ？

ないとめあ〜♪

冬弥

し、しつこいな…

こはね

ど、どうしよう…！どんどん近付いてきてる…！

冬弥

(小豆沢は体力的にも、そろそろ厳しそうだな…)

冬弥

(俺も持久力はそこまでないが…)

冬弥

……小豆沢は、このまま走って階段を降りてくれ。

こはね

え？！

こはね

わ、私は…って、青柳くんは？！

冬弥

あそこの柱で撒いて、向こうに走る。

こはね

む、無理だよ！！そんな、囮作戦みたいな…！

冬弥

大丈夫だ。気にせず逃げてくれ。

こはね

無理だよ！

冬弥

策はあるんだ。だから、安心して欲しい。

こはね

さ、策…？

冬弥

あぁ、あの柱だ。俺はあそこを迂回するから、小豆沢はそのまま走れ。

こはね

で、でも！

冬弥

いいから。

こはね

ほ、本当に策があるんだね…？！

冬弥

あぁ。

こはね

……絶対、あとで合流しようね！

冬弥

あぁ。じゃあな。

冬弥

(…なんて言ったが、正直、走る以外の策はないな。)

冬弥

(こっちに来い……！)

ピエロ？

鬼ごっこ♪鬼ごっこ♪

冬弥

(よし！来た！)

冬弥

(このまま向こうに走って、小豆沢から離す！)

彰人

誰もいねぇな

杏

うぅー……彰人、進むの早くない…？！

彰人

早く見つけたいんだよ。

彰人

(冬弥の奴…持久力はそこまで無いし、追いかけられたら逃げきれるかどうか…)

彰人

(あのピエロは普通に襲ってくるし、危ねぇ…)

杏

ひっ？！

彰人

どうした？

杏

な、なんか…向こうに、誰かいない？

彰人

向こう…？

彰人

あ、本当だ。奥に誰か…

杏

………あっ

こはね

はぁっ、はぁっ…！

彰人

こはね？！

こはね

あっ！杏ちゃんに東雲くん！？

杏

こ……

杏

こはねぇぇぇっ！！！会いたかったぁぁぁ！！！

こはね

わ、私もだよ！杏ちゃん！無事で良かった……！！

彰人

これでやっと3人か。

彰人

おい、こはね。ここに来るまでに、誰かと会ったか？

こはね

あ……

こはね

わ、私……っ

彰人

？

こはね

ご、ごめんなさい……っ！！

杏

えっ？！なになに？！どうしたの？！

こはね

わ、私……っ、私…っ

こはね

あ、青柳くんが……っ！

彰人

冬弥が？！一緒にいたのか？！

こはね

うぅ……っ

彰人

…囮に？！

こはね

ごめんなさい……っ！！

彰人

いや……お前は無事で良かった。

彰人

上の階にいるんだよな？

こはね

う、うん！多分…！

彰人

杏、こはねといろよ。俺は上に行く。

杏

え？！け、けど、

杏

ぜ、絶対にあとで合流だからね！

彰人

おう。冬弥連れて帰ってくるわ。

彰人

(囮……冬弥らしいっちゃらしいか。)

彰人

(俺も、多分同じことするだろうしな…)

彰人

(とにかく、居場所が分かって良かった。絶対合流する。)

冬弥

(はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…)

冬弥

(し、しんどい……！！流石に…！)

冬弥

(ここから……本棚で、なんとか撒けるか…？)

冬弥

(だが、足が走ってくれるかどうか……)

ピエロ？

ないとめあ〜♪

冬弥

(来た！！)

ピエロ？

どこかな♪どこかな♪

冬弥

(来る……大丈夫、来たら左に逃げる。そして、図書室から出る。)

冬弥

(大丈夫、イメージは完璧…あとは、動くだけ…)

ピエロ？

み〜つけたっ♪

冬弥

！

冬弥

(左に走っ)

疲れが溜まっていたのか、思うように足が動かずもつれ、思いっきり転んでしまった。

ドテッ！

冬弥

っ！

冬弥

(く……っ、運動音痴め……)

冬弥

(彰人ならここからでも、綺麗に避けて逃げられるんだろうか…)

ピエロ？

らんらら〜ん♪ないとめあ〜♪

ピエロ？

いひひひっ♪げーむおーばー♪げーむおーばー♪

ピエロが持っている刃物を高く振り上げた。

冬弥

(俺はきっと、彰人のようには出来ないが…)

