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かくれんぼ

9 - #8 嘘だと言ったら

♥

53

2023年05月11日

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夕日が差し込む一階の保健室

ベッドの下でうずくまり 震えている少女がいた

みのり

…………………………っ

彼女が気がついた時には このベッドに仰向けになっていた

すぐそばにあった机の上の紙を 手に取り目を通したかと思えば

すぐさまベッドの下へ 潜り込んだのである

みのり

……ぃやだ、

みのり

いやだいやだ嫌だっ

身を潜めたみのりは 手に取った紙がもう一枚 重なっていたのを知った

それを読んだみのりの身体が 小刻みに震えだしたのは 言うまでもない

みのり

…………雫、ちゃん……ッ

そう

雫の名が刻まれた後だったのだ

それだけではない

みのり

穂波ちゃん、瑞希ちゃん……それにえむちゃんまで……っ

みのり

(どうして、みんながいなくならなきゃいけないの……ッ?)

みのり

(どうして、わたしたちが…こんなこと……っ)

みのり

(わたしたち、まだ……__)

カサッ

みのり

っ!?

ゴンッ

みのり

いっ………

突然握っていた紙が音を立て 驚いたみのりはベッドに 頭をぶつけた

みのり

うぅぅ……

痛む頭を抑えつつ みのりは紙に目をやる

みのり

…………っ!?

みのり

う、嘘…………

一覧に掲載されている敗者が 増えたのだ

みのり

寧々ちゃんまで…………っ

みのりはベッドの下で 何もできなかった自分を悔やんだ

みのり

……………………違う

みのり

わたしは、みんなに希望を届けるアイドル

みのり

だから、わたしが立ち止まるのは違う

みのり

こんなの……わたしらしくない

みのりはようやく ベッドから這い出る

みのり

なにかわたしに出来ることを探さなくちゃ!

拳に力を込め気合を入れ、 みのりは行動を開始した

__ガラガラッ

みのり

…………廊下も、夕焼けなんだ……

みのりは小さく息を吐いて 足を進めようとした

コツ、コツ、コツ

みのり

っ!?

突如、階段のほうから 足音が聞こえてきた

みのり

(どうしていつもこういう時に……っ)

みのり

(……どうしよう…………)

みのり

(一回中に戻ったほうがいいよね……)

みのりは静かに、それでいて素早く 扉を閉めた

みのり

……………………

__コツ、コツ、コツ……

みのり

……………………っ

みのりは扉の前でしゃがみ込み 両手を組んで目を閉じた

みのり

(お願い、……ッ)

みのり

(気づかないで……!)

コツ、コツ、コツ……

みのり

(わたしはまだ、希望を__!)

__…………

みのり

…………ぁ……ッ

足音が 扉の前で止まった

扉が開いて一番に 視界に飛び込むのは みのりである

みのり

(っいやだ…………来ないで……ッ)

みのり

(ッ来ないで!!)

__…………コツ、

__ コツ、コツ、コツ

コツ、コツ、コツ……

みのり

………………!

みのり

(気づかれなかった……?)

安心したみのりの身体は へなへなと床へ落ちた

みのり

…………うん、まだ大丈夫

震える手をぎゅっと握りしめ みのりは扉の前でひとり 笑ってみせた

__ガラガラ……

みのり

……………………

先程よりも控えめに、 それでいて力強く扉を開けた

みのり

……すぅ……、ふぅ〜…………

深呼吸をしてみのりは 階段へと歩き始めた

みのり

…………あれ、?

ふと、みのりは足を止める

ちょうど階段下、ふたつ並んだ ロッカーのひとつが 開いていたのだ

吸い寄せられるように みのりの足はロッカーへ向かった

みのり

これは…………

みのり

(何か、意味があるのかな)

開きかけの冷たい扉に そっと触れた 瞬間__

__ギィ…………

みのり

ひゃ……ッ

小さく鳴ったその音に肩を震わせ みのりはきょろきょろと あたりを見回した

みのり

誰もいないよね…………っよかった……

静かに胸をなでおろし みのりは再度扉に手をかける

__ギ、ギィイ……

みのり

…………っ

静寂に包まれた廊下に こだまする不気味な音に 顔をしかめ、みのりは パッと手を離した

みのり

う……やっぱりダメかぁ……

ぽつりと呟き みのりは隙間から 中を拝見することにした

みのり

………………

みのり

…………………………

みのり

…………ぁ

そこにあったのは__

みのり

うさぎの…………ぬいぐるみ?

