デビルズパレス 展望台
主
はじめて登った展望台
そこから見える星空は
建物がひしめく現実世界とは比べ物に ならないほど
圧巻の景色だった
主
主
私は手すりに腕を組むようにのせて
しばらくそのまま宝石箱を のぞくような気持ちで
星空を眺めていた
すると
ミヤジ
主
後ろから静かな声が聞こえた
主
主
私は少しずれて
ミヤジの場所を開けた
ミヤジ
ミヤジ
デビルズパレスの夜の警備をするのは ほとんどナックの仕事で
ミヤジがこんなに夜遅くまで起きているのはめずらしい
主
主
私は空高くにある
ぽっかりと丸い穴が空いた星空を見たまま言った
ミヤジ
私がデビルズパレスに来た当初
ベリアンがこの世界のことを 教えてくれた
そしてその中で
「満月の夜はラト・バッカに近づいてはいけない」
というものがあった
主
主
ミヤジ
私は怒られるのが嫌だったので ミヤジの方は見なかった
主
主
主
主
主
主
ミヤジ
ミヤジ
こんなときでも
ミヤジの言葉は優しい
主
主
主
ミヤジ
でも私は
何となくその原因を知っていた
主
主
ミヤジ
横目でちらりとミヤジの方を見る
主
ミヤジ
静かに目を伏せている彼の表情はよく読み取れないが
震えるほどの殺気が肌を撫でた
ミヤジ
主
言葉の端々から
抑えきれない怒りがにじみでている
主
主
この質問をしたのはミヤジが 最初ではない
実は何人かの執事にもこの質問を したことがある
そしてみんな
口を揃えて言うのは3つ
主
ミヤジ
主
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
そういうミヤジも
少し悲しげな目をしていた
主
主
私はミヤジ視線を合わせた
主
主
主
主
ミヤジ
ミヤジ
主
主
主
主
○年前
満月の夜
前主の部屋
わたしは静かに
扉を開けた
主
主
1歩部屋に入ると
むせ返るような
花の香水のような匂いがした
主
主
魔女族のみがつくれるという
幻覚作用のある魔法の薬
主
主
主
私は床に散らばった何かの破片や倒れた家具などの隙間を縫うように
窓際にあるベットへと近づいた
主
ベットに近づくに連れて
ますます魔香の煙たさも増していく
主
主
そして私は
主
窓から差し込む満月の月明かりに 照らされた
ラトに会った
デビルズパレス 展望台
主
主
主
主
ミヤジ
私は相変わらず綺麗な空を見て言った
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジの声色はいつだって優しい
主
主
主
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
低く響くその優しい声は
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
光が散りばめられた今日の空には
ミヤジ
どこか不釣り合いだった
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
主
主
ミヤジ
このままでは
悪魔執事の仕事がなりたたない
ましてやラトは
天使狩りにおいて大きな戦力であり
その穴を埋めることは容易なことではない
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
主
主
主
主
主
ミヤジ
ミヤジ
ふっと息が抜けるように
力なくミヤジは笑った
主
今でも鮮明に
頭に残る
むせ返るような花の香りの中で
目を閉じてボロボロの布を 抱きしめて眠るラトは
主
主
ただただ
幸せそうに
満ち足りたように
微笑んでいた
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジはどこか遠くを見つめるように言った
ミヤジ
ミヤジ
何かを手繰り寄せるような視線だった
きっとその先には
彼が今、目を背けたものがあるのだろう
主
主
主
主
いつも空っぽな彼の命綱は
本当に
あの儚い幻のみなのだと
あの時たしかに分かった
主
ミヤジ
やんわりと
私の言葉を遮ったミヤジは
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
ミヤジ
子を思う父親のように見えた
主
私は空を丸く切りとった
綺麗な満月を見上げる
ミヤジも私にならって空を見上げた
主
ラムリ
主
後ろを振り返ると
元気に手を振るラムリが こちらに走ってくる
ラムリ
ラムリ
主
主
主
私はふわふわの彼のくせ毛を撫でながら 微笑む
主
主
主
主
ラムリ
ラムリ
頬も耳も赤く染めて目を丸く開く彼を
心底愛おしいと思う
でも
ラムリ
主
この世界は優しくて
愛しくて
どこか息苦しい
そんな歪さを感じるときがある
主
主
主
私は満月に背を向けて
優しいぬくもりを持つラムリの手を にぎった
終
コメント
2件
先代主様、、、、会ってみたいかも、、、。 ラムリ可愛いー!