ピエロが肩を切りつけようとするのを避けた。

グシュッ！

冬弥

っ！

肩を避けたことにより、運悪く左足を刃物が掠めた。

冬弥

(い"……っ)

ピエロ？

ないとめあ〜♪

冬弥

(これは流石に、もう…)

ゴンッ！！

ピエロ？

っ！！？

冬弥

……え？

ピエロ？

…ﾊﾞﾀﾝｯ

冬弥

は……

類

だ、大丈夫…？！

冬弥

類先輩？！

冬弥

(ほ、本で殴……？！)

類

ご、ごめん！間に合わなくて…！

類

逃げよう、冬弥くん。肩貸すよ。

冬弥

え、は……はい！

冬弥

あの、ピエロは...死んだんですか？

類

いいや、死んでないと思う。...というか、死なないと思う。

冬弥

そうですか…

冬弥

あの、助けてくださってありがとうございました。

類

ああ。本当は、そんな怪我
負う前に来れたら良かったのだけれど...

冬弥

い、いえ。俺が運動音痴なせいで...

冬弥

先輩に…あんなことをさせてしまって、すみません…

類

あぁ……まぁ、ああいうのは、気分のいいものでは無いねぇ

類

初めて本気で何かを殴ったよ。

冬弥

本でも人を気絶させられるんですね…

冬弥

(まぁ、あれは人ではないかもしれないが…)

類

…足、大丈夫？

冬弥

はい。痛みますが、浅いので。

類

そう…

類

冬弥くん、司くんには会ったかい？

冬弥

いえ、会ってません。小豆沢には会いました。

類

あ、小豆沢くんもいるのかい？！

冬弥

はい。恐らく、白石も…

類

そうか……

類

……おや、彰人くんがこっちに向かってきてる。

冬弥

え？

冬弥

み、見当たりませんけど…

類

もうすぐ来ると思うよ。

類

僕、ちょっと司くん探してくるね。

冬弥

えっ？あ、それなら俺も…！

類

君は怪我してるし、安静にしてて。

類

すぐ彰人くん来てくれると思うから。また後でね。

冬弥

せ、先輩！待っ

冬弥

(流石にこの足じゃ、追いかけるのは無理か…)

彰人

冬弥！！

冬弥

！

冬弥

彰人！？

冬弥

(本当にすぐに来た…)

彰人

おま、足どうした？！

冬弥

えっと、さっきピエロに…

彰人

は？！

冬弥

彰人は……良かった。やっぱり無傷か。

冬弥

彰人が無事で安心した。

彰人

俺は安心出来ねぇよ。そんな怪我して…！

冬弥

浅いから大丈夫だ。

冬弥

あと…類先輩と小豆沢に会った。彰人は？

彰人

杏とこはねには会った。んで、こはねから事情聞いて来た。

冬弥

あぁ、なるほど…

冬弥

ということは…まだ、誰も司先輩には会えてないのか、

彰人

あぁ。見かけてすらねぇな。

冬弥

類先輩がさっき探しに行ったんだ。

冬弥

俺も行きたいんだが…

彰人

足的に無理だろ。

冬弥

あぁ…不甲斐ない、

彰人

肩、貸す。とりあえず杏たちと合流するから、下降りるぞ。

彰人

センパイ達なら、その後俺が探しに行くし。

冬弥

俺も行く。

彰人

その足じゃ無理。

冬弥

うぅ…

冬弥

(たしかに彰人の足を引っ張る未来しか見えない…)

彰人

とにかく、下降りんぞ。

冬弥

あぁ、すまない。ありがとう。

司

(はぁっ、はぁっ、はぁっ…！)

司

(い"っ……クソ、動いたせいで悪化したような……)

司

はっ、はっ、はっ……

司

(もう動かない方がいい…というか、動けん……)

司

(冬弥……無事なのだろうか……)

司

(ふ……っ…ぅ、ぐ……)

司

(クソ、何なんだあのピエロは……！！)

司

(というか、これは夢の中なんだよな？！にしては痛みがリアルなんだが？！)

司

(いやでも、現実だったらとっくに死んでるような気もするな…出血量的に…)

司

(っ……とにかく、ここに隠れていよう…)

司

(もし、ピエロがここに来たらどうする？逃げられるか…？それとも…)

司

(逃げられなかったら、ゲームオーバー…)

ガラッ

司

！

ピエロ？

ないとめあ〜♪どこかな♪どこかな♪

司

(クッソ！今来るなよ！！)

司

(い"っ……恐怖より余裕で痛みが勝つ…)

司

(どうする……教卓の下とか、ほぼバレるな、)

