明日の準備を済ませ、リエはベッドに横になった
人影と夫──阿左美慎哉が向き合っていた
リエ
これは……
看板とガラスの破片が人影の頭上に落下する
どん
庇うように突き飛ばした
リエ
……!
うつ伏せの状態で、慎哉は看板の下敷きになり、ガラスの破片で腕を切ったのが、流血している
その光景を見て、彼女は絶句した……
リエ
人影は慌てて駆けより、取り乱していた
リエ
……どうして?
夫は安心したように笑い、切なそうに見詰める────
ドードー
そんなにショッキングだった?
リエ(高校生)
……!?
ドードー
少しはメンタルが成長したかなって、思ったけど──
ドードー
ちょっと早すぎたみたいだね
リエ(高校生)
……今のは?
ドードー
“あの日“に起こった出来事だよ
ドードー
きみの夫は勇敢だよね
ドードー
“愛する人“を庇って、重傷を負ったんだから
リエ(高校生)
(“愛する人“──)
言い知れない悲しみが襲ってくる
ドードー
あとは知っての通りさ
リエ(高校生)
…………
ドードー
信じられないって顔だね?
ドードー
でも事実に変わりはない
リエ(高校生)
ドードー
ねぇ“愛する人“の正体、知りたくない?
リエ(高校生)
──正体
ドードー
もし知りたくなったらさ
ドードー
ぼくのところにおいで──
ドードー
待ってるから
リエ(高校生)
ドードー
もうすぐ夜明けだな〜
ドードー
そろそろ目覚めなきゃね♪
にこ
ぱちり
リエ
……!
リエ
上半身を起こす
ピピピ
ちょうど、アラーム音が鳴り出した
リエ
……朝ごはんの用意しなくちゃ…………
アラーム音を消し、ベッドから下りる
数日後
仕事の帰り道の途中で──
『BAR Puppeteer』
リエ
……?
リエ
(バーなんて、あったかしら?)
怪訝そうに見つめる
?
?
やめとけよ
リエ
え?
いつの間にか、カジュアルな装いをした男が立っている
?
こんなバーに入っちまったら、ろくなことにならないぞ
リエ
…………
?
さっさと帰れ
男はその場から立ち去った
それをぼう然と見送る
リエ
リエ
(そうだ、早く帰らなきゃ──)
家路へと急いだ