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次の日
叶慧
ねえ美香！
美香
何よ元気じゃん
叶慧
昨日中村くんに何を吹き込んだの！？
美香
え、嘘
美香
バレてんの？
叶慧
すぐにわかったよ！
叶慧
中村くんが急にあんな事言ってくるなんてありえない
叶慧
そしたら考えられるのは美香だけだし
美香
なるほどね
美香
中村に相談したのは本当よ
美香
叶慧とは、直接的な関わりはなくとも中学一緒だったからさ
美香
アイツしかいないなって
叶慧
……
叶慧
なんか色々と心配かけてごめんね
美香
別に？
美香
私のおせっかいよ
美香
話した時に中村が協力的で良かった
叶慧
どんな印象持ってたのさ笑
美香
知らねえよ〜、で済まされると思ってたのよ
美香
でもちゃんと叶慧に色々話してくれたみたいじゃん
叶慧
うん
叶慧
結構、感化されたところはあったよ
彼の言葉で、透慧と凛ちゃんの区別を付けられたし
凛ちゃんが一人の人間であることを再確認できた
叶慧
（一人盲目になってたのかな、私）
夢や幻に透慧が出てきたことで、かなり視野が狭くなっていた
美香
なんかアイツが上手くやってくれてよかった！
美香
ってことで、
叶慧
てことで？
美香
今日のいつでもいいから凛くんとこ行って来い！
美香
そして仲直りしとけ！
叶慧
え、
叶慧
ええええええ！？
そんなの、あまりにも急だ
美香
（叶慧ならできる）
美香
（弱気になってんじゃないわよ、鈍感ちゃん）
放課後
叶慧
（……なんてことがあったけど）
叶慧
（いきなりは無理だよ！）
叶慧
（私にとって凛ちゃんは可愛くて大切な後輩）
叶慧
（仲直りしたいのは山々……）
叶慧
（でも美香も中村くんもは簡単に言い過ぎだよ……！）
まだ卒業まで時間はある
私のペースでいい
ゆっくりでいいから――
叶慧
大丈……
叶慧
……あっ
糸師凛
……っ、
叶慧
（いや、本気で言ってる……？）
神様は私をからかってるのか
綺麗なフラグ回収じゃないか
叶慧
（しかも目が合うとかどこの少女漫画……？）
叶慧
（てか、今は無理だってば！）
このチャンスを逃せば、もう話しかけられないかもしれない
でも、心の準備も言う事の内容も
まだ決まってない
叶慧
（明日……でいい）
叶慧
……ごめんね、凛
事の発端は、私だし
そう言って、私は外に出た
部活時代を思い出しながら走り、
なんとか校門くらいまで駆け足で来る
叶慧
（さすがに気まずすぎた……）
叶慧
（凛ちゃんといて気まずいなんてこと、今までなかったのに）
叶慧
（いや、今までがおかしいのか？）
こんなにも自分に勇気がないとは思わなかった
どうやら自分を過剰評価していたみたい
叶慧
はは……
叶慧
ダッサいな、私
美香にも中村くんにも迷惑かけて
本当に何がしたいの？
叶慧
透慧は、もう……居ないのに
糸師凛
っ、おい！
叶慧
わっ！？
後ろから腕を引かれる感覚がした
叶慧
え、凛ちゃん……！？
糸師凛
お前、人が呼んでんのに何無視してんだよ……
叶慧
いや……ごめんね
叶慧
全部全部、私のせいだ
糸師凛
は？
叶慧
悪気はなかったよ
叶慧
でも私、凛ちゃんのこと好きだから
糸師凛
……
叶慧
私、もっと凛ちゃんと仲良くなりたかった
叶慧
そんな事思って過ごしてく中でね
叶慧
なんか、凛ちゃんが凛ちゃんじゃなくなってて……
糸師凛
……お前はなんで
叶慧
え？
糸師凛
お前はなんでそこまで俺に構ってきたんだよ
糸師凛
俺は何回だってお前を追い払っただろ
糸師凛
優しくしてやったことなんて一度もねえ
糸師凛
もの好きにも程がある
叶慧
ああ、それね
叶慧
明確ってわけじゃないけど
叶慧
君がきっと、
弟に似てたから
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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