照Side
🧡「なぁ照兄……これ、いつまで登るん?」
💛「分かんない……ほんとどこまで続いてるんだ、これ」
翔太・舘さん・ラウールとは別の階段を進む俺・康二・佐久間の3人は、途方もない螺旋階段をただひらすら登っていた。
🩷「マジ果てしないよね……え、このまんま最上部まで行けちゃったり?!」
💛「いや、それはないだろ」
🩷「だよねぇ〜。はあ、さすがに俺もしんどいよ……」
あまりにも長い階段に、3人とも少しずつバテてきている。このまま登り続けて体力を消耗して……もしそこで、襲われたら?前に会社の人たちに扮した敵に襲われたことを思い出して、少し身震いがした。
💛「1回、休憩しよっか。ラウールのポーション飲もう」
🩷「賛成〜!」
🧡「せやな、その方がええわ……これから戦えって言われたら、ちょっと無理やもん」
階段に腰掛け、ラウからもらったポーションを開ける。少し口にするだけで、体の疲労は格段と良くなった。
🩷「うわ、これすご!!疲れがどっか行っちゃった」
🧡「あれ、さっくん、ラウのポーション飲んだことなかったっけ?」
🩷「うん、あんま戦いの途中にポーションで回復することないからさ」
💛「お前いっつもギリギリまで我慢するからな」
🩷「うー、だって!俺はポーション飲む時間があったら敵を引き付けて手榴弾投げれるんだもん!」
🧡「さっくんは動きが素早いからなぁ」
🩷「えっへん。素早さも俺の能力の1つだからね!」
そうやって雑談をしている間に。
💛「……待って、なんか音しない?」
🩷🧡「「音?」」
3人で耳を澄ますと……上の方からかすかに、ドタドタと何かが走り回る音が。
🧡「……なんか、おるな」
🩷「何だろこの音……複数いるっぽい?」
💛「とりあえず、行ってみようか」
階段を駆け上がると、そこは大きな広間へと繋がっていた。そこで走っていたのは、
🩷「じゅ、獣人……?!」
🦁「お、これはこれは……フリーズ様の言ってた”穴の底の六人”のうちの三人じゃねぇか……」
そう言って、こっちを馬鹿にするように笑うライオンのような獣人。
💛「”穴の底の六人”……?」
🦁「おう、そうだよ。お前ら、仲間の1人に裏切られて最下部まで落とされたんだろ?……ほんっと可哀想だよな」
ライオンは、ニタニタと笑っている。
🐰「ほんっと可哀想〜。ねえねえ、今どんな気持ちなの?大切な仲間に裏切られて……」
広間の隅から出てきたウサギの獣人。そいつも、俺たちのことを嘲笑う。
🧡「違う!!めめはそんなんじゃない……俺らを裏切ったわけとちゃうねん!!」
🐰「へぇ〜。ならその証拠は?目の前であんなことされたのに、本当に裏切ってないって言えるの?」
🩷「……それは、俺たちの経験だよ」
🐰「経験?」
🩷「俺たち、ずっと一緒にグループとして活動してきてる。蓮はいっつも、真面目で、グループのことを1番に考えてくれている……そんな奴が、お前らみたいなやつの方に寝返るわけない」
💛「目黒のこと何も知らないのに、勝手にそんな口きくんじゃねぇ……!」
俺たち三人は、怒りのこもった目で獣人たちを睨む。仲間のことを馬鹿にしたやつは、絶対に許さない……!
