これまでにないくらいに静かな食事を終え、自室に戻った兄を追いかける。
兄は、私の顔を見た後、部屋に入れてくれた。
私はそっと話を切り出した。
「兄さん。夕食のときに話してた、留学してた人の話、聞かせてよ」
兄はやっぱりなと言う顔をした後、静かに言葉を発する。
「ポコリンポス星に留学に行ってたヤツがさ、帰ってきたとき、この星の平和さに驚いたんだと。あっちの星は、前星王が亡くなった後、その息子が政権を継いだんだが、若すぎて政治もわからず、血気盛んだからか、星も争いが絶えなくなったと言っていた。」
私は息を呑み続きを話すように促した
「どうやら、その、星王はペペロン星を攻めるとか言ったらしく、この一連の話を家族にしたら笑われたとそいつは言っていたよ。あいつはここまでの噂話になるなんてなと苦笑いしていた」
私は思わぬ噂の元出を知り言葉を失った。
少し沈黙が続いた後、私は兄に、政府の人はその話を知っているの?なんで父はその話を止めたのと矢継ぎ早に聞いた兄はやっぱ不安だよなーといいながら質問に答えてくれた。
「多分、政府の人は知らないだろう。うちには戦争の手立てなんかない。戦争をするとなったら、俺らエンジニアをこぞって集め対抗できる策を練るだろうが、それがまだないということは、根も葉もない噂だと思っているんだと思う」
続けて兄は
「父さんがその話をするなって言ったのは、父さんも不安だからじゃないか?父さんや俺等は平和な時代しか知らないだろう。それに父さんは典型的な亭主関白だkから家庭を守らなければならないってプレッシャーもあるんだと思う。」
と話した。
兄は相変わらず周りがよく見えているなと思った。真相を知ることができスッキリするはずなのにまだ、心にはモヤがかかっているようだ。そんな私を見て兄がこう言った。
「お前のことだから、好奇心でこの噂について調べているとは思ったが、不安か?」
兄は何でもお見通しのようだ。私の、見て見ぬふりをしていた不安。図星をついてくる。
「きっと大丈夫だ。なるようになるよ」
兄のいつも通りのアバウトな言葉に少し救われた気がした。
相変わらずもやは晴れないが、私は兄にお礼をいい部屋を出た。