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カエデ

…ん

薄暗い部屋の中。

遠くに青い光が見えて、目を凝らした。

カエデ

…ぱそこん?

いくつも並ぶモニターと、

その中心にあるキーボード。

パソコンは私も持っているけど、

こんなに大規模なものを見たのは初めてだ。

不思議に思い近づくと、モニターのひとつに文字が現れた。

"こんにちは、カエデさん!"

"このモニターを見てるってことは、起きてるってことですね!"

"というか別カメラにてあなたの様子を監視させて頂いてますから"

"起きてるかどうかなんて明らかなんですけどね!"

"まぁそんなことは置いといて?"

"このモニターの右隣にありますモニターをご覧くださいませー!"

カエデ

…?

"3"

"2"

"1"

カエデ

…え

『ちょっと、どこなのよこれ!?』

『出口は!?扉はないの!?』

『なにこれ…ゆうかい…?』

カエデ

…あやね、ことね、さくら?

カエデ

なんで

げぇむますたー!

なんでってー?

カエデ

っ!?

薄暗かった部屋にぱっと明かりが着いた。

後ろを振り向くと、そこには見知らぬ少女が立っている。

げぇむますたー!

どうもカエデさん!

げぇむますたー!

私、げぇむますたーです!

カエデ

…ゲームマスター…?

げぇむますたー!

いえすいえす!

げぇむますたー!

このげぇむにおいて、いちばーん偉い立ち位置にいるのです!

カエデ

ちょっとまって、げーむって…

げぇむますたー!

先程ご覧になられたモニター!

げぇむますたー!

映っていらっしゃった方に、心当たり、ありますねぇ?

カエデ

げぇむますたー!

そうっ!大正解!

カエデ

何も言ってないけど

げぇむますたー!

あなたをいじめてらっしゃった、いじめっ子さん達なんですね~♪

カエデ

…だから何?ていうか、なんで知ってるの?

げぇむますたー!

見てました!

カエデ

へ?

げぇむますたー!

見てたんですねぇ、今までずっと!

げぇむますたー!

調べましたぁ、あなた達のこと!

げぇむますたー!

人間観察、趣味なのです!

げぇむますたー!

こういうげぇむも…♪

げぇむますたー!

趣味なのですよぉ!

カエデ

ちょっとまって、ほんとに意味わかんない

カエデ

見てたって、え?

カエデ

いつから?

げぇむますたー!

すうかげつまえ?

げぇむますたー!

たまたまあなたを見かけましてね?

げぇむますたー!

元気がなさそうでしたので…

げぇむますたー!

ついていきました!

カエデ

なぐさめろよ!

カエデ

なんでついてくって発想に至るの…もうダメだこいつ…

げぇむますたー!

まぁまぁ、私にもあります、考え!

げぇむますたー!

無計画ちがいます!

げぇむますたー!

天才です私、こう見えても!

カエデ

…そうは見えないけど…

カエデ

ていうか、背丈的にも私の方が年上っぽい気が…

げぇむますたー!

むぅ!失礼なのです、あなた!

げぇむますたー!

げぇむますたーでもあり、この世界の創造主です、私!

カエデ

そうぞうしゅ?

げぇむますたー!

この世界で何十年も生きてます!

げぇむますたー!

長生きです、あなたより!

カエデ

げぇむますたー!

疑わしそうな顔してますね?してますよ?

げぇむますたー!

信じないならそれでも結構、どうせ関係ないことです

げぇむますたー!

どうでもいいお話は小宇宙にポイッとしちゃいまして?

げぇむますたー!

ここからはげぇむのせつめいですよ~♪

カエデ

げぇむますたー!

ひとぉつ!

げぇむますたー!

あなたは今から、いじめっ子たちを殺します!

げぇむますたー!

決定事項です、これ!

カエデ

…は?

カエデ

ちょっとまって、なにそれ!?

げぇむますたー!

…?

げぇむますたー!

殺戮ですよぉ、読んで字のごとくです!

げぇむますたー!

ほら、りぴーとあふたーみー!

げぇむますたー!

さつりくっ♪

カエデ

だから、なんで私がそんなことを!?

げぇむますたー!

んー?あれれ、喜んでないです?あなた

カエデ

当たり前でしょ!?

げぇむますたー!

でも、この世界呼び出したの、あなたですよ?

カエデ

え?

げぇむますたー!

思ってましたよ、あなた

げぇむますたー!

殺したい、いじめっ子たちのこと

カエデ

そんなこと…思ったとしても、それはほんの気の迷いで…

げぇむますたー!

屋上へといじめっ子を誘導し、突き落とすイメージトレーニング。

カエデ

げぇむますたー!

校内にナイフを持ち込み、バレないように刺し殺す計画。

げぇむますたー!

折りたたみナイフの検索履歴、隠せるとお思いですかぁ?

カエデ

なんで

げぇむますたー!

しらべましたよぉ、わたし。

げぇむますたー!

あなたの素晴らしい殺人計画!

げぇむますたー!

完璧に、さいっこうに!

げぇむますたー!

そしてなにより…

げぇむますたー!

バイオレンスに!

げぇむますたー!

美しく、どこまでもすきのないその作戦にっ!

げぇむますたー!

この世界は呼び寄せられたわけですよぉ、あなたに!

げぇむますたー!

あなたの狂気に満ちた殺戮計画にっ!

カエデ

しらない、私、そんなの…

げぇむますたー!

良くないです、嘘。

げぇむますたー!

それに、あなたにあります、朗報。

カエデ

朗報…?

げぇむますたー!

あなたの殺人計画、私全て把握です。

げぇむますたー!

しかし流石は素人ですねぇ

げぇむますたー!

捕まります、あれじゃあ。

げぇむますたー!

