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代理出産クラブ

第8話 - 絶対的な信頼

2024年02月28日

#ドラマ

#一次創作

#ちょいエロ

#第2回テノコン

×××

千里がクラブ関係者に人質に取られている事など知る由もない啓一と満谷は

啓一の自宅で契約書のコピーを探していた

河上啓一

確か、この引き出しに・・

河上啓一

あ！ありました！

河上啓一

ありましたよ！満谷さん！

満谷翼

本当ですか！？

河上啓一

はい！これです！

啓一は引き出しから取り出した契約書のコピーを満谷に見せる

満谷はそれに目を通す

満谷翼

・・・・・

満谷翼

・・・・・

満谷翼

よし！早速これを
署に持ち帰りましょう

満谷翼

コレは奴らの
違法行為を決定づける
証拠になります！

河上啓一

ええ！そうですね！

満谷翼

ただちに向かいましょう！

河上啓一

はい！

啓一と満谷が部屋を後にして警察署に向かおうとすると

プルルルル

啓一のスマホから着信音が鳴り響く

河上啓一

なんだよ！こんな時に！

啓一が苛立った様子でスマホのディスプレイを確認する

河上啓一

あ・・・

満谷翼

どうかされました？

河上啓一

日下部さんからです

満谷翼

日下部さん？

河上啓一

何かあったんですかね？

満谷翼

おそらくこっちの事が
心配なんでしょう

河上啓一

・・・・・

啓一は彰からの電話に出ようとしない

満谷翼

出ないんですか？

河上啓一

いいんですよ・・

河上啓一

日下部さんは俺に
巻き込まれた
だけなんですから・・

河上啓一

これ以上関わらない
方がいいんです・・

満谷翼

河上さん・・・

しかし彰からの着信は途切れる事なく続いている

河上啓一

・・・・・

満谷翼

やはり出られては？

河上啓一

え！？

満谷翼

日下部さんだって
部下である河上さんの事が
心配なんですよ・・・

満谷翼

クラブ関係者より先に
契約書のコピーを
手に入れた事だけでも
伝えたらどうです？

河上啓一

まぁ・・・

河上啓一

それもそうっスね・・・

啓一は満谷に諭されしぶしぶ電話に出る

日下部彰

もしもし？もしもし？

日下部彰

河上くん？

河上啓一

く、日下部さん・・・

日下部彰

ああ！やっと出たか！

河上啓一

あの・・やっぱり
日下部さんは──

日下部彰

今は家に居るのか？

河上啓一

ええ、まぁ・・・

日下部彰

満谷さんも一緒か？

河上啓一

日下部さん！
ですから──

日下部彰

今から向かうから
待っててくれ！

河上啓一

でも日下部さんは──

日下部彰

いいから
待ってろ！

日下部彰

いいな？

河上啓一

日下部さん？

河上啓一

何かあったんスか？

日下部彰

詳しくは
河上くんの家で話す

日下部彰

引越ししたりは
してなかったよな？

河上啓一

あ、は、はい・・・

日下部彰

分かった！

日下部彰

すぐに向かうから
待っててくれ！

河上啓一

わ、分かりました・・・

河上啓一

・・・・・

満谷翼

河上さん？

満谷翼

日下部はなんと？

河上啓一

今からこっちに
向かうそうです

満谷翼

今から？日下部さんが？

河上啓一

はい・・・

河上啓一

何があったっぽくて

河上啓一

なんか凄く
苛立ってるって
感じでした

満谷翼

苛立ってる・・・

河上啓一

日下部さんって
普段から温厚な人で

河上啓一

激昂する事なんて
ないんですけど

満谷翼

何かあったんでしょうか？

河上啓一

詳しくはこっちに
来てから話すって

満谷翼

そうですか・・・

河上啓一

ですからしばらく
待とうと思います

河上啓一

契約書のコピーは
もう手元にありますし

満谷翼

まぁ、そうですね

満谷翼

待ちましょうか

河上啓一

はい・・・

啓一と満谷が彰の到着を待っていると

