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主
すち
暇72
雨乃こさめ
LAN
みこと
いるま
主
主
主
担任
担任の声が教室に落ちた瞬間 ざわっと空気が揺れた
誰かが
生徒A
と笑い誰かが
生徒B
と言う
俺は机に頬をつけたまま窓の外を見ていた
校庭の端にある桜は まだ少しだけ花を残している
春は毎年同じ顔をしてやってくるくせに
今年の春だけはどこか落ち着かない
一年
たったそれだけの時間で 何が変わまたるんだろう
そんなの考える必要ないと思ってた
LAN
LAN
声をかけてきたのはらんだった
背筋は伸びてるしノートもきれい
勉強はあんまり得意じゃないくせに
こういうところは無駄に真面目な奴
LAN
LAN
LAN
すち
LAN
LAN
前の席のみことが振り返ってふわっと笑った
みこと
すち
みこと
即答だった
理由は言わない
みことは昔からそうだった
昼休み
廊下の窓際日がよく当たる場所
暇72
振り向かなくても分かる声
なつは昔から俺を呼ぶときの間が変わらない
すち
暇72
すち
何度目か分からないやり取り
文句を言いながらも
俺は鞄から弁当を出して半分差し出す
なつは当然みたいに受け取って隣に座った
小さいころからずっとこうだ
幼稚園のときなつはよく泣いていた気がするし
小学校では忘れ物常習犯だったっけな
中学ではテスト前に
「ヤバい」と言いながら俺の家に来ていた
高校三年になっても何も変わらない
暇72
なつがぽつりと言う
暇72
すち
俺がそう答えるとなつは
少し安心したように笑った
暇72
その笑顔を見た瞬間胸の奥が じんわりあたたかくなる
理由は考えなかった
幼馴染だから
それで十分説明がつく
放課後
美術室のドアを開けると
油絵の匂いと少し湿ったキャンバスの 空気が混じっていた
すち
暇72
なつがそう言ってエプロンをつける
この時間が好きだった
部活というより
“ここに来る理由”が 欲しかっただけかもしれない
俺は椅子に座り鉛筆を走らせる
筆がキャンバスに触れる音
窓の外から聞こえる運動部の声
なつは隣で黙々と色を重ねていく
それ全部が「いつもの放課後」だった
暇72
すち
暇72
すち
なつは俺のスケッチを覗き込む
距離が近い
肩が触れそうで触れない
でも近いことに意味を感じたことはなかった
今までは
すち
暇72
すち
暇72
なつは小さく笑う
その笑い方が昔と変わらなくて 少しだけ安心した
美術室の窓から入る夕方の光が
キャンバスと床をやわらかく染めていた
この時間がなくなることなんてあるのかな?
ふとそんな考えが浮かんで俺は慌てて消した
考える必要はない
まだ一年もある
数日後の教室
こさめがらんに寄りかかりながら
文化祭の話をしている
雨乃こさめ
LAN
らんはそう言って少しだけ笑った
前の方では いるまとみことが部活の話をしている
みこと
いるま
みこと
短い会話
でも迷いがない
皆は少しずつ“先”を見ている
俺だけが今に留まろうとしている気がした
放課後の美術室
なつは俺の席まで来てそのまま机に突っ伏した
暇72
声が近い
すち
暇72
本人は本気でそう思ってる
だから余計に厄介だ
俺は自然に頭を撫でた
なつは一瞬だけ目を開いてそのまま力を抜く
暇72
自覚はない
ただ俺がいると落ち着くらしい
入口の方でこさめが小声で言う
雨乃こさめ
LAN
らんが即座に止める
LAN
“まだ”
その言葉がなぜか引っかかった
帰り道
夕焼けが校舎を赤く染めている
暇72
暇72
俺は足を止めずに耳だけ向けた
暇72
軽い声でも少しだけ間があった
すち
俺は即答する
すち
なつは少しだけ笑って
暇72
と言った
その横顔を見ながら 胸の奥がほんの少しだけざわついた
“幼馴染”
それがある限り俺たちは何も変えなくていい
一年
まだ余裕だと思っていた時間
でもこの春
その一年がもう静かに削れ始めていることを 俺はまだ理解していなかった
主
主
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