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学生生活でほとんどの生徒が盛り上がる体育祭がいよいよスタートした。
保護者が自分の子供の晴れ姿を見に来ている。
生徒たちは各係の活動で忙しそうにしていた。
この学校には、屋台が来てポテトやチョコバナナ、かき氷が販売されている。
個人競技は徒競走、障害走、借り人競争の順に行われる。
団体競技は綱引き、竹取物語、台風の目の順番に行われる。
その後に、応援合戦、全員参加のムカデ競争、選抜式のリレーが行われる。
それと同時進行で係の仕事があるため、体育祭は忙しいのだ。
…ちなみに私とあいつは一緒のチームだ。
成瀬春樹
咲野藍
成瀬春樹
なに勘違いしてんだこいつ。
私は走りたいから徒競走を選んだわけではなく、速く終わらせたいから徒競走を選んだのだ。
小日向芽依
姫沢咲良
咲野藍
成瀬春樹
私は「喧嘩ができる」というわけで、「運動神経がいい」というわけではないのだ。
だから、体力テストも最低ランクである。
係の人
ピストルの音と同時に体を動かす。
土を蹴り、全速力で走る。
白線の、自分のラインに沿って走る。
気づいたときには最下位だった。
どうせ最下位のやつが努力しても無理だ。
成瀬春樹
成瀬春樹
何を言ってんだあいつは。あんな大声で。
周りの人たちが不審がっている。
馬鹿かあいつは。
笑みが溢れる。
あいつに応援されたら体が別人のように動いた。
雷鳴のように走り、前のやつの背中が見えた。
咲野藍
ゴールに着いた体は、鼓動が早くなっていた。
成瀬春樹
小日向芽依
姫沢咲良
咲野藍
なれない運動量に体が追いつけていない。
成瀬春樹
小日向芽依
小日向芽依
小日向芽依
成瀬春樹
姫沢咲良
姫沢咲良
咲野藍
はー、はー、はーーー。
成瀬春樹
咲野藍
成瀬春樹
私は最下位を免れたことが意外にも嬉しかった。
次は障害走である。
芽依と咲良が出る競技である。
小日向芽依
姫沢咲良
成瀬春樹
咲野藍
体育祭なんて糞だ。
陽キャの祭りだ。
あちこちで陽キャが騒いでいる。
だから嫌いなんだ。
係の人
障害走は、障害物が置いてありそれをかいくぐってゴールする競技だ。
小日向芽依
芽依は持ち前の運動神経で、1位でゴールした。
咲良は予想通り最下位だった。
姫沢咲良
この性格でなぜ学校のマドンナ的なものなのかが分からない。
…次は借り人競争だ。
成瀬春樹
咲野藍
成瀬春樹
咲野藍
この陽キャの祭りで目立つのは嫌だ。
まぁ全員捻ればいいが、揉め事はあまり起こしたくない。
放送係
放送係
一斉に男子がスタートした。
あいつがお題をめくる。
小日向芽依
咲野藍
成瀬春樹
お題をめくると、あいつは顔が明るくなった。
咲野藍
あいつがこっちに来る。
嘘だ。絶対私じゃない。
成瀬春樹
成瀬春樹
そう言うとあいつは私を軽々持ち上げ、走った。
放送係
放送係
放送のやつが話題にしたのはやっぱり私だった。
こうなるから嫌なんだ。
ほんとに死ね
成瀬春樹
咲野藍
成瀬春樹
「こわい」とか言いながら笑っていやがる
こいつはほんとに不思議なやつだ。
普通私に「ボコボコにしてやる」とか言われたら一般人は腰を抜かすのだが。
私の心臓は、意思に反して早くなっていた。
放送係
成瀬春樹
咲野藍
成瀬春樹
走っているときも感じたが、こいつは運動神経がいいんだなと思う。
放送係
放送係
全員の視線が今度はこいつに集まる。
咲野藍
成瀬春樹
放送係
「余計なこと言うな」ってそういうことじゃねぇよ!!!
成瀬春樹
咲野藍
成瀬春樹
私は自分の足で、自分のテントに戻った。
帰る途中で、まだ心臓がドキドキしていた。
咲野藍
壁を拳で叩く。
咲野藍
どうやらあいつと一緒にいるせいで、体も壊れたようだ。
その後無事に団体戦も終わり、昼になった。
成瀬春樹
成瀬春樹
成瀬春樹
成瀬春樹
咲野藍
咲野藍
たしかこいつに私の好物の話は1回もしたことがないはず。
怖すぎだろ…
成瀬春樹
咲野藍
成瀬春樹
咲野藍
成瀬春樹
咲野藍
成瀬春樹
咲野藍
藤岡知子
藤岡知子は過去の藍と現在の藍を比べていた。
放送係
お昼の時間が終わりアナウンスが入った。
次はリレーである。
リレーは運動神経がいい人や、体力テストの結果がいい人で選ばれる。
成瀬春樹
咲野藍
初めて知った。
成瀬春樹
咲野藍
小声で言ったのであいつには聞こえなかった。
成瀬春樹
咲野藍
スタート位置に並んでいる。
最後に並んでいるのでアンカーというのは嘘ではなさそうだ。
私があいつを見るとあいつは笑顔で手を振ってきた。
前の私なら気味悪がってただろうが、何故か今はそんな悪い気持ちはしなかった。
放送係
放送係
放送係
放送係の声でさらに盛り上がる。
生徒は係活動を忘れて、保護者は日々の疲れを忘れてあちこから歓声が聞こえた。
放送係
リレーがスタートした。
といっても、あいつはアンカーなのでそれ以外は興味がなかった。
放送係
バトンがアンカーに渡った。
さすが運動神経がいい人は違うなと思った。
フォームや、力の使い方が根本から私とは違うのだ。
これなら1位だな。
目を逸らそうかと思った次の瞬間―
成瀬春樹
放送係
放送係
咲野藍
馬鹿か私は。
私を抱えて走るなんてそんなの足にくるに決まってるんだ
つまりあいつは…借り人の頃から足がきつかったんだ
なんで気づかなかった!?
あいつもあいつで馬鹿だ
辛いならつらいって言えよ!!!!!!
放送係
成瀬春樹
咲野藍
そんなのさせねーよ。
させるわけねーだろ!!
咲野藍
成瀬春樹
私はお前に応援された時、体が別人のように動いた。
今度は私がする番だ。
咲野藍
咲野藍
咲野藍
成瀬春樹
咲野藍
咲野藍
成瀬春樹
私は腹の底から声を出した。
何してんだ私は。目立ちたくないって願ってたはずなのに。
今じゃ全員の視線が私に向いている。
これも全てあいつのせいだ。
放送係
咲野藍
そんな言葉がつい口に出ていた。
成瀬春樹
成瀬春樹
咲野藍
抱きつく必要はないだろ。
咲野藍
咲野藍
成瀬春樹
成瀬春樹
咲野藍
成瀬春樹
咲野藍
咲野藍
成瀬春樹
咲野藍
成瀬春樹
この年の体育祭は何故か例年より楽しかった。