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都内某所の雑居ビル

 

ふざけんじゃねぇぞ
クソやろーが!

 

ぐはっ!

男は頬を力強く殴られ その場に倒れ込む

 

俺はてめーに何て
指示した?あ?

 

あ、いや・・・

 

俺は河上と警官より先に
契約書のコピーを入手しろ

 

そう指示したよな?あ?

 

は、はい・・・

 

そだよな?確かに
俺はそう指示した!

 

で?肝心のコピーは
今どこにあるんだ?

 

・・・・・

 

有るわきゃねぇよな?

 

だっててめーは
河上の家にすら行って
ねーんだもんな?

 

で、ですがあれは
手帳の発信機が──

 

口答えしてんじゃねー

 

それに関係ねー女を
拉致って来やがって

 

誰だよ!この女は!

日下部千里

・・・・・

男は千里の事を指差し 倒れ込む男を恫喝する

 

ど、どうやら
河上の直属の上司の
嫁らしくて・・・

 

無理やり河上と
結びつけてんじゃねー

 

ようは無関係な人間
って事だろーか!

 

は、はい・・・

 

勝手な事しやがって

 

副総監の手を煩わせる
ような真似すんじゃねー

 

なめんてじゃ
ねーぞ!コラ!

 

も、申し訳
ありません・・・

近衛副総監

まぁまぁ!少し
落ち着きたまえよ!

 

ですが副総監──

近衛副総監

彼には後々
ペナルティを
与えればいいんだ

 

・・・・・

近衛副総監

しかし暴力は
いかんよ!暴力は!

近衛副総監

彼を殴ったとしても
契約書のコピーが
手に入る訳ではない

近衛副総監

そうだろ?

 

は、はい・・・

近衛副総監

もっとスマートに
やるんだよ・・・

そう言うと近衛は ゆっくりと千里に歩み寄る

近衛副総監

お嬢さん?

近衛副総監

日下部千里
さんと言ったね?

日下部千里

は、はい・・・

近衛副総監

そうか・・千里さん

近衛副総監

怖い思いをさせて
申し訳なかったね

日下部千里

い、いえ・・・

近衛副総監

しかし安心してほしい

近衛副総監

別に君をどうこう
しようという訳では
ないんだよ

日下部千里

・・・・・

近衛副総監

しかし君には
聞きたい事があるんだ

日下部千里

な、なんですか?

近衛副総監

君と河上啓一の
関係についてだ

近衛副総監

彼とは一体
どんな関係なのかな?

日下部千里

か、河上さんは
夫である日下部彰の
直属の後輩なんです

近衛副総監

ふむふむ、先ほど
彼が言っていたね

日下部千里

は、はい・・・

近衛副総監

何か大事な話を
していたりとかは
なかったかな?

日下部千里

だ、大事は話ですか?

近衛副総監

どんな些細な
事でも構わないんだ

近衛副総監

何かないだろうか?

日下部千里

え、えっと、夫から

日下部千里

河上さんにDクラブを
紹介された!という
事くらいしか・・

千里の口から Dクラブの名前を口にすると 近衛の目つきが変わった

近衛副総監

(ほうほう)

近衛副総監

(これは実に
興味深い話だな)

近衛副総監

なぜ河上くんは
旦那さんにDクラブを
紹介したのかな?

近衛副総監

思い当たる事は
あるかな?

