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悪い予想ほどよく当たるとはこの事
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
時間をずらそうと考えていたのに
俺の体は目覚ましでは無く、体内時計のアラームでしか起きないらしい
案の定、玄関を出たらほぼ同じタイミングで
隣の家からふよふよと寝癖を揺らす冬弥が出てきた
いつもならニッコニコで挨拶してくるのに、今日は目を合わせようともしない
ずっと突っ立ってるわけにもいかないし
俺は冬弥の少し後ろをションボリと歩いた
何も会話が無いの、久々だな...
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
ジロリと後ろを振り返る冬弥
何だか寂しそうに見えたのは気のせいだろうか?
...気のせいか
冬弥が歩くのに合わせて、鞄についたストラップが揺れる
アレは確か中学の修学旅行で買った物
お揃いで買って、もちろん俺も鞄につけてる
懐かしいな、もう2年前か?
と昔の思い出を掘り返していると、冬弥が不意に歩くのを止めた
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
昨日とは違い、気持ちの悪い血の騒ぎ方だ
まさかバレたとか...
嫌な考えが過ぎって更に気分が重くなる
振り返った冬弥は、やはり寂しそうな表情をしていた
重たい気分が吹き飛び、頭の中は目の前の人物でいっぱいになる
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
冬弥は少しイラついたように俺を黙らせた
これ以上は止めた方が良いと判断し、俺は大人しく口を閉じる
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
冬弥はそう言ってスタスタと公園の方へ歩いて行く
すぐ済む話では無いようだ
辿り着いた公園はあの時の
冬弥への恋心を自覚したあの公園だった
この時間は子供たちも学校で、公園には誰もいなかった
俺たちは二つ並んだブランコへと腰掛ける
冬弥はキィキィとブランコを揺らして音を立て
ポツリポツリと話を始めた
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
冬弥はブランコを揺らすのを止め、チラリと俺を見た
その目はどこを見ているのか分からなかったけど
俺の目を見ていないのは確かだった
水嶋 冬弥
花守 健
突然の申し出に、俺は警戒する事無く手を差し出した
冬弥はその手に自分の手を重ねる
花守 健
ドクンと心臓が鳴る
1度ギュッと手を握られ、すぐに離れた
ホッとしたのも束の間
何を思ってるのか読み取れない幼馴染は
その長くてゴツゴツとした指を絡めたのだ
何してんだ、冬弥ッ
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
じわっと手汗が滲む
行動の意図が全く分からない
意識するとアレが出てしまう為
俺はなるべく平静を保てるよう、冬弥から目を逸らした
しばらく沈黙が続き、次に口を開いたのは冬弥だった
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
最悪だ
俺の思いとは裏腹に、動揺の証は出てしまったようだ
握られた手の甲に、俺の花は咲いていた
冬弥はその花を見詰め、その視線を俺と合わせる
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
授業でやったから、冬弥もこの症状の事は知っている
どうしてこの花が浮き出てくるのかも、ちゃんと知っているはずだ
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
俺は冬弥の手を振りほどき、パッと花の模様を隠した
見られた...冬弥は知ってた
いつバレた?まさか昨日か?
グルグルと頭の中が騒がしい
大体、何で冬弥そんな複雑な顔してんの
俺から一切目をそらさない冬弥
そんな幼馴染の表情は、何を想ってるのかまるで検討もつかない
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
言っていいのか分からずに返事を躊躇った
バレてるとは言え、自分の口で肯定するのは
長年の幼馴染相手には少々辛いものがある
俺が中々口を割らないのに焦れたのか
冬弥はブランコから降りて俺の目の前へと移動する
俺の肩に手を置き、覗き込むように顔を寄せた
近い、近い近い
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
覚悟決めるしか無いか...
俺はまたあの頃のように
長い前髪に隠れるようにしてその名を口にした
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
開き直ってハッキリと伝えれば、冬弥は目を丸くして俺を見る
つーか、見てたら解んだろ...あの時だって...
冬弥は俺の肩から手を離し、その手で自分の口元を押さえていた
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
キッと睨みつければ、冬弥は罰が悪そうに下を向く
...あれ?
ふと見慣れたものが目に入り、俺はソレに手を伸ばす
サラリと頬にかかる冬弥の髪をそっと退ければ
そこには俺と同じ花模様が浮かび上がっていた
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
今度は冬弥が黙り込み、俺はズイッと詰め寄った
この距離でやっと冬弥の耳が赤い事に気付く
それが可愛くて、俺はつい触れてしまった
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
花守 健
パシッと弾かれた手を降ろした
急にドキドキと心臓がうるさくなる
さっきまでモヤモヤと気持ち悪かった心が
今度は期待でいっぱいだった
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
段々と小さくなる冬弥の声
何だかそれがとても愛しく感じた
話してる間、冬弥の体には花がいくつも咲き出していた
しかし、冬弥の表情は暗い
どこか切なげで、悲しそうだった
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
泣きそうな震える声で訴える冬弥を
俺は自分の胸に引き寄せた
じんわりと胸元が暖かくなる
冬弥も、怖かったんだな...
俺と同じで、冬弥も凄く戸惑ったんだろう
腕の中で震える冬弥を、俺は優しく抱き締めた
こんな事なら
もっと早く言えば良かった
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
俺の腕から逃れようと、冬弥はバタバタと暴れ出す
そんな冬弥を大人しく離してやった
俺から距離を置き、ブランコに腰掛ける冬弥
その目元や頬、首筋には可愛い花の模様が浮き出ている
自分の花は恥ずかしいのに、冬弥の花は可愛らしい
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
それから何となく沈黙になって
俺は冬弥に近付いた
冬弥はブランコの鎖をギュッと握って俯いている
少し震えているその手に、自分の手をそっと重ねた
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
上を向く冬弥と、下を向く俺
お互いに目を閉じて、静かに唇を合わせた
ずっと幼馴染として傍に居たから知っている
俺も冬弥も恋人なんて居たこと無い
だから他人とキスをするなんて、これがお互い2回目だった
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
冬弥とのキスは
花の密みたいに甘かった
ー後編・finー
コメント
16件
最高かよ
これは健と冬弥どっちが受けでも食えてけます。最高すぎて尊い(語彙力)二次が出来そうで怖いので部屋で叫んできます。
最高すぎて叫びそうになりました( ˙-˙ )