白くて可愛らしい 小さなうさぎのぬいぐるみだった

みのり

(ぬいぐるみ…………だよね?)

ところどころ糸がほつれ 綿が散らばっている

大きな耳は力なく、しかし 折れることはなく立っている

つぶらな瞳は光を 目いっぱいに吸収して 静かに地面を見つめている

首に巻かれ、背中で結ばれた 大きなリボンは 可愛さと寂しさを滲ませている

みのり

……………………

みのりの目は ぬいぐるみから離すことが できなくなった

みのり

この子、どこかで…………

みのり

(………………いや、)

みのり

(最近、見かけたはず)

みのり

(この子のこと、みんなで…………)

みのり

(……みんな…………?)

みのり

…………ぁれ

みのり

(どうして)

みのり

(どうして、思い出せないんだろう)

みのり

(記憶はあるのに)

みのり

(ある、はずなのに)

みのり

(…………拒絶してる?)

みのり

(わたしが……?)

みのり

(それとも……)

みのりはぬいぐるみを じっと見つめる

みのり

もしかして、この子が…………?

ぬいぐるみは、変わらず 下を向いていた

みのり

(この子がこの場所……セカイと関係しているのなら)

みのり

(……そもそもロッカーにこの子がひとり、いることに理由があるのかも)

みのり

………………

みのり

手を伸ばせば、届くかな

そうしてみのりは ぬいぐるみに手を差し出し__

__ガダンッ!

突如聞こえてきた音に 心臓を持っていかれそうになった

ゴンッ、ギィィ……

みのり

ぃ……ッ

慌てて手を引っ込めたため ロッカーの扉にぶつけてしまう

その衝撃で扉は不快な音を 廊下に響かせた

みのり

わ、わ……あぁ……っ

半ばパニック状態である

あっははははぁ!!!

バキッ、グサッ、__

みのり

ひぃぃッ!?

次いで聞こえてくる生々しい音に みのりは恐怖を抑えきれなくなる

咄嗟にロッカーの陰へ隠れた

みのり

(いやだいやだいやだ)

はははははははハハハ!!!!

みのり

(いやだいやだいやだいやだッッ!!)

声の主は、見ずとも みのりには分かってしまった

狂気に満ちた笑い声と 共に聞こえるのは、 聞き覚えのある声の 聞いたこともないような悲鳴

はははは……!

は、はハ…………

…………あ~あ、もう終わっちゃった

じゃっ、精々頑張ってね♪

みのり

……__っ!?

みのりの背筋を ゾワッと虫が走った

みのり

…………ひ……ぁ……っ

みのり

(この声が……鬼の子の…………っ?)

みのり

(今、わたしに向かって…………?)

みのりの身体は わなわなと震えだす

みのり

(…………にげなきゃ)

みのり

(早く逃げなきゃっ!)

みのり

(このままだと、わたし何もできないまま……)

立ち上がり、みのりは歩き出した

…………はずだった

みのり

…………ぇ……

みのりの足が、止まった

意思とも感情とも関係なく 止まったのだ

みのり

(嘘…………どうして動かないの?)

みのり

(このままだとわたし……ッ!)

焦りだしたみのりの頭が ひとりでにくるりと左を向いた

みのり

…………っ!?

ロッカーの中

白くて可愛らしい うさぎのぬいぐるみが

こちらを見ていた

みのり

ひっ……ッ!?

みのり

いやぁ……ッ!

みのり

(どうして)

みのり

(っどうして……!?)

みのり

(さっきまで動く気配すらなかったのに……!)

みのり

(………………あ)

みのり

っわたしが…………

みのり

わたしが、手を伸ばそうと思ったから……?

みのり

届くって、勝手に信じたから……?

__なにしてるの?

みのり

ひゃあッ!?!?

振り向いたみのりの 目前に立っていたのは、

ツインテールの 可愛らしい少女だった

みのり

えッ……あ、ぁあ……ッ

みのりは腰を抜かし 扉の開いていないロッカーに もたれかかった

ずるずると床に落ちていく みのりを見て、少女は ころっと笑った

ツインテールの少女

あちゃ〜、腰抜かしちゃった?ダイジョウブ?

