TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

奈々

私がいつか死ぬときは、ずっと手を握っててね

悠太

どうしたんだよ、急に

奈々

ふと、急に怖くなったの

奈々

ね?
約束して

悠太

わかったよ

悠太

いつか奈々がおばあちゃんになって、もし先に死ぬとしたら

悠太

大丈夫、って言って手を握ってるよ

怖がりで泣き虫な彼女が、急にこんなことを言い出したことを思い出す

彼女が何かにおびえる度に 俺は「大丈夫」となだめた

奈々

通話終了

通話
00:00

悠太

もしもし、奈々?

男性

事故が……事故に遭われて、この方があなたと話したいと

悠太

え?
何?
事故?

奈々

ゆ、た?
わたし……

悠太

奈々!
大丈夫か!?
事故って

奈々

だいじょ、ぶ

奈々

ゆ、た

悠太

しっかりしろ!

悠太

奈々!

奈々

わた、し、
だいじょ、ぶから

奈々

ゆ……た

悠太

すぐ行く!
どこにいるんだ!

奈々

こな、で

奈々

いい、から
ゆ、た
こえ、ききた……くて

悠太

しっかり!
行くから、すぐ行く!

奈々

ありが……
だいじょ、ぶ

奈々

だいじょ、ぶ

悠太

奈々!
奈々!

男性

落ち着いてください
今から搬送先の病院を言います

最期に「大丈夫」って言ってやれなかった

手も握れなかった

約束、守れなくてごめん

怖がりで泣き虫な君が

苦しい息の向こうで

必死に「大丈夫」と

あの時彼女は潰れた車の下で

半身を挟まれて

虫の息だったと聞いた

最期に俺と話がしたいと 懇願したという

約束

せめて守りたかった

怖がりな君を

泣き虫な君を

励ますことで 俺は強い気になってたんだ

自分を強いと思って まっすぐ立っていられたんだ

君を守るふりをして君に守られていたこと、気づきたくなかった

「大丈夫」と言った君の言葉

忘れないよ

絶対に

ずっと

約束だ

loading

この作品はいかがでしたか?

84

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