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びびった
あの女とは女将ですかね?
このおはなしは
ホラーとなっており
不快な表現などが入っております。
又、長めのおはなしとなりますので
長文が苦手な方は無理を なさらないようお願いします。
それでも読んでいただけると 嬉しく思います。
「せいずいどう」
どこか知らない所に行く時は
その場所に
何か曰く付きのものがないか
調べた方がいい
マジで取り返しのつかない時がある
俺は今も後悔してる
今から話すことは
別に信じなくてもいい
ただ
こうゆうこともあるって事を
聞いて欲しいんだ
作り話だと思うならそれでもいい
あれは大学3年生の夏だった
俺は友達と旅行の計画をたてた
来年は就職活動などで
俺もそいつらも多分遊ぶ暇なんてないだろう
あ、そいつらってのは
俺を含め3人ってこと
高校からの付き合いでそのまま大学でもつるんでる
ここではB夫としよう
と、もう一人
大学で知りあい、お互いアニメ好きってのがあって仲良くなった
ここではC助としておく
とにかくパーッと遊ぶなら今年が最後のチャンスだろうと
この二人と俺の3人で
色々計画をたてたんだ
はじめは海に行こうと言ってたんだけど
お世辞にも俺達はモテるタイプではなかったし
おんなっ気がある方でもなかった
ならば下手に海に行って惨めな思いをするよりも
男3人だけでバカ騒ぎ出来る所にしようと
山奥の方に何かいい所がないか探し始めたんだ
なにぶん俺達も学生だ
持ち合わせもそんなにない
そこで宿はできるだけ安くして
遊ぶことの方にお金をまわそうということになった
そこで見つけたのが
ここでは地域は中国地方とだけいっておく、あとは伏せておくが
とても人が寄り付きそうもない山奥だった
だけど俺達は3人だけでバカ騒ぎする事で盛り上がってたから
むしろ好都合とそこに決めた
拓海
拓海
宿の女将
宿の女将
拓海
宿の女将
宿の女将
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
思った以上にへんぴな所だった
俺もB夫もC助もせっかくの旅行だというのに
宿に着くまでの道のりで口数が少なくなるくらい
何にもないところだった
だけど宿の主人と女将さん
この二人にあたたかく迎えられ
宿に着いた安心感と旅の解放感もあり
俺達はまたテンションが上がりはじめた
宿の主人は見た目はいかついのに
ものごしは柔らかく
そのギャップからか、いい人感が溢れていた
女将さんは親切丁寧で
俺達が部屋に入るまで終始笑顔だった
拓海
B夫
B夫
拓海
C助
C助
C助
拓海
拓海
宿の女将
宿の女将
宿の女将
拓海
宿の女将
宿の女将
B夫
宿の女将
C助
C助
拓海
B夫
拓海
B夫
C助
B夫
俺達は女将さんに
店までの道を教えてもらい
山道を下って行った
B夫
B夫
拓海
C助
C助
C助
拓海
B夫
B夫
B夫
C助
C助
C助
B夫
B夫
拓海
拓海
拓海
これがまず間違いだった
いや、間違いといえば
旅行でここに来たこと自体が間違いだったのかも知れないが…
とにかく俺達は早く店に着きたくて
山を突っ切って近道する事にした
ただC助だけは最後までしぶっていた
B夫は道があると言っていたが
草を少し掻き分けただけのような
いわゆる獣道ってやつだ
車が突っ込まないようにする為かフェンスもあったが
俺達はお構い無しによじ登り
山の奥へと進んで行った
拓海
拓海
B夫
B夫
B夫
C助
C助
C助
B夫
B夫
トンネルの中に入ったのはいいが
すぐに違和感に気づいた
みんな感じたことあるだろう?