🐰「……それも結局君たちの妄想だってこと、分かんない?」
💛「……は?」
🐰「経験があるって言ってるけど、人の気持ちっていつ変わるか分かんないんだよ?『今までそうやって行動してきてくれたから』?そんなの、あんたたちの妄想で、ただの望みじゃん!」
🩷「お前……!!」
💛「佐久間、落ち着け」
🩷「でも……!!」
殴りかかろうとする佐久間を止める。ここで何も考えずに攻撃すれば、相手の思うつぼだ。
🦁「まあ、何が言いたいって……お前らは、ここで上に戻るのは諦めろってこと。目黒ってやつを助けに行っても、もう遅い」
💛「……遅かったとしても、俺たちは目黒を諦めたりなんてしない」
🦁「ふーん、そうか。……なら、力づくで止めてやるよ」
パチン、とライオンが指を鳴らせば、広間の隅からたくさんの獣人が出てきた。その数……およそ20といったところか。
🧡「うわっ、めっちゃおるやん……!」
🩷「大丈夫だよ。俺たちなら、こんな数余裕っしょ!」
🦁「……お前たちも、こちら側に来るんだな」
ライオンがそう言った瞬間、獣人たちは一斉に襲いかかってくる。
💛「行こう、ここで止まってなんかいられない」
🧡「おっしゃ、暴れたるでぇ〜!」
🩷「俺たちの本気、受けてみよー!!」
俺たちはすぐに能力の制御を解き、獣人たちに立ち向かった。……ライオンが言った言葉の、意味を考えずに。
獣人、そして敵の本拠地なだけあって、その強さは少し異常だった。数の多さとその力に、俺たちは少し苦戦を強いられていた。
🧡「いけっ、もみしゅりサンダー!」
俺が2人にもシールドを張りつつ、硬化させた体で殴りかかる。佐久間がフラッシュで目くらましをさせた隙に、康二が技を出すと同時に斬り込む。連携を上手くとって攻撃できてはいるが、獣人の数はどんどん増える。
🩷「待って、これどんだけいるの?!」
🧡「斬っても斬っても、全然減らへんやん……」
💛「部屋の隅からどんどん来てるな……あそこから攻めた方がいいかも」
🩷「よし、なら行こっか!」
攻撃しつつ、作戦を練っていた時だった。
🧡「痛っ……」
康二の顔に敵の攻撃が当たった。
💛「康二、大丈夫?」
🧡「うん、これくらいなら平気や……」
猫に引っ掻かれたような傷跡が、康二の頬に浮かぶ。
🩷「無理すんじゃねぇぞっ!」
佐久間はそう言って、アクロバットで攻撃を避けながら敵に攻め込む。俺たちも負けじと、獣人たちに攻撃を繰り出していく。そんな中だった。
広間に散らばって戦う俺たち。俺のところにいる敵を全て倒した後、俺は異変に気づいた。
💛「あれ、康二お前……!」
康二に、犬のようなフワフワなしっぽが生えていた。よく見ると、
💛「佐久間、お前も……?!」
佐久間の頭には、猫耳が生えている。
🩷「うわ、何これ?!」
🧡「なんやこれ!いつ生えたん?!……てか、照兄も!」
💛「え?」
振り向くと、俺のお尻から生える長いしっぽが……
💛「は?何これ?!」
🐰「あ、気づいたー?」
ウサギが喋り出すと、獣人たちの攻撃は止まった。今の状況に追いついていない俺たちは、自然と1箇所に集まった。そんな俺たちに向かって、ライオンは話しながらゆっくりと歩いてくる。
🦁「俺たち獣人の攻撃が当たれば、お前らの体は少しずつ獣人化していく。それはお前らの体を蝕み……全身に広がった時、お前らは完全に”こちら側”になるんだ」
🩷「そ、そんな……!」
💛「……だから、こちら側に来るんだって言ってたのか!」
どうして気づくのが今だったんだろう。さっきのうちに気づいておけば、対策が出来たはずなのに……!
🦁「……お前らが獣人になるのも、もう時間の問題だな」
🧡「ポ、ポーション!照兄ポーション飲もうや!」
🦁「あぁ、ポーションなんて効かないよ。これはケガじゃなくて、呪いだから」
🧡「の、呪い……」
💛「お前ら……!」
🦁「恨みたいなら恨めばいいさ。ま、その感情も呪いを進行させるんだけどね」
💛「……くそっ」
こんなこと、今までなかったのに。呪い系の術は、見破れる自信があった。今までも、敵の術にはすぐに気づいて対処が出来ていたのに。相手の仕掛けが上手かったのか、それとも……
💛「俺の気が、緩んでたのか……?」
いつの間にか、自分を攻めてしまう俺がいた。
(続く)
コメント
4件
獣人になっていく発想はなかった! そうなると残すは後1人めめ めめの本性を知ったフリーザがどう動くんだろう?…🤔 続き楽しみピーマンでありまth!
どんどん獣になって行くだと!?いや、すご!でもひーくん自分を責めないで〜!続き楽しみです♪