明星の自宅
寝室
樋宮 明星
掠れた声で小さくそう呟いた声に
私は少しだけそちらを向いた
少し青白い顔に
何をそんなに驚いたのか
瞳を丸くしている彼がいた
樋宮 明星
綾戸 恋
綾戸 恋
恋がベットの傍に座りながらそう言うと
樋宮 明星
樋宮 明星
ふにゃりと
いつもより一段とやわらかく
溶けかけのアイスみたいに明星が笑った
樋宮 明星
綾戸 恋
綾戸 恋
ドアの近くの壁に立って寄りかかりながら
シロ
私は短くそう言った
樋宮 明星
樋宮 明星
樋宮 明星
ふにゃふにゃの声は
いつもよりかすれてるし力がなくて
私にはうまく届かない
綾戸 恋
綾戸 恋
綾戸 恋
樋宮 明星
綾戸 恋
樋宮 明星
綾戸 恋
綾戸 恋
樋宮 明星
綾戸 恋
樋宮 明星
樋宮 明星
綾戸 恋
樋宮 明星
明星はまたどっちとも取れない返事をして
掛け布団を頭から被った
綾戸 恋
樋宮 明星
恋が布団を引っ張って剥がそうとするも
明星のくぐもったグズる声が聞こえてくるばかりで
シロ
明星は完全に布団に埋まった
綾戸 恋
樋宮 明星
綾戸 恋
シロ
シロ
部屋に上がって十数分で
すでに疲れきった表情の恋は
綾戸 恋
シロ
こっちに向かって手招きをした
シロ
私は見えなかったことにした
綾戸 恋
シロ
シロ
私は少し距離を空けて
恋の隣に座った
シロ
綾戸 恋
綾戸 恋
綾戸 恋
綾戸 恋
恋が小声で
綾戸 恋
まっすぐな視線を向けてくる
綾戸 恋
シロ
私はその視線が嫌で
目を逸らした
シロ
目の前には
山のように膨らんだ白いシーツ
樋宮 明星
それが中の明星の呼吸で上下する
シロ
マスク越しでも
病人がいるとき特有の少し生温かい嫌な空気を感じた
シロ
綾戸 恋
シロ
樋宮 明星
シロ
樋宮 明星
もぞもぞと
筋張った手が最初に出てきて
そのまま掛け布団を押し下げて
樋宮 明星
顔だけ出した明星と
視線があった
シロ
シロ
綾戸 恋
シロ
綾戸 恋
私は恋が持っていた買い物袋から
みかんゼリーとプラスチックスプーンを取り出す
樋宮 明星
シロ
樋宮 明星
私はゼリーの蓋を開けた
綾戸 恋
綾戸 恋
樋宮 明星
シロ
私はゼリーをすくったスプーンを明星に向けた
シロ
綾戸 恋
樋宮 明星
また目を丸くした彼の口元に
スプーンを近づける
シロ
シロ
樋宮 明星
シロ
シロ
樋宮 明星
綾戸 恋
私はスプーンを今度は恋に向けた
シロ
綾戸 恋
シロ
シロ
シロ
綾戸 恋
綾戸 恋
恋は明星の方を一瞥して
口を開けた
樋宮 明星
樋宮 明星
樋宮 明星
急に大きな声を出した明星がそのままむせる
シロ
私は近くのスポーツドリンクを差し出した
綾戸 恋
樋宮 明星
シロ
樋宮 明星
樋宮 明星
明星が落ち着くのを待って尋ねると
今度は大人しく口を小さく開けた
シロ
樋宮 明星
シロ
樋宮 明星
シロ
樋宮 明星
シロ
綾戸 恋
それからカップの半分のゼリーを食べて
薬を飲んだ明星は
すぐに夢の中に沈んでいった