ピンポーン

インターフォンが鳴り響く

河上啓一

日下部さんかな？

満谷翼

河上さん！

満谷翼

無闇にドアを
開けないように！

満谷翼

もしかしら
クラブ関係者かも
しれませんから

河上啓一

はい！分かってます！

啓一はゆっくりどドアに近づき

覗き穴から外の様子を伺う

河上啓一

あ！

覗き穴の先には彰の姿があった

河上啓一

日下部さんだ！

啓一は彰の姿を確認するとすぐさまドアを開けた

日下部彰

河上くん！

河上啓一

日下部さん・・・

日下部彰

満谷さんも居るよな？

河上啓一

はい・・・

日下部彰

分かった！

日下部彰

ちょっと
入らせてもらうよ

河上啓一

あ、は、はい

河上啓一

ど、どうぞ・・・

満谷翼

日下部さん！

日下部彰

どうも・・・

満谷翼

何かあったんですか？

河上啓一

かなり
苛立ってましたよね？

日下部彰

千里がクラブ関係者に
攫われたんだ！！

河上啓一

え！？奥さんが？何で？

啓一は彰の予想外の発言に目を見開いて驚く

満谷翼

奥さんがクラブ関係者に？

満谷翼

ですが日下部さんは
クラブとは無関係

満谷翼

なぜ攫われたんです？

日下部彰

コレが原因だと思います

彰は内ポケットから満谷の警察手帳を取り出す

満谷翼

え？警察手帳？

満谷翼

しかもそれは私の──

日下部彰

すいません満谷さん

日下部彰

俺満谷さんにこの手帳
返しそびれてたみたいで

彰は満谷に頭を下げながら警察手帳を手渡す

満谷翼

ま、まぁ、その件は
後から話すとして

満谷翼

なぜこの手帳が
原因だと思うんですか？

日下部彰

どうやらこの手帳には
なんらかの発信機が
仕込まれてるみたいです

河上啓一

は、発信機？

満谷翼

ま、まさか！！！

満谷翼

そんな訳──

日下部彰

家に来たクラブ関係者は

日下部彰

さっき病院で
俺たちの前に現れた
偽警官でした

河上啓一

あ、あいつが！？

日下部彰

そしてそいつは
俺の家に

日下部彰

河上くんと満谷さんが
居ると思い込んでる
みたいでした・・

満谷翼

え？なんで？

日下部彰

これは俺の予想なんですが

日下部彰

Dクラブの経営には
警察関係者が絡んでる
んじゃないですか？

満谷翼

ま、まさか！！
そんな事ありえません！

日下部彰

そうでしょうか？

日下部彰

警察手帳に
発信機なんて真似

日下部彰

一般化がやろうと思っても
簡単にできるもんじゃない

満谷翼

・・・・・

日下部彰

現にアイツは
警察手帳に発信機が
仕込まれているのを

日下部彰

初めから知ってる
ような口ぶりでしたよ？

満谷翼

・・・・・

日下部彰

そんな事を一般人が
知ってるなんて
考えられません！

河上啓一

た、確かに・・・

日下部彰

それにクラブ関係者が
俺の住所を知ってるなんて
考えられません

満谷翼

・・・・・

日下部彰

満谷さん・・・

日下部彰

あなたはどっちですか？

満谷翼

え？どっち・・？

日下部彰

あなたはクラブに
関係してるんですか？

日下部彰

それとも関係
してないんですか？

満谷翼

関係してないに
決まってるでしょ！？

満谷翼

そもそもDクラブの
存在自体──

満谷翼

皆さんから聞かされて
初めて知ったんです

日下部彰

だったら何処の誰が
警察手帳に発信機を
仕込んだって言うんです？

日下部彰

Dクラブの関係者

日下部彰

もしくはそのバックに
警察関係者が居るとしか
考えられません！

河上啓一

た、確かに・・・

満谷翼

わ、私は本当に
何も知りません

日下部彰

まぁ、満谷さんは
巡査部長ですから

日下部彰

知らされていない
としても不思議じゃない

河上啓一

もっと上
って事ですか？

日下部彰

そう考えるのが
自然だと思う

満谷翼

・・・・・

日下部彰

だいたい警察手帳に
発信機を仕込むなんて

日下部彰

ある程度の地位が無きゃ
