テラーノベル
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康二
静まり返った深夜のリビング。 テレビの画面を見つめながら、向井康二はソファの上で体育座りをしたまま、ポツリとそう呟いた。 液晶画面の中で流れているのは、今話題の恋愛ドラマのクライマックスシーン。 純白のウェディングドレスとタキシードに身を包んだ主人公たちが、厳かなチャペルで、お互いの左手の薬指に指輪を嵌め合っている。 パイプオルガンの美しい音色が部屋を満たし、画面の中の2人は世界中から祝福されて、幸せそうに涙を流していた。 その横顔を、隣に座る目黒蓮は静かに見つめていた。 康二の瞳は、まるで子供が夜空の星を見上げるように、純粋な憧れでキラキラと輝いている。 (あぁ、康二は、こういうのに憧れてるんだな……) 付き合い始めて、もうすぐ6年。 2人の関係は驚くほど深く、固い絆で結ばれていた。 前回の熱愛報道のすれ違いも、局内でのストーカー事件の恐怖も、Snow Manという最高の家族に支えられながら、2人で幾度も乗り越えてきた。 部屋のドアを閉めれば、そこには今でも変わらない、世界一愛しい日常がある。 多様性の時代と言われる今。 世間では同性婚やパートナーシップ制度が珍しくなくなり、同性同士で結婚式を挙げるカップルも増えてきていた。 だけど――自分たちは、何千万人ものファンを抱える「アイドル」だ。 どれだけ深く愛し合っていても、どれだけ長く一緒に生きていても、自分たちの関係を公にすることは、今はまだ絶対に許されない。 世界中から祝福される画面の中の恋人たちと、自分たちの間には、決して越えられない透明な壁が存在していた。
蓮
目黒が優しく声をかけると、康二はハッと我に返ったように、いつもの人懐っこい笑顔を作って振り返った。
康二
そう言って、寂しさを隠すようにわざと明るく立ち上がる康二。 その健気な後ろ姿を見つめながら、目黒の胸の奥が、ぎゅっと締め付けられるように痛んだ。 (関係ないことなんてない。康二が『ええな』って思うなら、俺が全部叶えてやりたい) 世界中に隠さなければいけない恋だ。 ファンのみんなを悲しませるわけにはいかない。 アイドルとしてのプライドも約束も、あの日から一瞬たりとも忘れたことはない。 だけど、それと同じくらい、いや、それ以上に。 目黒にとって、向井康二という一人の男の笑顔は、何よりも守るべき大切なものだった。 世界中に誓うことはできなくても。 みんなの前で「夫婦になった」と大声で言えなくても。 2人だけの、本物の誓いを立てることはできるはずだ。 康二のあの綺麗な左手の薬指に、生涯の愛を誓う指輪を嵌めてあげたい。 目黒の瞳の中に、静かで、だけど決して揺るぎない、大きな決意の炎が灯った。
# こる
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ゆゆ

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コメント
1件
うわあ、めっちゃ印象的な第1話でした……。深夜のリビングで、結婚式のドラマを見ながら「ええなぁ」って呟く康二くんの姿が、もう切なくて。目黒くんが「関係ないことなんてない」って心の中で決意するシーン、胸にきました。アイドルという立場と、それでも叶えてあげたいという想い。この静かな決意の灯、絶対いい方向に進む気がします。続きがすごく気になります!