ホラー映画を観た後なんかに
振り返ると
誰かいるかもしれない
上を見上げると
誰か覗きこんでるかもしれない
そんな感覚
それがこのトンネルに入った時から
ずっと付きまとってるんだ
今にも誰かにどこか触られそうな…
とにかく尋常じゃない感じがしたんだ
多分B夫も何か感じたんだろう
率先して入っていったのに
急に足どりが重くなり
気付けば俺と並んで歩くかたちになっていた
ただ何故かC助だけは
奥へ奥へとどんどん進んで行った
拓海
B夫
B夫
拓海
拓海
B夫
B夫
B夫
B夫
C助
B夫
C助
B夫
B夫
C助
C助
結局俺達は元の道に戻り
女将さんに教えてもらったルートで買い物を済ませた
無駄に道草をくった分
宿に着く頃には日もおちて暗くなっていた
俺達の戻りが思いのほか遅かったから
宿の主人と女将さんが心配していたようだ
だから
近道しようとしたことや
山の中にあったあのトンネルの事とか
遅くなった理由を説明した
宿の主人
宿の女将
宿の主人
宿の主人
宿の主人
あの優しそうな宿の主人が
いきなり凄い剣幕で怒りはじめたから
俺達はビビって何も言えなくなっていた
暫く女将さんを怒鳴りつけたあと
宿の主人はこっちを振り向いた
俺達は
きっと山の中に勝手に入った事を怒られるんだと覚悟した
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
拓海
宿の主人
拓海
B夫
B夫
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
宿の主人
宿の主人
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
B夫
C助
お墓は死者の魂を納めてるところだから
むやみやたらに近づかないほうがいいと
そんな話を聞き部屋に戻った
それから
C助の様子が明らかにおかしい
顔が青白いし
微かに震えている
たまにブツブツと呟いて
何かに怯えているようだった
俺とB夫はC助を問いただした
B夫
拓海
C助
C助
拓海
拓海
C助
C助
B夫
B夫
B夫
C助
C助
C助
C助
C助
拓海
拓海
C助
C助
C助
C助
C助
C助
B夫
B夫
C助
C助
拓海
C助
B夫
B夫
B夫
B夫
C助
C助
C助
C助
それから3人で騒いでると
いつしかあの穴のことは忘れていた
恐かった事などどこかに飛んでいってしまっていたんだ
少なくとも俺はそうだった
そうこうしているうち
酒も入り旅の疲れもあってか
俺は気付かないうちに眠っていた
そして
どのくらい経っただろう
目が覚めたら
その時にはもう
C助は居なかった
B夫
B夫
拓海
拓海
通話
01:00:00
C助
C助
拓海
拓海
C助
拓海
C助
拓海
拓海
拓海
C助
拓海
C助
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
B夫
拓海
B夫
拓海
B夫
拓海
B夫
拓海
拓海
拓海
B夫
B夫
B夫
B夫
B夫
B夫
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
B夫
拓海
拓海
拓海
部屋の窓から見える
見覚えのある姿
どう見てもC助だ
さっきの電話で家に帰ったと言っていたのは何だったのか
冗談のつもりなのか
B夫の方を見てみると
やはり俺と同じく不思議そうな顔をしている
一体何なのか本人に聞くべく
とにかく外にいるC助の所へ行くことにした
俺達はC助の所へ行こうと追いかけた
だけど変なんだ
何故かどうやっても
C助に追いつけないんだ
俺もB夫も軽く小走りになっていた
なのに
普通に歩いているようにしか見えないC助に追いつけないんだ
声を上げて呼んでも止まらない
追いかけても追いつかない
気付けば俺達は
昨日乗り越えたフェンスの辺りまで来ていた
そしてそのフェンスを乗り越えて行くC助
ここまで来るともう
得体の知れない気味の悪さが体中を走った
忘れていた昨日の気持ち悪さ
あれが足下からゆっくりと甦ってきた
これ以上は追いかけてはいけない
ここからは何かが起きる
そんな鈍い
じっとりとした恐怖
その何ともいえない感覚から
追いかけるのをやめB夫の方を見た
B夫も足をとめ俺の方を見ている
俺達は二人とも
この先に行くことを躊躇い
お互いの出方を伺っていた
踏み出せない
ここから先は行ってはいけない
けど
もしB夫が行こうと言ったらどうする?
そしたら行くのか?