日下部千里

わ、私たち夫婦はずっと
不妊に悩んでまして

近衛副総監

(不妊か・・・)

近衛副総監

(運良く不妊夫婦の
嫁を連れてくるとは)

近衛副総監

(これは使えそうだな)

千里の話を聞き 男が近衛に近づき 小声で話しかける

 

副総監・・・

 

この話、使えそうですね

近衛副総監

ああ、ちょうど今
私も同じ事を
考えていたところだ

日下部千里

・・・・・

密談をする近衛と男を 千里は不安な眼差しで見つめる

近衛が何かを企てている頃

雑居ビルの前には 契約書のコピーを手にした 彰と啓一の姿があった

河上啓一

ここっスね・・・

河上啓一

指定されたビルって

日下部彰

ああ・・・

日下部彰

とりあえずメッセージ
送ってみるよ

彰はスマホを操作し ビル前に到着した旨を伝える メッセージを送る

千里のスマホに 彰からのメッセージが 送られて来る

日下部千里

(あ!彰・・・)

 

日下部彰から
連絡が来たのか?

日下部千里

は、はい・・・

 

スマホを借りるぞ

日下部千里

は、はい・・・

 

・・・・・

近衛副総監

連絡が来たのかね?

 

はい!今ビルの前に
着いたそうです

近衛副総監

そうか!そうか!
それは良かった!

近衛副総監

ならばここに
案内しなさい!

 

分かりました

メッセージを受け取った彰は

指示に従いビル内を進む

河上啓一

なんか薄暗くて
不気味っスね・・

河上啓一

でもこの先に・・・

日下部彰

ああ・・・

日下部彰

千里が居るはずだ

河上啓一

満谷さん・・上手く
やってくれてますかね?

日下部彰

分からない

日下部彰

けど今は満谷さんしか
頼れる人が居ないんだ

日下部彰

信じて前に
進むしかないよ

河上啓一

そ、そうっスね・・・

しばらくビル内を進むと 突き当たりのドアが 目の前に現れた

河上啓一

こ、ここっスね

日下部彰

(千里・・・)

日下部彰

(無事でいてくれ・・・)

彰と啓一は深く深呼吸をする

日下部彰

さぁ!開けるぞ!

河上啓一

は、はい・・・

彰はドアノブに手をかけ ドアを開ける

ギイィィィィ

一方その頃

満谷翼

くそ!

満谷翼

やっぱり何処からも
”連絡がない”

満谷翼

やっぱり誰にも
信じてもらえてないんだ

満谷翼

こんな話・・・

時間を少々遡り

彰、啓一、満谷が 河上宅にいる頃

河上啓一

あの、単純な
思いつきなんですけど

日下部彰

ん?どうした?

河上啓一

あ、いや、こんな話

河上啓一

現実的じゃ・・・

日下部彰

話してみてくれ

河上啓一

ですが・・・

満谷翼

何か解決の
糸口が見つかる
かもしれません

満谷翼

どんな些細な事でも
構いませんから
話してみてください

日下部彰

あ!今の警察
っぽいですね!

満谷翼

け、警察ですよ!

河上啓一

わ、わかりました

河上啓一

なら僕のを与太話
として聞いてください

日下部彰

ああ!わかった!

河上啓一

やっぱり今回の件

河上啓一

俺たちだけて
何とかしようなんて
無理だと思うんです

日下部彰

無理?

満谷翼

人手が足らない
という話ですか?

河上啓一

はい・・・

河上啓一

けどだからって
このまま何もしない
って訳にはいきません

日下部彰

ああ、だよな・・・

河上啓一

なら、いっその事──

河上啓一

この話をマスコミに
リークするってのは
どうですかね?

日下部彰

マスコミ?

日下部彰

週刊誌的な?

河上啓一

はい!

河上啓一

ホラ!最近多いでしょ?

河上啓一

芸能人の誰々と
肉体関係なありました!

河上啓一

とか

河上啓一

芸能人の誰々に
性被害を受けました!

河上啓一

って言って情報を
週刊誌に売る人!

日下部彰

まぁ、最近多いよな

河上啓一

そういう話題って
今じゃすぐにSNSで
バズるじゃないっスか

河上啓一

だからそれを利用して

河上啓一

週刊誌とかに
このDクラブの情報を
リークするんですよ

河上啓一

違法な代理出産を
秘密裏に斡旋してる
ヤツらが実際に居て

河上啓一

その組織には
警察署上層部が
絡んでるって!