司

(まだ奴が後ろにいる内に出て、走って逃げるか…)

司

(考えてる時間はない！！早く、今決めなければ！)

司

(……逃げるか！！)

勢いよく教卓から飛び出した。

ピエロ？

み〜つけた♪

司

(走れ！大丈夫だ！)

ピエロ？

ないとめあ〜♪

ズキッズキッ

司

(ぐっ……肩が……！！)

司

(痛い……が、走れ！)

類

司くんっ！！

司

は？！？！

司

……は？！？！

ピエロ？

！

類

こっちだよ、ピエロさん。

ピエロ？

お、お前、さっきの……！！

類

司くん、2階へ行って！冬弥くんや彰人くんがいると思う！

司

何っ？！

司

いや、しかし、類は？！

類

あとで行くから！

司

はぁ？！ちょ、待っ！

司

待てっ！類！

司

い"っ…！

司

クソ……っ

司

(そもそも、どうして類がここに？！それに、「彰人」って言ったか？！)

司

(冬弥だけじゃなかった…？！)

司

(どうする…類を追いかけるか、信じて2階へ行くか……)

司

…

司

(…今度は、今度こそ……)

司

(信じよう…)

彰人

杏！こはね！

杏

あっ、彰人に冬弥！！

冬弥

小豆沢…良かった。無事だったか。

こはね

う、うん！

こはね

でも、青柳くんその足……！

冬弥

やはり俺は運動が苦手だ。

こはね

ご、ごめんなさい……っ！！

冬弥

いいや、気にしないでくれ。俺の決めた事だから。

彰人

杏、こはね。ちょっと冬弥頼むわ。

杏

えっ？彰人、またどっか行くの…？！

彰人

センパイ達探してくる。

彰人

お前らは3人で、どっかに隠れてろ。

杏

で、でも…！冬弥、怪我してるし…！

杏

もし見つかったら、どうするの？！

冬弥

あぁ、その時は俺のことは気にしないでくれ。

杏

無理だよっ！！

こはね

だ、大丈夫だよ！

こはね

今度は、絶対私がなんとかするから…！

こはね

東雲くん、行ってきていいよ。

彰人

おう、じゃあ任せる。

司

(マズイ…)

司

(階段が、降りれそうにない……というか、動けん…！！)

司

(さっき無理やり走ったからだな…)

司

(相変わらず出血は止まらんし…何かで止血すべきか？)

司

(それにしても、ここは一体…)

司

(むむむ…こんな怪談話、聞いた事ないぞ…)

司

(…夢の中で死んだら、どうなるのだろう、)

司

(よく聞く話では、そのまま一生目覚めないとか聞くが…)

司

(みんな…大丈夫なのだろうか、)

ズキッズキッ

司

っ…

タッタッタッタッ

司

(……走る、足音？ピエロか？)

司

(いや、にしては…)

彰人

うわっ？！

司

どわっ？！？！

司

あ、彰人か！！やはりな！

彰人

え、いや、肩…？！

司

あぁ、ピエロにな。お前はやっぱり無傷だったか。

彰人

ピ、ピエロに……多分、センパイが1番重症ですよ。

司

む、他にも誰か怪我を？！

彰人

冬弥が左足を少し、

司

そうか……

彰人

センパイ、それ歩けます？というか…そもそも立てますか？

司

すまんな。無理そうなんだ。

司

だから、気にせんでいいぞ。合流出来た所で、オレは足でまといだと思っていたし。

彰人

…

彰人

肩的に…背負うのは厳しいか。となると、前…？

司

…彰人？

彰人

…いや、仕方ねぇか。腹括りますね。

司

ん！？何をする気だ？！

彰人

運びます。

司

運ぶ？！

司

い、いや、無理だろう。持ち上げられた所で、オレを持っては走れんし…

彰人

いや、多分いけます。

彰人

俺、冬弥背負って走ることもできるので。

司

何っ？！

彰人

肩痛いかもしれませんけど、ちょっと耐えて下さいね。

司

ま、待て待て待てっ！！

類

(ふむ、やはり校舎からは出られない…)

類

(校舎からの脱出が、夢から醒める条件…？)

類

(それとも、他になにかの条件が…)

