司
…あっ、そうだ
司
…せっかくだから久しぶりに、ウチへも行きたいな
類
ああ、そうだよね
類
それなら咲希くんには僕から連絡しておくよ
司
本当か?それなら助かる
類
ああ、任せておくれ
類
…それじゃあ、今日はそろそろ帰るよ
類
また明日だね、司くん
司
ああ!楽しみにしている!
類
フフ、僕もだよ
類
咲希くん、いきなりですまないのだけれどこれから家の方へ寄っても構わないかな?
咲希
お家ですか?大丈夫ですよ!
咲希
お兄ちゃんの事ですよね…?
類
ああ
類
聞いていないかい?明日、司くんが外出許可を貰えた話
咲希
はい、聞いてます…
咲希
先生から自宅の方に電話があって、それで
類
やはり聞いていたんだね
類
良かったよ
類
今司くんの所へ行ってきて、病院を出たところなんだ
類
今向かっているから、すまないけどよろしくね
咲希
全然大丈夫ですよ!
咲希
るいさんも、気をつけて来てくださいね!
咲希
アタシもお家で待ってます!
類
ああ、ありがとう
咲希
るいさんいらっしゃい!
咲希
あの…本当に玄関で大丈夫なんですか?
類
気を使わせてしまって悪いね…大丈夫だよ、ありがとう
咲希
すみません…
咲希
…それで、あの
咲希
お兄ちゃんについての話って…?
咲希
もしかして、明日の事についてですか?
類
ああ、それでなんだけれど…
咲希
るいさんがいっしょに居てくれるんですよね…!
類
おや、そこまで知られていたとは…
咲希
えへへ、電話で聞いたんです
咲希
るいさんがご一緒なら、アタシ達もお兄ちゃんも安心ですね!
類
ああ…もう二度と司くんを危ない目には合わせないよ
咲希
るいさん…
類
…本当、すまなかった
咲希
るいさんのせいじゃないですよ
咲希
悪いのはひき逃げをした犯人なんですから…
類
…ああ
類
それでも…悪かった
咲希
…お母さんもみんな、誰もるいさんが悪いだなんて思ってません
咲希
るいさんのことを責めてるのは、るいさんだけですよ
類
…
類
…ああ、ありがとう
咲希
…あーあ、明日アタシもいっしょに行けたらなあ
類
なにか用事でも?
咲希
学校が終わって、お兄ちゃんのことがあったからバンド練習が中止になって…
咲希
だからアタシ、放課後は暇なんです!
類
え?それじゃあなんで…
咲希
だってお兄ちゃん、自分からるいさんと行くって言ってたんですよ!?
咲希
だったらせっかくだし、るいさんとお兄ちゃん、ふたりきりがいいかなーって
類
なっ…
類
…咲希くんってば、別に気を使わなくたっていいのに
咲希
あはは(笑)もしかしてるいさん照れてます?
類
そんなことは無いよ…
咲希
…ふふっ、お兄ちゃん良かったね
類
…ああ、そうだ
類
それでなんだけれど明日、司くんがお家の方へ行きたいと言っていてね
類
…大丈夫かな?
咲希
えっ!?ホントですか!?
咲希
もちろん大丈夫です!!
咲希
あっでも朝からとなるとウチ、誰も居ないかも…
類
それなら心配要らないよ
類
明日は司くんと共に学校へ行くことになったんだ
咲希
ええーっ!?学校にですか?
類
僕が提案してね…そうしたら司くんも行きたいと
咲希
わあっ、それなら放課後からウチへ来るって感じですか?
類
ああ、そうだね
咲希
分かりました!お母さんにも伝えておきますね!
類
助かるよ
咲希
るいさんもご一緒に上がりますよね?
類
えっ?いいのかい?
咲希
ええっ!?そうじゃなかったんですか!?
類
司くんだけ送って僕は一旦帰る予定だったよ、お邪魔かと思ってね…
咲希
そんな事ないです!
咲希
お兄ちゃんも、るいさんが一緒の方が嬉しいと思いますし…
咲希
アタシも、るいさんが来てくれた方が嬉しいです!
類
…そうだね、それなら僕もいっしょにお邪魔させて貰おうかな
咲希
はい!ぜひ!
類
それとなんだけれど…
類
司くんの制服、借りられないかな?
咲希
あっ、明日使うから…
咲希
はい、多分お兄ちゃんの部屋にあると思います…!
咲希
すみません、今取って来ますね!
類
悪いね…ありがとう
咲希
…るいさん!
咲希
はい、これ…お兄ちゃんの制服です
咲希
明日はその…お兄ちゃんのこと、よろしくお願いします…!
類
…ああ、任せてくれたまえ
類
…今日は色々とありがとう
類
明日も悪いけれど、お世話になるね
咲希
いえいえそんな…!
咲希
アタシも久しぶりにお兄ちゃんが帰ってくるので…楽しみにしてますね!
類
ああ
類
…それじゃあ、お邪魔しました
咲希
はい!お気をつけて!
翌日 朝
司
類!おはよう
類
おはよう司くん
司
ああ…ワクワクするなあ
類
フフッ
類
…はい、これ
司
む?なんだこれは…紙袋…?
類
君の制服だよ
司
オレの!?
類
昨日の帰り、実は君の家へ寄ってね
類
咲希くんに頼んで貸して貰ったんだ
司
咲希に?
司
…ああ、そっか
司
…咲希、ウチへ行っても構わないと言っていたか?
類
ああ、もちろん
類
…それと、僕もいっしょにお邪魔させてもらう事になったんだ
司
へ?
司
類はそのつもりじゃなかったのか…!?
類
えっ?
類
…ふふっ(笑)
司
もー…!またなんで笑うのだ!
類
いや…君の反応が本当に咲希くんと似ていてね(笑)
司
なにっ!?
司
ま、まあ…あたりまえだ
司
きょうだいだからな…!
類
あはは…もう、なんだいそれ(笑)
司
何がおかしい!?
類
…ううん、なんでも(笑)
類
ほら制服…手伝ってあげるから着替えないと
司
ああ…そうだな
司
手伝いまで…ほんと、悪いな
類
ほら司くん…気にしない
類
僕は迷惑だなんて少しも思っていないのだから
司
…うん、ありがとう
類
(…ダメだな、僕)
類
(…司くんの笑顔を見る度、どうしても溢れてしまう)
類
(…好きだって)
翌日
類
…司くん、どうだい?
類
久しぶりの外は
司
…ああ、凄いよ
司
…本当に、久しぶりだ
類
…本当に大丈夫かい?
司
大丈夫だ
司
…景色も、匂いも音も
司
…全部がなつかしい
類
…ああ、良かったよ
類
…本当に
司
…よーし!それじゃあ類!
司
学校へ行くとするか!
類
ふふっ、そうだね…
司
すまないが、よろしく頼むな
類
大丈夫さ、ほら行くよ
学校前
司
おおー…!ここがオレの通っていた学校…!
類
司くん…本当に大丈夫かい…?
司
もう…類は心配しすぎだ
司
オレは大丈夫だから
司
それに、何かあれば直ぐに言う
司
約束しただろ?
類
いやまあ、そうだけれど…
司
ならほら!早く行かないか?
類
…そうだね、わかったよ
――風紀委員でーす、服装を正してくださーい
類
あれ、そういえば今日は風紀委員のあいさつ運動の日だったね…
司
風紀委員?
風紀委員でーす…って
…え、ええっ!?!?
司
む?
杏
つっ、司先輩…!?!?