日下部彰

確かにそれが実現したら

日下部彰

とんでもない騒ぎになるな

日下部彰

言ったらこれは
警察の不祥事みたいな
話だもんな・・・

河上啓一

はい!

日下部彰

けど信用されるかな?

日下部彰

そんな話・・・

河上啓一

そこなんですよね

河上啓一

俺がこの話が
現実的じゃないって
思う理由は

河上啓一

誰だって信用
しないでしょうから

日下部彰

冷やかしって
思われるのが
関の山だよな・・

満谷翼

なら私が
実名でやりましょう!

日下部彰

え!?満谷さんが?

河上啓一

しかも実名って・・・

満谷翼

現役の警察官の
実名での告発となれば

満谷翼

信憑性も増すでしょう

河上啓一

でもそりゃ
さすがに危ないっスよ

満谷翼

こんな状況です

満谷翼

個人情報がどうの
なんて言ってられる
状況じゃありません

満谷翼

こうしてる間も
日下部さんの奥さんは

満谷翼

クラブ関係者に
拉致されてるんです

日下部彰

満谷さん・・・

満谷翼

一刻も早く事を
納めなければいけません!

満谷翼

その為には現役の警察が
実名で週刊誌に
告発文を送りつける

満谷翼

それが一番
手っ取り早いです!

河上啓一

満谷さん・・・

それから満谷は 週刊誌をはじめとした マスコミ各所に

Dクラブの違法行為を 洗いざらい綴った告発文を ありったけ送りつけた

告発文には現役警察官である 自分の実名と連絡先を記載してはいたが

内容が内容なだけに 使用されていないようで

協力してくれるマスコミ からの連絡はない

満谷翼

くそ・・・

満谷翼

どうする!!

満谷翼

こうしてる間も
日下部さんと河上さんは

満谷が焦っていると

プルルルル

満谷のスマホから 着信音が鳴り響く

満谷翼

ん?

満谷がポケットから スマホを取り出して ディスプレイを確認する

それは登録していない 連絡先からの着信だった

満谷翼

!!!!!!!

満谷翼

も、もしかして!!

満谷はもしかしたら 週刊誌の記者か?という 期待を胸に電話に出る

満谷翼

も、もしもし?

男性

ああ、突然の電話
失礼致します

男性

この電話は満谷翼
さんの携帯番号で
お間違い無いでしょうか?

満谷翼

は、はい!
満谷は私です!

満谷翼

も、もしかして
あなたは──

男性

申し遅れました

男性

私、週刊分秋で
雑誌記者をしております

馬場龍河

馬場龍河
(ばばりゅうが)

馬場龍河

と、申します

満谷翼

週刊文秋!!!!

電話の相手は 週刊誌市場で最大手とされる 週刊文秋の記者だった

満谷翼

(週刊文秋の記者に
連絡もらえるなんて)

満谷翼

ありがとうございます!

満谷翼

ありがとうございます!

馬場龍河

現役警察官による
実名の告発文──
拝見いたしました

馬場龍河

ですが、あの話は
本当なんでしょうか?

馬場龍河

Dクラブに
警察の上層部が
絡んでいるなんて

馬場龍河

もしこの話が本当なら
稲○事件以上の
警察の不祥事ですが・・

満谷翼

ええ・・それが
本当なんです

馬場龍河

・・・・・

満谷翼

それに今まさに
そのクラブの関係者に

満谷翼

知り合いが
攫われてしまっている
状況なんですよ

馬場龍河

一刻の猶予も
無い状況だと
言う事ですね?

満谷翼

はい!そうなんです

馬場龍河

しかしならば
週刊誌への告発文は

馬場龍河

少々コスパが
悪いように感じます

満谷翼

え?