穴だらけです、あの計画。

カエデ

…もともと、実行する気なんてなかったんだからいいの!

げぇむますたー!

認めました、あなた!

カエデ

へ?

げぇむますたー!

"実行する気は"なかった!

げぇむますたー!

つまり計画はしたと?

カエデ

カエデ

べつに、いいでしょ。

カエデ

そんなの勝手じゃない!

げぇむますたー!

ええそうです!

げぇむますたー!

勝手、あなたの!

げぇむますたー!

でもあなたは思ったはずです。

げぇむますたー!

実行しようって。

げぇむますたー!

殺す気は無い?

げぇむますたー!

殺したいなんて思ってない?

げぇむますたー!

そんなの、あなたが正常を保つための建前です!

カエデ

げぇむますたー!

正常から外れて何が悪い!

げぇむますたー!

ぶち壊れて何が悪いのですか??

げぇむますたー!

あなたは危害を加えられてます。

げぇむますたー!

殴られましたよねぇ?

げぇむますたー!

私物を壊されて

げぇむますたー!

盗られたりもした。

げぇむますたー!

極めつけは形見の破壊です!

げぇむますたー!

あぁ、なんて重罪!

げぇむますたー!

亡きお母様があなたに残した、たいっせつな形見を…

げぇむますたー!

あの人たちは盗んで、燃やしてしまった。

げぇむますたー!

思い出すのです、憎しみ。

げぇむますたー!

蘇らせるのです、あの時の悔しさ!

カエデ

カエデ

確かに悔しいけど、それでも…

げぇむますたー!

おっと、綺麗事は結構。

げぇむますたー!

この際だからはっきり言いますけど、お前既に正常じゃねぇよ?

カエデ

は?

げぇむますたー!

どこの世に同じ高校の女子をぶち殺すかんっぺきな殺戮計画を練り上げる正常者がいるんですかぁ?

げぇむますたー!

考える時点で無駄無駄無駄…♪

げぇむますたー!

すでにあなたは異常者です!

げぇむますたー!

私がここに断言致しましょう…♪

カエデ

…っ

少女はニヤリと笑って歩み寄ってくる。

それに合わせて、私も後ろに下がった。

げぇむますたー!

にげないでくだいよぉ、傷ついちゃう。

カエデ

…おかしいよ、あなた

カエデ

私も大概かもしんないけど…

げぇむますたー!

ええ、おかしいです、私。

げぇむますたー!

今まで何人か殺しました、ヒト。

げぇむますたー!

犯罪簡単に犯す。

げぇむますたー!

これは罪であり、狂人の証。

げぇむますたー!

でも構いません。

げぇむますたー!

私は今が楽しい…♪

げぇむますたー!

あなたも楽しみましょう?

げぇむますたー!

この世からゴミが少し消えるだけ。

げぇむますたー!

世界はそれに気づかないかもしれないし

げぇむますたー!

気づいたとして、大した話にはならない…♪

げぇむますたー!

あいつらは世界にプラスを与えません。

げぇむますたー!

世界からすれば、まさに悩みの種!

げぇむますたー!

消せばむしろ感謝されること間違いなしっ♪

カエデ

げぇむますたー!

げぇむますたー!

ねぇ

カエデ

…なに?

げぇむますたー!

それならチャンスをあげましょうか

カエデ

チャンス?

げぇむますたー!

そんなに殺したくないのなら

げぇむますたー!

私からちょっとしたチャンスをあげます♪

カエデ

どういうこと…?

げぇむますたー!

これから始めるのは殺戮。

げぇむますたー!

血で血を洗う大戦争…♪

げぇむますたー!

だけど、一つだけ、誰も死なない道を作ってあげましょう!

カエデ

なに、それ?

げぇむますたー!

ゲームに参加する人の中から1人、人を選ぶんです。

カエデ

ひと…?

げぇむますたー!

そう、ひと。

げぇむますたー!

げぇむに参加している人達にも、最初に殺す人を選んでもらいます…♪

げぇむますたー!

カエデさんの選んだ人と〜♪

げぇむますたー!

げぇむに参加した人達が選んだ人が、見事に一致したら…♪

げぇむますたー!

その時点でげぇむは終了です!

げぇむますたー!

でも逆に…

げぇむますたー!

それが一致するまで、げぇむは終わりません♪

カエデ

…分かった

げぇむますたー!

よし♪それじゃあ、げぇむに参加する人の中から一人、名前を選んでね♪

カエデ

あの中から、一人。

あやね、ことね、さくら。

最初に殺す人を選ぶってことは

一番嫌われてそうな人を選べば…

嫌われてる人。

あの中なら、あやねだろうか。

グループのリーダー格の…

カエデ

…あれ?

おかしい。

目の前の少女は、私たちのことを調べたと言っていた。

それなら、私をいじめていたのがこの三人だけではないと知っているはず。

なのに、いたのは三人…?

…いや、考えすぎか。

どうやったのかまでは知らないが、4人さらうだけでも大変なはずだ。

それ以上はきっと、無理だったのだろう。

そうならばやはり、あやねを選ぶのが妥当か。

カエデ

…決まった。

げぇむますたー!

おー!お早いですねぇ♪

げぇむますたー!

それで、誰ですか?

カエデ

…あやね。

げぇむますたー!

…ほう。

げぇむますたー!

もう変更はできませんよぉ?

げぇむますたー!

よろしいですか?よろしいですね?

カエデ

…うん。

げぇむますたー!

よぉし♪決定です…♪

げぇむますたー!

さぁ、げぇむの準備は整った♪

げぇむますたー!

そこのモニターの前におかけください…

げぇむますたー!

司会者さん♪

カエデ

…え?
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