おそらくB夫もその鈍くまとわりつく恐怖から
俺の判断に委ねていたんだと思う
俺達は二人とも
自分では決断できない状態に陥り
相手の判断でしか動けなくなっていた
『あのフェンスを乗り越えC助を追いかけるのか』
『このまま宿まで戻りC助が帰ってくるのを待つのか』
『宿まで戻りたい』
『そこでC助を待とう』
『だがC助を見殺しにするようで』
『自分ではその決断が出来ない』
『でもB夫がその決断をしてくれれば』
『素直にこのまま宿まで戻ることが出来る』
ここまで露骨には考えてはいないが
あの時はきっとそんな気持ちだっただろうと思う
B夫
B夫
拓海
拓海
拓海
拓海
応答なし
拓海
応答なし
拓海
応答なし
拓海
拓海
B夫
B夫
B夫
B夫
B夫
B夫
B夫
あり得ない
そんなことはあり得ない
だって今
そこで実際にC助の姿を二人ともみてるんだから
でも俺達は
何とも言えない恐怖から
この先に行く選択が出来ない
だから
このあり得ない選択を選ぶしかなかった
拓海
拓海
C助の母
拓海
拓海
拓海
C助の母
C助の母
C助の母
拓海
C助の母
全身に鳥肌が走った
鈍かった恐怖が急に加速して
足下で蟻のように蠢いていた恐怖が一気に頭まで登り詰めた
C助はそこに居た
確かにそこに居た
俺とB夫二人して同時に見間違うはずがない
家に帰ってる?
何が?
いや、もし本当に家に帰ってるんだとしたら
さっきまで俺達が追っかけていたものは
何だ?
今、何が起こっている?
心の芯から震える
これ以上踏み込みたくない
だけどここで確かめなければ
あのフェンスの向こうに行かなくてはいけなくなるかもしれない
それだけは
またあの場所に行くことだけは
どうしても回避しなければ
その思いだけで俺はこの電話を続けた
拓海
拓海
C助の母
C助の母
C助
拓海
拓海
C助
拓海
拓海
拓海
C助
C助
拓海
拓海
拓海
拓海
C助
拓海
C助
拓海
C助
C助
C助
拓海
C助
C助
C助
C助
C助
C助
C助
C助
拓海
拓海
拓海
C助
拓海
C助
C助
拓海
C助
C助
C助
C助
C助
C助
拓海
拓海
C助
C助
C助
C助
拓海
拓海
拓海
C助
C助
C助
C助
C助
C助
C助
C助
拓海
C助
C助
C助
C助
C助
C助
C助
C助
C助
C助
C助
そのまま電話は切れた
となりで電話している様子を見ていたB夫も
今の電話が普通じゃないことを察していた
俺は宿まで戻ることにした
C助が家に居ることがわかった今、
これ以上あの先に行く必要がないからだ
ただ、俺達が追い掛けた『もの』は
何だったのだろう
拓海
拓海
宿の主人
拓海
宿の主人
拓海
拓海
拓海
宿の女将
宿の女将
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
宿の女将
宿の女将
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の女将
宿の女将
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の女将
宿の主人
宿の主人
俺は宿に戻りすぐに
あの穴の中にある棺の事について聞いた
C助をどうにかしたい
とゆう建前で
本当はあの中に何があるのかを知っておかないと
自分もどうにかなってしまうんじゃないか
という恐怖から
宿の主人に聞いてみたんだ
宿の主人は俺の並々ならぬ様子に気付いているようだった
俺が話おわるまで
宿の主人は
俯いたままただ黙って聞いていた
C助があの穴の奥まで行った事
そこで棺であろう箱を開けてしまった事
C助が見たと言っていた『もの』の事
そして俺達が今日体験した事
出来る限りの事を話した
女将さんは宿の主人に諭されてから
ただただ黙って泣いていた
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
ここでは
まったく
子ができぬ
このままでは
子孫も遺せず
血が絶える
ならばここは
唯一産まれた
赤ん坊
何故か産まれた
女の子
女子ならば
いずれここを出ていく者
ならば捧げてしまおう
この子を捧げて子を願おう
宿の女将
宿の女将
宿の女将
宿の女将
宿の主人
宿の主人
宿の主人の話の途中
女将さんが急に狂ったように喚きはじめた
すると宿の主人は女将さんの肩をだき
奥の部屋へと連れて行った
ニコニコしている印象のあった女将さんだが
この話になってからの豹変ぶりは少し恐いくらいだった
俺は女将さんのあまりのうろたえぶりに
ずっと心に付きまとっている不安が
重く大きくなるのを感じた
宿の主人