馬場龍河

我々は週刊誌です

馬場龍河

今週号は先日
発売されたばかりで

馬場龍河

たとえDクラブの
記事を書いたとしても

馬場龍河

それが発売されるのは
来週になってしまいます

満谷翼

そ、それは・・・

馬場龍河

ですが、満谷さんの目的が

馬場龍河

記者にDクラブの
記事を書かせる事
ではなく──

馬場龍河

今回の一件を
大事にする事ならば
まだやりようはあります

満谷翼

どういう事です?

馬場龍河

報道関係者に
知り合いが居ますので

馬場龍河

テレビを使うんです

満谷翼

テ、テレビ!?

馬場龍河

とりあえず
何処かで落ち合いましょう

馬場龍河

詳しくはそこで話します

満谷翼

はい!ぜひ!

馬場龍河

知り合いが拉致
されている場所の住所は
把握されてますか?

満谷翼

はい!把握しています

馬場龍河

わかりました!
ならこの今電話している
この番号ショートメールで

馬場龍河

その住所を
送ってもらえますか?

馬場龍河

そこで待ち合わせ
という事で!

満谷翼

はい!わかりました!

満谷翼

ご協力感謝します!

馬場は満谷から 受け取ったメールに 記載されていた住所に来ていた

馬場龍河

確か・・この辺だよな?

辺りをキョロキョロ している馬場に 満谷が近づいて来る

満谷翼

もしかして
馬場龍河さんですか?

馬場龍河

あ、あなた──
満谷さん?

満谷翼

はい!満谷です!

馬場龍河

正直言ってまだ
半信半疑な部分も
あったんですが

馬場龍河

本当に警察官
なんですね・・・

満谷翼

わざわざ
ありがとうございます

馬場龍河

いえ、こちらとしても

馬場龍河

警察の不祥事なんてネタ

馬場龍河

手に入れようと思っても
なかなか手に入らない
大スクープですからね

満谷翼

ですが馬場さん
だけでした

満谷翼

連絡をしてくれたのは

馬場龍河

まぁ内容が内容なだけに
仕方ないでしょう

満谷翼

誰からも信用
されてないとばかり
思っていました

満谷翼

なぜ信じてくれたんです?

満谷翼

こんな突拍子もない話

馬場龍河

まぁ、私自身
Dクラブとは多少の
因縁がありましてね

満谷翼

え?因縁?

馬場龍河

数年前、廃刊になった
雑誌の編集部に記者
として在籍していた頃

馬場龍河

Dクラブの記事を
書いた事があったんです

満谷翼

ば、馬場さんが!?

馬場龍河

まぁ、その雑誌は
胡散臭い都市伝説を
紹介するオカルト雑誌で

馬場龍河

当時は警察の上層部が
絡んでるなんて
知りませんでしたから

馬場龍河

ちょっとした噂話
くらいの気持ちで書いた
記事なんですけどね

馬場龍河

代理出産クラブは
実在するのか!?
みたいな・・・

満谷翼

そんな事が・・・

馬場龍河

ですがそれが何故か
揉み消されましてね

満谷翼

もみ消し・・・

数年前

オカルト在籍 「MW」編集部

馬場は自分が書いた記事が ボツになった事で激昂し 編集部に詰め寄っていた

馬場龍河

なんでボツなんです!

編集長

私もわからん!

編集長

だが、社長から
あの記事だけは
容認できないと

馬場龍河

何故です!!

馬場龍河

あんなレベルの記事

馬場龍河

今までに何度も
書いてきましたよ!

馬場龍河

今になって何故
ボツにされなきゃ
いけないんですか?

編集長

私に言わないでくれ

編集長

私も訳が分からないんだ

馬場龍河

納得できません!

編集長

君が納得
しようがしまいが

編集長

これは社長が
決定した事なんだ!