ピエロ？

ないとめあ〜♪

ピエロ？

ボクはこどもたちのないとめあ〜♪

類

子供ねぇ…僕ら、高校生だけれど？

ピエロ？

ん〜？君は違うでしょ？

類

…

ピエロ？

ないとめあ〜♪だれでも見るよ♪ないとめあ〜♪

ピエロ？

ずっとつづくよ♪ないとめあ〜♪

類

…ねぇ、この世界で死んじゃったら、どうなるんだい？

ピエロ？

それはもちろん！げーむおーばーさ♪

類

("げーむおーばー"…)

類

(よく分からないけど…司くん、肩怪我してたな…)

類

(早く撒いて、司くんと合流するか、)

司

あ、彰人！！非常にありがたいが！この状態で誰かに会うのは嫌なんだが？！

彰人

俺も嫌ですよ

彰人

つか、あんま騒がないで下さいね。アイツが来たらめんどくせぇし。

司

す、すまん…！！

コツ…コツ…コツ…

司

！！！

彰人

！

司

(あ、足音…！)

コツ…コツ…

類

…おや、

司

？！

司

る、類っ？！

彰人

なんだ、センパイか…

類

ふふ、あのピエロさんなら撒いてきたよ。

類

それにしても……

類

まさか、君がお姫様抱っこされてるとは想定外だったな。

司

やめろぉぉぉ……！！！

彰人

いや、マジでやむを得ずですから。

類

ふふ、そうかい。君カッコイイねぇ

司

(むっ)

類

冬弥くんとは合流できたかい？

彰人

はい。杏とこはねに冬弥を任せて、センパイ探しに来ました。

彰人

多分、アイツらまだ2階にいると思います。

類

ふむ…分かった。合流しに行こうか。

杏

冬弥、大丈夫？

冬弥

あぁ。肩を貸してくれてありがとう。

こはね

足、止血するね。大きめのハンカチ持ってるから。

冬弥

すまない、ありがとう。

杏

それにしても…私たち、いつまで逃げればいいの？

杏

これ、夢なんだよね…？

冬弥

あぁ、流石に夢だろう。

こはね

だけど…あの時計も、来た時からずっと止まってるし、

こはね

何かするまで、終われないのかな…？

杏

うー…全然分かんないよ…！！

杏

捕まっちゃったら、殺されちゃうんだよね…？

冬弥

あぁ、恐らく。容赦なく刃物を振るってきたしな。

こはね

この世界で死んだら、どうなるんだろう…

杏

い、一生目覚めない…とか…？！

冬弥

それは最悪だな…

こはね

この校舎、窓も開かないよね。玄関も開いてなかったし、

杏

うぅ、夢なら早く醒めてよ〜……

ピエロ？

それならげーむおーばーになろう！♪

杏

キャアアアアアアアア？！？！？！

ピエロ？

らんらら〜ん♪ないとめあ〜♪

ピエロ？

そうさ♪ボクはこどもたちのないとめあ〜♪

杏

こ、こはねっ！！冬弥！！逃げるよ！！

こはね

う、うん！青柳くん、肩使って！

冬弥

"げーむおーばー"……

杏

な、何？！

冬弥

…小豆沢、白石。2人で走れ。

こはね

だ、だからダメだよっ！！

杏

そうだよ！こはね、冬弥の右側持って！

こはね

う、うん！

冬弥

確かめたい事がある。もちろんリスクもあるから、俺が自分で確かめるしかない。

杏

ダーメ！！引きずってでも連れてくから！！

冬弥

すまない。少し押すぞ。

杏

へっ？

トンッ

杏

わっ？！

こはね

きゃっ？！

杏

ち、ちょっと冬弥！急に何す…

カチャンッ

杏

？！？

こはね

え？！か、鍵？！

杏

ちょっと！！冬弥？！冬弥何してるの？！

こはね

あ、青柳くん！！開けて！！開けてよ！！

ドンドンドンッ

「開けて！冬弥開けてってば！」

「青柳くん！！早く開けてっ！！」

冬弥

(鍵がかかって良かった。まさか、本当にかかるとは思わなかったが…)

ピエロ？

あれれ〜？げーむおーばーになりたいのかな？♪

冬弥

…あぁ。

ピエロ？

いひひひっ♪げーむおーばー♪げーむおーばー♪

冬弥

(この仮説が正しいか分からないが…これは、自分で確かめるしかない、)