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
宿の主人
拓海
宿の主人
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
続きはこうだった
山の中に穴を掘り
その奥に棺をもうけ
その女の子の赤ん坊を
精髄童に捧げようとしたところ
当然その子の母親が猛反対した
母親は怒り狂い暴れまわった
それはもう女とは思えないような力で暴れたそうだ
仕方がないので
男数人でなんとか押さえ付け
家から出られないよう
手、足、腰、胸のあたりを
しっかりと縛りつけ
赤ん坊を連れて行った
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
一気に鳥肌が立った
異様に手足の長い
ひどく猫背の『何か』
C助の言葉が瞬時に頭に浮かんだ
体は強張り芯から冷えるのを感じた
恐怖が体を支配し
自分の意思とは関係なく勝手に体が震えた
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
あの時見たC助の事までは
さすがにわからなかった
そして
こんな悲惨な出来事があっても
この宿の二人は
身寄りもないので
ここで生きていくしかないそうだ
日頃は仕事に出て
僅かな日銭を稼いでいるが
生活は厳しく
二人では大きすぎるこの家を
宿として貸し出し
生活の足しにしているのだそうだ
滅多に客は来ないが
逆にこんな山奥の人気もないところが
たまに物好きな人を呼ぶそうだ
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
宿の主人
俺はこの日の内に帰る事にした
こんな事があってもなお
ここに留まることなんて出来なかった
いや、
一刻も早くここから立ち去りたかった
帰る時、宿の主人は何度も頭を下げた
本当に申し訳なさそうだった
女将さんはあれから
俺が帰るまで
一度も顔を出すことはなかった
こうして俺は日常に戻った
C助とは連絡がとれなくなり
大学にも来ることはなかった
それからしばらくしてからだ
C助が行方不明なのを知ったのは
結局あの時のC助は何だったのか
今だにわからない
これでこの話は終わるが
だけど本当にこれだけは言っておく
どこか知らない場所に行くとき
そこに忌まわしい何かがないかは調べておけ
とりかえしのつかない事になるぞ
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
拓海
すまない
俺は1つ言ってない事がある
B夫は
ほんとはあの時
C助の家に直接電話した後
フェンスを越えて
一人でC助を追っ掛けて行ったんだ
B夫は様子のおかしかったC助を
自分が強引にあの穴に連れて行ったからだと
責任を感じていた
だからB夫は
動きだせない俺を置いて
一人でC助を追って行った
俺は
一人で帰ってきたんだ
恐くて一人
逃げてきたんだ
そしてそれを
誰にも知られたくなかったんだ
そして
今日わかった
C助があの時何をしようとしていたのかを
あの日C助は
多分俺達もあの棺に連れて行こうとしたんだ
1人嫌がっていたC助を
無理矢理あの穴に連れて行った俺達を。
そして
ずっとあの母親に狙われ続ける
自分と同じ目に合わせようとしたんだ
俺はそれが今日わかった。
今日な、
B夫を見かけたんだ
おかしいだろう?
だって
あの日追っ掛けて行ったB夫は
あの辺のトンネルの中で
死体で発見されたんだから。
そのB夫を今日見かけた
今度は俺の番だ
今度はB夫が
俺を連れていこうとしてるんだ
あの日
一人で逃げた俺を。
そして
俺は行こうと思う
またあの場所に行こうと思う
本当に後悔しているんだ
二人とも見殺しにした事を。
それと
あともう一つだけ
どうしても
許せない事があるんだ
それは
俺達をこんな目に合わせた
あの女だ
許せない
あの女だけは許せない
あの辺は
周りに民家なんてなかった
あの精髄童にまつわる話は
あの地域の話じゃない
あの家での話だ
そして
棺に関係した者は
みんな死んだ
なら
あの女しかいないんだ
許さない
一番の当事者なのに
俺達に何も教えることなく
ただ喚いていただけ
あの女さえ出掛ける前に一言言ってくれれば
俺達はこんな目に合わずにすんだのに
俺はもしかしたら
いや
もう帰って来れないだろう
ただ
あの女だけは
棺のところまで
必ず連れて行ってやる
あの女だけは
何としても
自分が一番恐怖している
自分の
母親の元まで
このおはなしに登場する
地域、逸話などは 一切存在致しておりません。
また、幾つかの造語を 使用致しております事を ご了承下さい。