できる訳がないからな

河上啓一

Dクラブに警察が・・

河上啓一

そんな漫画や
ドラマみたいな話って・・

河上啓一

でもだからって
何で奥さんが
攫われたんです？

河上啓一

全くの無関係なのに

日下部彰

アイツらの目的は
俺たちが予想したように

日下部彰

河上くんが持ってる
契約書のコピーだった

日下部彰

今河上くんが
もってるソレだな

河上啓一

や、やっぱり
コレが目的だったのか

日下部彰

だけど警察手帳の
発信機を頼りに
やって来たら──

河上啓一

手帳を持っていたのは
満谷さんじゃなくて
日下部さんだった

日下部彰

ああ！

日下部彰

当然満谷さんも
そこには居なかった

日下部彰

だから千里を
人質として攫って

日下部彰

代わりに俺に契約書のコピーを
持ってくるように言ったんだ

河上啓一

そういう事か・・・

日下部彰

俺とはすでに
偽警官として
面識があったから

日下部彰

俺が河上くんの
知り合いだって
すぐに分かったんだろう

河上啓一

まじかよ・・・

河上啓一

俺のせいかよ・・・

日下部彰

そうじゃない！

日下部彰

河上くんだって
被害者だろ？

河上啓一

日下部さん・・・

日下部彰

悪いのは
クラブ関係者だ！

日下部彰

河上くんじゃない！

日下部彰

満谷さん？

日下部彰

警察の階級って
何があるんでしたっけ？

満谷翼

か、階級は下から
巡査、巡査長、巡査部長

満谷翼

警部補、警部、警視

満谷翼

警視正、警視長

満谷翼

警視監に警視総監

満谷翼

この10階級です

日下部彰

その中で手帳に
発信機をつけれそうな
階級ってあります？

満谷翼

ま、まぁ、
警視監と警視総監なら
可能かと思います・・

満谷翼

で、ですが、やはり
私は警察関係者が
クラブに関与してるとは

日下部彰

身内を疑いたく無い
って満谷さんの気持ちは
痛いほど分かります

日下部彰

ですがこれは
素人が見ても

日下部彰

警察が関与してるのは
明白なんです！

満谷翼

・・・・・

満谷翼

私は警察
という組織に

満谷翼

絶対的な信頼を
寄せていました・・・

日下部彰

・・・・・

満谷翼

弱きを助け悪をくじく

満谷翼

そんな存在だと
心から信じていました

満谷翼

絶対的な正義の
象徴だと信じて疑わず

満谷翼

今日まで警察官を
やってきました・・

河上啓一

満谷さん・・・

満谷翼

その信頼は
揺るぎないと

満谷翼

ずっと信じて
いたんです

満谷翼

ですがその信頼が
揺らぎつつあります

日下部彰

・・・・・

満谷翼

信じたく無い・・・

満谷翼

警察がDクラブに
関与しているなんて
信じたく無い・・・

満谷翼

ですが日下部さんが
仰るように・・・

満谷翼

警察が関与
しているのは明白

日下部彰

・・・・・

満谷翼

私しも出来る事が
あるならば

満谷翼

お二人に協力
させてください

彰と啓一に深々と頭を下げる満谷

日下部彰

満谷さん・・・

河上啓一

満谷さんが協力
してくれるんなら

河上啓一

これほど心強い
味方は居ないっスよ

河上啓一

ね？日下部千さん！

啓一が彰の方を見るが彰は苦い表情をしている

日下部彰

・・・・・

河上啓一

日下部さん？

満谷翼

無理もありません

満谷翼

今回の一件に
警察関係者が
絡んでいるんです

満谷翼

信用できないでしょう

日下部彰

いや、そうじゃ
ないんです

満谷翼

え？

日下部彰

満谷さんは
大丈夫なんですか？

満谷翼

私・・ですか？

日下部彰

だって満谷さんは
現役の警察官でしょ？

日下部彰

俺たちに協力
するって事は、つまり

日下部彰

上に逆らうって──

満谷翼

何を言ってるんです

満谷翼

たしかに上に
逆らうって事には
なるかもしれませんが

満谷翼

こんなクラブに
関係しているような
腐った上層部なんて

満谷翼