ピエロ？

よい、ないとめあを。

杏

っ……

杏

と、冬弥のバカ…！！なんで…！！

こはね

…

こはね

"確かめたいこと"…

杏

こ、こはね…？

こはね

青柳くん、何に気付いたのかな…って、

杏

…？

こはね

青柳くん、私たちを助けたわけじゃないと思う。

こはね

ううん、それもあったかもしれないけど…何か、もっと他に…

杏

ほ、他に…？

カチャンッ

杏

！！

ピエロ？

らんらら〜ん♪ないとめあ〜♪

杏

ひっ！？

杏

こ、こはね！！逃げよっ！！

こはね

ま、待って！杏ちゃん！

杏

何？！

こはね

ピエロさん！捕まっちゃったら、"げーむおーばー"なんですよね？

ピエロ？

うん♪そうだよ〜♪

ピエロ？

げーむおーばー♪げーむおーばー♪

こはね

「ゲームオーバー」……ゲームの終わりを意味する言葉、

杏

こ、こはね？！何言ってるの？！逃げようよ！

こはね

杏ちゃん、お願い。東雲くんたちに伝えて。

こはね

「死んだらゲームが終わる」って。

杏

な、何？！どういう意味？！

杏

それより、早く逃げ…

ピエロ？

いひひひっ♪げーむおーばー♪げーむおーばー♪

杏

こはねっ！！

こはね

杏ちゃん、また後でね。

司

彰人、腕大丈夫か？

彰人

流石にキツイっす。

類

だろうねぇ。

司

一旦降ろしてくれ。

彰人

はい。

類

肩、止血したいけれど…出来そうなものを持ってないんだ。すまないね。

司

いいや、構わん。オレも生憎持ってなくてな。

類

…痛いよね。こんな……

彰人

まぁまぁ深いですね。

司

あぁ。ちょっとグロテスクだよな。

彰人

夢の中の怪我って…現実とはリンクしませんよね？

類

したらマズイね。

司

しないと信じてる…

彰人

あのピエロ、何なんですか？また都市伝説みたいな？

司

分からん…聞いたことないんだ。

類

「こどもたちのないとめあ」…って、言ってたけど、

類

やっぱり、あれは怪異だと思うよ。

彰人

まぁ、流石に怪異ですよね。

彰人

(けど…モモイさんが出てこない、)

「私、貴方のことを守る以外で、貴方と関わる気は無いの。」

彰人

(…守る必要がないって事か？)

彰人

(じゃあやっぱり、害は無いと…？)

類

冬弥くんたちはこの階にいるんだよね？

彰人

多分。移動してたら分かりませんけど…

彰人

教室とかに隠れてる可能性もありますね。

彰人

冬弥、怪我してるし。

類

あぁ、たしかに。じゃあ、教室巡りしようか。

司

隠れるとしたら、教卓やロッカーか？

類

3人で隠れられる場所って限られそうだねぇ

彰人

バラバラになってるって事は、多分ないと思いますけど…

カタンッ

彰人

！

彰人

(ロッカー……もしかして、)

キィ…

彰人

あぁ、やっぱ…

杏

ひっ…ｸﾞｽｯ…ぅ……うぅ……っ

彰人

？！

司

し、白石！？どうした？！

杏

あ……彰人と、先輩……？

類

あぁ、無事で良かった。

彰人

…お前、1人か？

杏

う……っ

杏

うわぁぁぁぁぁん！！

彰人

？！

杏

とっ、とうやが……こはねがぁぁ……！！

杏

わたし……っ…わたし……！！

彰人

……一旦落ち着け。そんで、落ち着いたら詳しく話せ。

杏

う……っ、ﾋｸﾞｯ…ｸﾞｽｯ…

杏

まず…3人でいた時にね、ピエロが来たの、

杏

それで、冬弥が……私たちを廊下に突き飛ばして、教室に鍵かけて…

杏

そのまま…

彰人

…

杏

その後、私たちのことも追いかけてきて…

杏

なんか、こはねが急に色んなこと言い出して、

杏

私、もう訳わかんないまま…こはねが、

彰人

…そうか。

類

…白石くん。小豆沢くんが何て言ってたか、覚えてるかい？

杏

え？えっと、えっと……

類

ゆっくりでいいよ。

杏

…げーむおーばー、

杏

あと…冬弥が、「確かめたいことがある」、

彰人

「確かめたいこと」？

司

そのために、わざとピエロに…ということか？

杏

た、多分…？こはねがそう言ってた気が…

杏

あと……なんだっけ、大事なこと…

杏

……「死んだら、ゲームが終わる」…

彰人

！

杏

そうだ…！こはねが、彰人たちに伝えてって…

類

ふむ……なるほど、

司

うん……？

彰人

(…なるほど。俺たちに危害がない理由は、それか。)