編集長

大人しくし従ってくれ

馬場龍河

・・・・・

満谷翼

それってまさか──

馬場龍河

たかが都市伝説の
記事が何故
揉み消されたのか

馬場龍河

当時はまったく訳が
分かりませんでした

馬場龍河

しかし満谷さんの
告発文を読んだ時に
謎が解けたんです

満谷翼

警察上層部からの
圧力があった・・・

馬場龍河

そう考えるのが
自然でしょうね・・・

馬場龍河

この記事を書いたのが
2年以上も前の話なんで

満谷翼

少なくとも
その頃から警察上層部は

満谷翼

Dクラブと
関係があったんでしょう

馬場龍河

そうでしょうね

馬場龍河

まぁ、その後
ヤケクソになって

馬場龍河

同じ様な記事をブログに
書いてやったら

馬場龍河

クビになっちゃい
ましたけどね(笑)

満谷翼

は、はぁ・・・

馬場龍河

そんな事より──

馬場龍河

このビルに
満谷さんのお知り合いが?

満谷翼

その筈です・・・

馬場龍河

私の方ももうすぐ
来る筈なんですけど

馬場はしきりにスマホの 画面を確認するそぶりを見せる

満谷翼

誰かお知り合いと
待ち合わせでも?

馬場龍河

電話でも話しましたよね?

馬場龍河

テレビの力を使うって

満谷翼

ええ、仰ってましたなよ

満谷翼

あれってどういう──

馬場龍河

テレビの生中継ですよ!

満谷と馬場がそれぞれ 待ち合わせ場所に 向かっている頃

 

よう!日下部!

日下部彰

千里は無事
なんだろうな?

 

ああ!奥の部屋に居る

 

お前らが妙な動きを
したりしなけりゃ
手荒な真似はしねーよ

日下部彰

・・・・・

 

感動の再会の前に
例のものを貰おうか?

日下部彰

ああ・・わかってる

日下部彰

ほら!河上くん!

河上啓一

は、はい・・・

啓一は彰に言われ 男に契約書のコピーを渡す

 

ふむ・・・

 

確かに契約書の
コピーで間違いないな

日下部彰

さぁ!約束は守った!

日下部彰

今度はそっちが
約束を守る番だ!

日下部彰

千里を返してもらう!

近衛副総監

待ちたまえよ!

そこに近衛がやって来る

日下部彰

(ん?誰だ?)

近衛副総監

はじめましてだね!
日下部彰くん!

近衛副総監

それから河上啓一くん!

河上啓一

なんで俺たちの名前を?

日下部彰

アンタは何者だ?

近衛副総監

私は警視庁で副総監を
やらせてもらってる
近衛という者だ

日下部彰

ふ、副総監!?

河上啓一

ま、まじかよ・・・

目の前にいる中年男性が 警視庁の副総監だという事実を 目の当たりにし

目を見開いて驚く彰と啓一

日下部彰

(警察の上層部って
予想は間違ってなかった)

日下部彰

(階級も満谷さんから
聞いた通りの階級だ!)

近衛副総監

君たちはこれから
どうするつもりかね?

日下部彰

どうって・・・

近衛副総監

そのまま帰るかね?

近衛副総監

それとも我々の事を
マスコミにリークするか?

近衛副総監

SNSに投稿するか?

河上啓一

な、何が言いたいんだ

近衛副総監

君たち──

近衛副総監

我々と手を組まないか?

日下部彰

!!!!!!

河上啓一

!!!!!!

近衛の発言に驚き 空いた口が塞がらない彰と啓一

日下部彰

な、何を・・言って・・

河上啓一

手を組むって・・・

日下部彰

ふ、ふざけるな!

近衛副総監

・・・・・

日下部彰

誰がアンタらなんかと!

河上啓一

そ、そうだ!!
手を組なんてあり得ない!

日下部彰

だいたいアンタら
みたいな犯罪集団──

日下部彰

今に逮捕されて──

近衛副総監

ふははははは

近衛副総監

逮捕か!こりゃいい!

