小林
左足ですか?
犬山
ああ、俺は確かに覆面男の左足を撃った
小林
ですが、
小林
襲撃事件当時の情報では、犯人は右足を負傷していることが判明してるって聞いていましたが…
犬山
俺のデマだ
小林
デマ?
小林
なんでまたデマを
煙草を咥えたままニヒルな笑みを浮かべる
犬山
直に分かる
野崎警視
昨晩、犬山巡査部長の不当なマーリス捜査が発覚した
犬山
ちっ
小林が顔を近づけ、小声で囁く
小林
僕は言ってません
犬山
監視…か
野崎警視
どういうことだね、犬山巡査部長
犬山
発覚したからどうするんですか
犬山
所詮注意や謹慎処分しか出来ないあなた方に、俺を止められるとでも?
上田
犬山、黙ってられんのか
野崎警視
監視というのは、
野崎警視
ただ発覚を待つだけでは無い。
野崎警視
行動へ移した時点で、お前を妨害する
野崎警視
私がこの権利を握っている限り、
野崎警視
警察はマーリスの捜査をすることは許されない。
犬山
そうやって妨害してるうちに仲間が死ぬ
野崎警視
それはお前のような奴が下手に動くからだ
野崎警視
言っておくが、
野崎警視
単独行動は自分の首を絞めるだけだぞ
犬山
…
正体不明の怒りが込み上げてくる
聞き馴染みのある2度目の言葉
犬山
その言葉、自分の首を締めることになる
野崎警視
何を生意気な
犬山
行くぞ、小林
小林
は、はい
俺は無理やり小林を引き連れて会議室を出た
小林
協力するとは言いましたが、
小林
あんなに無謀なやり方で大丈夫だったんでしょうか…
犬山
俺は警察を信用していない
犬山
というよりも、俺の敵だ
小林
まさかそこまで言わなくても
犬山
降りろ
小林
え?
犬山
俺は野暮用がある
犬山
道草でもして気が向いたら本部へ戻れ
小林
え、ちょ、
無理矢理小林を車から出す
犬山
さて
犬山
戦争の幕開けといこうか。
野崎警視
なんだね、君たちはっ
前はよくもウチの組員をはめてくれたな
野崎警視
はめただと…っ
パァンッ
野崎警視
がっ
胸から血が噴きでる
野崎警視
や、やめろ待て!
死ね、外道の犬が
パァンッ
翌日
上田
昨晩、野崎警視が銃撃され死亡した
山代
死亡!?
上田
ああ、
上田
凶器などから、おそらく松原会あたりだと見てr
犬山
マーリスだ
小林
え?
犬山
昨日は独りでマーリスの捜査をしていた
犬山
徘徊してりゃ、俺を標的にノコノコ前に現れると思っていたんだが、
犬山
どうやら狙いは違ったようでな
犬山
発砲音がして近づけば、
犬山
覆面男を見かけたってわけだ。
上田
にわかに信じ難い話だ
犬山
信じ難い?
犬山
まだこんな躊躇ってるつもりか
犬山
躊躇った結果がこれだ。
犬山
警察として、死にたくないなら
犬山
今こそマーリスを潰す時だ。
犬山
そうだろ、皆!
山代
山代
…確かに、無駄死するくらいなら反撃した方がマシだ
秋山
俺も賛成です
秋山
俺も、こんな所で死ぬつもりはない
室井
ごもっともだ
皆が一斉に賛同の意を示す
犬山
共に一丸となり、マーリスを潰す
犬山
それだけだろ、上田。
上田
…
上田
好きにすればいい
警察組織は、マーリスに対抗する意を取り戻そうとしていた。
マーリスとの全面戦争は、もう間もなくである。