にこにこと近づいてくる少女に みのりは震え上がった

みのり

き、来ちゃダメッ!

ツインテールの少女

え〜、なんで?

可笑しそうに笑って 少女は更に足を進める

みのり

ひッ

ツインテールの少女

“かくれんぼ”なんだから、ちゃあんと隠れてほしかったなぁ~

みのりの背後、鉄の塊が ギィッと音を立てて揺れた

ツインテールの少女

ねっ?♪

みのり

…………、……

少女の笑みに気圧され みのりは声を発することは できなかった

__カサッ

みのり

…………っ?

ツインテールの少女

おっ?もしかして…………

みのりのポケットから 掠れた音がして 少女は2歩、3歩と下がった

ツインテールの少女

あの子、ここまで耐えたんだ!すごいね〜!

みのり

………………ッ

みのり

(また、誰かが…………)

みのり

……………あれ、

ツインテールの少女

ん?どうしたの〜?

みのり

どうして……

みのり

(今、鬼はわたしの目の前にいるはず)

みのり

(なのに、……どうしてこのタイミングで鳴ったの……?)

ツインテールの少女

紙、見ないの?

みのり

……え?

ツインテールの少女

紙だよ、さっき音立てた紙。見なくていいの?

みのり

…………どうして

みのり

どうして、今、わたしに話しかけてるの?

みのり

どうして、すぐ__

ツインテールの少女

気にならないの?

ツインテールの少女

誰かが消えたんだよ?あなたが行動する前にね

みのり

…………っ

ツインテールの少女

それが誰なのか、気にならないの?

みのり

……気に、なるよ

みのり

でも、それよりもっと__

ツインテールの少女

じゃあ見ないとね♪

みのり

………………ッッ

この鬼は、どこまで 横暴なのだろうか

みのりは、ぎこちない動きで 紙を取り出した

____

かくれんぼ 敗者一覧

·暁山瑞希 ·鳳えむ ·草薙寧々 ·日野森雫 ·望月穂波

·青柳冬弥

____

みのり

…………っ!?

みのり

あ、青柳くんまで……ッ

ツインテールの少女

へぇ……あの子、そんな名前だったんだ

みのり

じゃあ、さっきのは……っ

先程高笑いと共に 聞こえてきた悲鳴に 聞き覚えがあったのだ

みのり

あんな、音……聞こえたのに、……ずっと……?

ツインテールの少女

そうだよ。やりたいことがあるっぽかったから、残してあげたの。ヤサシイでしょ?♪

みのり

っそんなの……

みのり

あんまりだよ……っ!

ツインテールの少女

どうして?

みのり

っだって!……だって、ずっと……ッ

みのり

痛いままだもん……

俯くみのりに 少女は口角を上げた

ツインテールの少女

あなたが助けに来たら、なにか変わったかもしれないのにね

みのり

……ッ!

ツインテールの少女

あなたがずっとここに居たから

みのり

わたしが……?

ツインテールの少女

そう

みのり

わたしの、せい……?

ツインテールの少女

そう

みのり

…………ッぁ……ぁああ

みのり

ごめんなさい……ごめんッごめんなさいっ!

崩れ落ちたみのりへ 少女は笑って足を進めた

みのり

わたしッいつも……ぁあ、っごめんなさい

みのり

希望なんて言って、ッ手を伸ばそうとしてっ、何もできなかったッ!!

みのり

ぅわぁぁぁああああッ!!!

ツインテールの少女

………………ふはっ

ツインテールの少女

ねえ、最後におねがい、ある?

みのり

そんなものッないよ……!望む権利すらない……ッ!!

ツインテールの少女

へえ、すぐに消えたいんだね。痛みも感じさせないくらい、一瞬で

ツインテールの少女

いいよ、そのおねがい。叶えてあげる

ツインテールの少女

あなたって、最期までワガママなんだね♪

少女は、床に突っ伏している みのりの額に人差し指を当てた

ツインテールの少女

……あっ、言うの忘れちゃってたね!

みぃつけた♪

少女の細くて白い指が みのりの額に赤い線を描いた

彼女が目覚めることは もうないだろう

ツインテールの少女

この子はあなたが見つけても、意味ないんだよ

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コメント

4

ユーザー

本当に何故か鬼が咲希ちゃんかと思ってしまった自分を○したい

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