司

ゲームが終わる……

司

……この夢から、醒める？

類

あぁ、そういう意味で捉えるべきだろうね。

類

それに、いち早く冬弥くんが気付いたって事か。

杏

えっと…

杏

死んだら、夢から醒める……って事？

彰人

こはねが言いたかったのはそういう意味だろうな。

彰人

(けど、簡単な事じゃない。本能的に皆死は避けたがるから、中々気付けない。)

彰人

(それに、気付いたところで実行するのも難しい。)

彰人

(冬弥もだが、こはねも結構肝座ってんだな…)

彰人

…じゃ、サクッと終わらせますか。

類

あぁ、そうだね。

司

か、仮にも死ぬのに、ノリが軽くないか？

彰人

ビビってたらいつまでも夢の中なんでしょ。

杏

で、でも……分かってても、死ぬのって怖くない…？

彰人

まぁ、俺は1回死んでるみたいなもんだし。

類

そうだねぇ

ピエロ？

み〜つけた♪

彰人

あ、来た。

類

さて、じゃあ僕からいこうかな。

ピエロ？

いひひひっ♪げーむおーばー♪げーむおーばー♪

司

ま……待てっ！！！類！！

類

うん？

司

お、オレの前で死ぬな…頼むから、

類

…

彰人

じゃあ俺からにします？

杏

え？！ま、待って！置いてかないで！

彰人

じゃあ杏からにするか？

杏

う……っ

司

オレがいく。

ピエロ？

げーむおーばー？げーむおーばー？

司

あぁ、頼む。

ピエロ？

いひひひっ♪げーむおーばー♪げーむおーばー♪

ピエロ？

よい、ないとめあを。

彰人

(っ…これ、普通に見んのはキツイな。)

ピエロ？

げーむおーばー？

杏

うぅ…

杏

お…お願いします…っ！

ピエロ？

いひひひっ♪げーむおーばー♪げーむおーばー♪

彰人

(あとは…)

彰人

…センパイ、どうします？

類

…

彰人

…センパイ？

類

……大切な人の死って、こんなにも苦しいんだね、

類

……忘れても、仕方ない…

彰人

…？

類

……先にどうぞ。

彰人

？…じゃあ、遠慮なく。

ピエロ？

げーむおーばー？

彰人

あぁ。

ピエロ？

いひひひっ♪げーむおーばー♪げーむおーばー♪

司

ﾊｯ！！

司

はぁ、はぁ、はぁ……

ﾁｭﾝﾁｭﾝﾁｭﾝｯ

司

……朝、

司

はぁぁぁぁ……

司

(肩……うむ、何ともないな。)

司

(あれは、夢……？)

司

(みんな…覚えてるのだろうか…)

学校

杏

こはねぇぇぇぇ！！！！

こはね

あ、杏ちゃん…！苦しいよ…！

杏

ばかばかばか！！なんで置いてったのぉぉ！！

こはね

ご、ごめんね…！

杏

冬弥も！！ばかばかばか！！！

冬弥

す、すまない。

冬弥

だが…良かった。小豆沢が気付いてくれたんだな。

こはね

えへへ…

こはね

でも、もうちょっと何か言ってから確かめて欲しかったな…

冬弥

それは…すまない。

彰人

おはよ。

冬弥

あ、彰人。おはよう。

冬弥

……も、もしかして、何か怒ってるか？

彰人

そう見える？

冬弥

み、見える…

彰人

…

彰人

お前、二度と俺より先に死ぬなよ。

冬弥

やっぱりそれか…

彰人

当たり前だろ。しかも、俺のいない所でとか以ての外。

冬弥

すまない…

彰人

…腹は立ったけど、別に怒っては無い。

彰人

お前が気付いたお陰ってとこもあるしな。

彰人

けど腹は立ったから、お前今日1日俺の言うことなんでも聞く刑な。

冬弥

ぜ、全然罰にならないがいいのか？

彰人

刑は刑だから。

杏

ちょっとぉー、廊下でイチャイチャしないでよー！

彰人

お前が言うな

類

肩、何とも無かったんだね。良かった。

司

あぁ。やはり夢は夢だったみたいだ。

司

あのピエロも…ゴム人間のように、恐怖を植え付けたかっただけなのだろうか？

類

そうかもねぇ

司

それにしても、まさか白石や小豆沢まで巻き込んでしまうとは…

類

…司くん、

司

なんだ？

類

ごめんね。

司

……どうしたんだ、急に、

司

お前に謝られるのは…あまりいい気分じゃ無いんだが、

類

それはお互い様かなぁ

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