日下部彰

な、何がおかしいんだ!

近衛副総監

君たちは警察という
組織をあまり良く
理解できていない様だ

河上啓一

え?

近衛副総監

断言しよう!

近衛副総監

今回の一件──

近衛副総監

たとえ公になろうとも

近衛副総監

私が逮捕される事は
間違いなく無い!

日下部彰

な、なんでだ!!!

近衛副総監

それはな──

近衛副総監

私が副総監だからだよ

日下部彰

何を言ってる!!

日下部彰

副総監だったら
逮捕されないのか!!

近衛副総監

認めたく
無いかもしれんがね

近衛副総監

実はそうなんだ

河上啓一

何を馬鹿な事を!

近衛副総監

警察とは絶対的
正義の象徴!

近衛副総監

この国の治安維持には
必要不可欠な組織だ!

近衛副総監

その副総監である私が
逮捕される事態になったら
どうなると思うかね?

日下部彰

・・・・・

近衛副総監

世間はパニックに陥り

近衛副総監

一般市民は警察に
不信感を抱き
疑心暗鬼になる

近衛副総監

混乱に次ぐ混乱で
正義の秩序は崩壊し

近衛副総監

警察の信用は地に堕ちる

日下部彰

何がいいたいんだ!

近衛副総監

まだ分からんかね?

近衛副総監

副総監が逮捕されれば
世間はパニックに陥いる
なんて事は馬鹿でも分かる

近衛副総監

そんな事を警察という
組織は絶対に許さない

近衛副総監

正義の秩序を守る為に
私は逮捕されないんだよ

日下部彰

そんな馬鹿な話が──

近衛副総監

まぁ、認めたくないという
気持ちもわかるがね

近衛副総監

それが我が国
日本なんだよ

日下部彰

・・・・・

近衛副総監

日本という国はね
社会的に地位がある
いわゆる上級国民には

近衛副総監

物凄〜く寛大な国でね

近衛副総監

たとえ犯罪を犯しても
許されるように
出来ているんだよ

日下部彰

・・・・・

近衛副総監

そこでひとつ!

近衛副総監

上級国民である私から
日下部くんに
ある提案をしたいんだ

日下部彰

て、提案?

近衛副総監

どうやら君は
不妊に悩んでいる
そうだね?

日下部彰

だ、だったら
なんだって言うんだ

近衛副総監

私は昔から困っている
人を見つけると

近衛副総監

手を差し伸べずには
いられないお節介な
性格でねぇ・・・

日下部彰

・・・・・

近衛副総監

私たちの客になりなさい

日下部彰

なっ!!!!!!

河上啓一

きゃ、客ってまさか

近衛副総監

日下部彰!

近衛副総監

Dクラブの
客になりなさい!

近衛副総監

そう言っているんだ

近衛副総監

連れてきなさい!

近衛の合図とともに 奥の部屋から数名の女性と 千里が出て来る

日下部彰

千里!!!

日下部千里

彰!!!

日下部彰

よかった・・・

日下部彰

無事だったんだな・・・

日下部彰

本当に良かった・・・

彰は千里の無事を確認すると 安堵したのか 目にうっすらと涙が浮かぶ

日下部千里

ごめんね・・彰

日下部千里

私が攫われちゃったから

日下部彰

何言ってんだよ!
千里は悪くなんか無い!

日下部彰

俺のせいなんだ・・・

日下部彰

俺が手帳を──

近衛副総監

つもる話は後回しだ
日下部彰くん!

近衛が彰と千里の間に割り込む

日下部彰

アンタは何がしたいんだ!

日下部彰

アンタの目的はなんだ!

近衛副総監

私の目的ねぇ・・・

近衛副総監

まぁ、いい・・・
ならば少し話そうか

日下部彰

・・・・・

近衛副総監

私がこのDクラブを
やっている理由──

近衛副総監

それはね──

近衛副総監

未来への投資だよ

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