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子供たちにはみんなそれぞれの「言葉」がある
気持ちを切り替えたり、落ち着かせたり、理解を助けたりするために俺たちと子供たちで決めた言葉
今日はそんな「言葉」を教えようかな
まずは青ちゃん
青
青
青
今日は特別調子が悪い
発作とパニックが重なっていつもより苦しそう
桃
普段なら今みたいに「大丈夫」で落ち着くことが多いんだけど
本当の本当にダメな時に使う特別な「言葉」がある
青
桃
桃
青
桃
青
言ってることは同じなんだけど
普通に言うより心に入りやすいみたい
元々青ちゃんは言語の学習能力が高くて
たまに英語で話してたりするからそのおかげかな?
他にも
赤
青
青が赤を突き飛ばす
桃
赤
紫
赤
紫
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
桃
桃
桃
青
桃
青
桃
青
桃
青
青
赤
青
赤
今みたいに青ちゃんの気持ちの切り替えを助けてあげるのにも使う
次は黄ちゃん
黄
黄
黄
橙
今日は鬱の日みたい
希死念慮が強くて下手に近づけない
黄ちゃんは元気な時とこういう時との差があるから
橙先生にしか分からない境目みたいなものがある
この「境目」を超えた時に特別な言葉をかける
橙
黄
橙
黄
気持ちが落ち着かなくてどうしようもない時は橙先生の判断で普段呼ばれる「黄ちゃん」ではなく「黄」と呼ぶ
普段叱る時とか俺たちも呼び捨てにすることはあるけど
こういうパニックのときはあまりない
それと橙先生と黄ちゃんにしか分からない抑揚みたいなものがあるからそれも心を落ち着けるポイントになってるのかな
橙
橙
黄
次は緑ちゃん
緑
紫
今日はどうしても気持ちが落ち着かなくて植物に傷つけられちゃう
緑
緑ちゃんは他の子よりパニックが少ないしあっても赤くんに誘発されたものだから
赤くんが落ち着けば大丈夫なことが多いんだけど
今日は赤くんと一緒にいたくないって自分から言った
傷つけたくなかったんだよね
でもやっぱり不安定でダメそうなときは特別な「言葉」をかける
紫
緑
紫
紫
紫
紫
自分が植物なのか人間なのか犬なのか
曖昧になって分からなくなっちゃう時に不安定になるから
ひとつひとつ
全部が「君」だって一緒に確認する
緑
いつもしっかりしてる緑ちゃんだから
自分以外を大切に出来る子だから
自分を疎かにしてしまう子だから
一緒に自分を自分だと思えるように確認してあげる
紫
次は赤くん
赤
赤
赤
紫
赤くんは他の子みたいに特定の言葉があるわけじゃない
だけど赤くんがここに来た時から自然としていること
赤
紫
赤
紫
赤
紫
赤
赤
紫
赤
紫
赤
紫
赤
赤くんは自分が落ち着けないときは俺の言葉を繰り返す
オウム返しってやつだね
落ち着くために自分の心に深く入るように
何度も俺の言葉を繰り返す
紫
赤
そんな特別な「言葉」があるのは子供たちだけじゃない
桃
今日は青ちゃんの発作が酷くて
滅多にしない自傷までしちゃった
それで桃先生は反省中
桃
紫
桃
本人は気づいてないけど桃くんはストレスが大きかったりすると
唇を血が出るまで噛んだり腕を引っ掻いたりする癖がある
桃
紫
桃
紫
桃
紫
紫
紫
桃
紫
桃
桃ちゃんは後悔しだしたら止まらないから
「おしまい」で一旦止めてあげる
ずっとマイナスなこと言ってても苦しいだけだからね
紫
桃
紫
桃
桃
紫
先生でも切り替えができない時もあるよね
橙
紫
橙
橙先生は黄ちゃんがカッター持ち出しちゃった件をまだ引きずってるみたい
本人は笑ってるけどふとした瞬間に思い出しちゃう
このままだと子供たちにもあんまり良くないし
そろそろ切り替えて欲しいからちょっと助けてあげる
紫
橙
紫
紫
紫
橙
紫
紫
紫
橙
紫
橙
紫
紫
紫
紫
橙
紫
橙
紫
どうして切り替えられないか
ひとつひとつ確認して
君は悪くないって伝える
紫
橙
紫
橙
こうやってみんなを支える紫ーくんだってダメな時はある
橙
桃
橙
桃
橙
桃
橙
紫
橙
紫
桃
桃
橙
紫
桃
紫
橙
桃
橙
紫
桃
紫
紫ーくんは前に鉱石病の患者を亡くしてる
他にも亡くなってしまった子供たちはいるんだけど
"あの子"のことだけは割り切れないみたい
だから赤が鉱石病だって知った時冷静に居られなかった
紫
橙
桃
紫
橙
"あの子"が亡くなった夜
弱ってたけど前日までは笑って話せるくらい元気だった
でも何かを感じ取ったのかしきりに紫ーくんに「離れないで」って言ってた
その日どうしても外せない用事があった紫ーくんは
"あの子"から離れてしまった
帰ってきたとき"あの子"は凍りついたように鉱石に覆われて
心臓は止まってた
それから紫ーくんは後悔し続けている
たまに思い出した時は「一緒にいる」って
"あの子"の時みたいに離れていないことを
確認する
紫
橙
紫
桃
桃
紫