お坊さん
南無阿弥陀 南無阿弥陀
母
リコ、水野のおばあちゃんに
手を合わせてきなさい
手を合わせてきなさい
リコ
手を合わせればいいの?
お坊さん
南無阿弥陀 南無阿弥陀
母
お母さんの真似してね
リコ
うん
リコ
・・・・・
これであってるかな?
これであってるかな?
母
はい、リコ
よく出来たね
次の人に変わって
よく出来たね
次の人に変わって
リコ
うん
矢橋のおばちゃん
リコちゃん、えらいね
母
矢橋さん
リコ
おばちゃんもきたの?
矢橋のおばちゃん
そうよ
おばあちゃんにはお世話になったからね
おばあちゃんにはお世話になったからね
母
・・・
矢橋のおばちゃん
じゃあお焼香させてもらうわね
そう言って矢橋のおばちゃんが 抹香を摘み香炉に落とす
矢橋のおばちゃん
水野のおばあちゃん、成仏してね
そのとき・・・
矢橋のおばちゃんはそういうと お数珠を手にかけて頭を下げた
パーーーーッン!!
矢橋のおばちゃん
えっ!
矢橋のおばちゃんのお数珠の糸が 音を立てて切れ、 水晶の玉がキラキラ光りながら あたりに飛び散った
水野のおばあちゃん
私が死んで嬉しいか
矢橋のおばちゃん
えっ!?
水野のおばあちゃん?
水野のおばあちゃん?
母
えっ?
水野のおばあちゃん
私が死んで嬉しいか
矢橋のおばちゃん
おばあちゃん?!
うれしくない!
うれしくないよ!?
うれしくない!
うれしくないよ!?
母
矢橋さん?
どうしたの?
どうしたの?
矢橋のおばちゃん
聞こえないの?!
おばあちゃんが!
水野のおばあちゃんが・・・!
おばあちゃんが!
水野のおばあちゃんが・・・!
水野のおばあちゃん
私が死んで嬉しいか!
矢橋のおばちゃん
ごめんなさい
返しますから!
必ず返しますから!
返しますから!
必ず返しますから!
そういうと矢橋のおばちゃんは 泣き崩れた・・・
主
その後落ち着いてから
主
お坊さんが矢橋のおばちゃんに
話を聞いたところ
話を聞いたところ
主
矢橋のおばちゃんは
主
水野のおばあちゃんに
主
沢山お金を借りていたようです
主
おばあちゃんが生きていた頃も
主
なんだかんだ理由をつけて
主
ほとんど返していませんでした
主
だから水野のおばあちゃんが死んで
主
お金を返さなくてよくなった、
死んで嬉しいと思ってしまったようです
死んで嬉しいと思ってしまったようです
主
それを水野のおばあちゃんが怒って
主
お数珠を切ったのだと
主
お坊さんが言っていました
主
それから矢橋のおばちゃんは
お金を全部返して
お金を全部返して
主
心から冥福を祈り
手を合わせたようです
手を合わせたようです
主
わたしには優しくありがとうと
言ってくれたおばあちゃんが
言ってくれたおばあちゃんが
主
矢橋のおばちゃんには
怒りの言葉をかけたことに
怒りの言葉をかけたことに
主
衝撃を受けた出来事でした・・・