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出会ったのは亡者だったんですね😨 亡者達にとって生者は恐怖の対象だったり、おちゃめな(?)一面があったりするところはほっこりしました( ´∀`) 男はどうなったのだろうか……
逆転の発想で面白かったです!
ハロウィンは、亡者のクリスマスみたいなものかと🎃
こんばんは。
今宵はハロウィン、楽しくお過ごしのことと思います。
博識なあなたのことです、 ご存知かもしれませんが。
ハロウィンの夜には、この世とあの世が入り混じる。
そんな危険な夜に、あの世から訪れる住人たちから身を守るため、
仲間だと思い込ませるような仮装をするんだそうです。
おまじないみたいなものなんですかね。
でも、私思うんですよね。
仲間だと思い込まされているのは、 もしかして我々の方じゃないかって。
今からお話しするのは、
或るハロウィンの夜、
私が実際に経験した恐怖体験です…。
俺は苛立っていた。
ハロウィンパーティの約束をした友人が待ち合わせ場所に現れなかったからだ。
お陰で自力で会場を探す羽目になった。
何とか辿り着きはしたものの、入口から延々、長い廊下を歩かされている。
看板も案内人も、何一つ用意されていないのだから呆れてしまう。
タクヤ
タクヤ
タクヤ
タクヤ
怒りに任せ吐き捨てたとき、 ふと廊下の先に光がチラついた。
あれは ──もしかしてドアじゃないか?
タクヤ
俺は勢いよくドアに飛びつく。
扉を引くと、暗い廊下に ドアの隙間から明かりが差した。
ドアを開くと、 薄明かりに照らされた広間に出た。
室内は妙に静まり返っていて、冷え冷えとした空気が漂っている。
皆、お面やマスクで仮装をしているようだが、薄暗くてよく見えない。
タクヤ
タクヤ
タクヤ
更衣室を探して俺はキョロキョロとあたりを見まわした。
その時、
キャァァーーー!!
間近で女の金切り声が上がった。
声の方に振り向くと、
その女は真っ直ぐ俺の方を指差していた。
女
タクヤ
タクヤ
あっという間に、参加者たちに 周りを取り囲まれる。
不気味なほどの素早さだ。
客の一人が俺に歩み寄り、話しかけてきた。
男
何をする気だ、と思わず身構えた。
男
男
男
男
タクヤ
一体この男は何を言ってるんだろう。 頭がおかしいやつかもしれない。
だって俺は、 まだ仮装なんてしていなかったんだ。
タクヤ
タクヤ
女
女
元凶の女は、悪びれもせずケラケラと笑いながら近づいてきた。
女
女は機嫌よく足取りを速める。 その時、不意に絨毯に足を取られて女が躓いた。
女
ボトッ
タクヤ
一瞬、何が起きたか分からなかった。
躓いた反動で、体が大きく揺れて。 まさに今差し伸べられていた女の腕が、目の前でボトリと落ちた。
女
タクヤ
タクヤ
女
女は漫画のようにペロリと舌を出す。 それは緑のような紫のような、 ……奇妙な色をしている。
タクヤ
そしてほぼ同時に、 落ちた腕の断面から、 無数の蛆虫がもぞもぞと蠢き出てきた。
よく見ると、その腕の肉も腐った様な濁った色だった。 断面から黄色い液体が滲み出しては絨毯に吸われていく。
酷い悪臭が鼻を突いた。
タクヤ
男
男
そう呆れたように言いながら、男は首をぐるりと回しコキコキと音を鳴らした。
ボトリ
男の首が地面に落ちる。
男
床に落ちた生首が軽口を叩くと、 会場はどっと湧いた。
女
男
首だけの姿で俺を見上げながら、男はニヤリと笑った。
タクヤ
俺はあらん限りの悲鳴を上げ、 我を忘れて駆け出した。
逃げ出す俺の背中越しに、
女
男
と無邪気に笑い合う声が響いた。
タクヤ
タクヤ
もうずっと全力で走り続けていた。 手足も肺も、悲鳴を上げている。
アスファルトに響く足音は、自分のものただ一つだ。
でも後ろを振り向いたら、無数の人影が着いて来ている気がする。
ただ、恐怖が俺の背中を押していた。
タクヤ
タクヤ
立ち止まるわけにはいかなかった。 立ち止まったら奴らが来る。 そう思えてならない。
タクヤ
この夜を抜け出す術を、 誰かに教えてほしかった。
タクヤ
タクヤ
タクヤ
インターホンを鳴らしながら、
もしもあいつらのような化物が出てきたら?と不安がよぎった。
タクヤ
タクヤ
その住人は、頬は血色の良いピンク色、体も欠損はなさそうだ。奴らのような腐臭もしない。
タクヤ
タクヤ
俺は藁にもすがる思いで住人の手を掴んだ。
タクヤ
その手は、冷たかった。
多分、その夜の気温と同じぐらいの温度だったろう。
タクヤ
住人と目が合う。 眼球はバラバラの方向を向いてぴくぴく動いている。
白目からどろどろの黄色い液体が伝った。
まるで涙でも流すように。