私が信頼している
警察なんかじゃ
決してありません！

河上啓一

満谷さん・・・

満谷翼

そんな上の連中──

満谷翼

まとめて告発して
逮捕してやりたい
くらいですよ！

日下部彰

満谷さん・・・

日下部彰

来てくれた警官が
満谷さんで本当に
良かったです

満谷翼

日下部さん・・・

日下部彰

ありがとうございます

満谷翼

で、私は何を
すればいいんでしょう？

日下部彰

そうですね・・・

河上啓一

あの、単純な
思いつきなんですけど

日下部彰

ん？どうした？

河上啓一

あ、いや、こんな事

河上啓一

現実的じゃ・・・

日下部彰

話してみてくれ

河上啓一

ですが・・・

満谷翼

何か解決の
糸口が見つかる
かもしれません

満谷翼

どんな些細な事でも
構いませんから
話してみてください

日下部彰

あ！今の警察
っぽいですね！

満谷翼

け、警察ですよ！

河上啓一

わ、わかりました

河上啓一

なら僕の与太話
として聞いてください

日下部彰

ああ！分かった！

啓一はしぶしぶ口を開く

日下部彰

よし！なら
この作戦で行こう

河上啓一

でも・・・

日下部彰

満谷さんも
”こう言ってくれてる”んだ

満谷翼

そうです！河上さん！

満谷翼

これは
”私の意思”です

河上啓一

満谷さん・・・

満谷翼

私は警察を
正したいんです

日下部彰

・・・・・

満谷翼

確かに私の行動は
警察を売るに等しい
行為かもしれません

満谷翼

ですがこれが
警察という組織が変わる
キッカケになるのなら

満谷翼

私はよろこんで
”マスコミ”に警察を
売り渡します！

河上啓一

満谷さん・・・

日下部彰

分かりました・・・

日下部彰

では満谷さんに
お願いします

河上啓一

けど・・・

日下部彰

ん？どうした？

河上啓一

満谷さんが動くと
バレませんかね？

河上啓一

だって満谷さんの動向は

河上啓一

手帳に仕込まれた
発信機で筒抜け
なんですよね？

日下部彰

た、確かに・・・

満谷翼

それなら私に
考えがあります

日下部彰

考え？

満谷翼

私に任せてください！

河上啓一

満谷さん・・・

日下部彰

わかりました

日下部彰

満谷さんに
お任せします

日下部彰

あ！

河上啓一

どうかしました？

日下部彰

千里からメッセージだ

河上啓一

え？奥さんから？

日下部彰

なんだろ・・・

日下部彰

・・・・・

河上啓一

なんて来ました？

日下部彰

多分このメッセージは

日下部彰

千里を攫ったヤツが
千里のスマホを使って

日下部彰

メッセージを
送ってんだろうな

日下部彰

都内のビルの住所が
送られてきてる

河上啓一

ビルの住所？

満谷翼

そこに契約書の
コピーを持って来い！
という事でしょうか？

日下部彰

おそらく

日下部彰

では、満谷さん

日下部彰

俺と河上くんは
このコピーを持って

日下部彰

指定されたビルに
向かいます

満谷翼

はい！

日下部彰

満谷さんは
”さっき話した”様に

日下部彰

根回しをお願いします

満谷翼

任せてください

河上啓一

すいません満谷さん

河上啓一

この計画は元は
俺が言い出した
事なのに

河上啓一

満谷さんに丸投げ
しちゃって・・・

満谷翼

何を言ってるんです！

満谷翼

私なんかより皆さんの方が
よっぽど危険なんです

日下部彰

ま、まぁ、そうですね

満谷翼

日下部さん！河上さん！

満谷翼

どうかご無事で！

満谷翼

私も出来る限り
早く処理しますので

河上啓一

おねがいします！
満谷さん！

日下部彰

じゃあ、河上くん

日下部彰

行こうか

河上啓一

は、はい！

彰と啓一は契約書のコピーを手にし

指定されたビルに向かうべく部屋の外へ出る

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