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#Snow Man
桃紫 さく🌸
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#Snow Man
fura
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junp_Sn-Fk.
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(岩本視点)
あの日から、あいつとは一切話してないな。
相変わらず遅刻はしてるし、俺もそれを追いかけるのをやめた。
それだけで、顔すら見なくなるんだな。
……これでいいはずなんだよな。
俺も、あいつも傷つかない。
『気持ち悪いね』
「………っ…」
あの時の冷たい声と視線。
ずっと、そう思われてたんだな、俺は…
「はぁ………」
俺は、あいつに興味があった。
あいつのことを知りたいと思った。
それだけだった。
『…どうせ、お前も俺のことを救えないじゃん…』
『俺のこと好きになった?だから俺に近づくの?そういうことなの?』
『気持ち悪いね』
俺は、あいつにどんなふうに見られてたんだろうな……
明日から夏休みか…
もう、あいつと顔を合わせることなんてないんだろうな。
きっと、いつの間にかあいつは卒業して俺はもう二度とあいつとなんて……
「……照?」
背後から聞こえてきた声。
「……阿部…」
振り向くと、教科書を両手に抱えた阿部がいた。
(阿部視点)
「……照、まだ帰ってなかったんだね」
「まぁ……」
両手の持ってた教科書を近くの机に置いて、照の隣に腰を下ろす。
放課後の教室に残ってるのは照だけみたい。
思い詰めた顔。
昨日から照の様子が変だ。
ずっと思い詰めた顔をしてる。
「何かあった?」
こういう時は、何かを1人で抱えてる時。
「俺でよければ、話聞くよ」
「………ありがと」
眉毛を下げて、少しだけ目を細めて照は笑う。
話、いっぱい聞くよ。
俺も微笑みかける。
照は、一つ大きく息を吐いて話し始めてくれた。
「…ってことがあってさ、気持ち悪いって言われちゃったんだよね」
俺の目の前で、力無く笑う照……
「………そう、だったんだ…」
照が話してくれたこと。
ふっかが、そんなこと………
「………ごめん」
俺のせいだ……
「何で阿部が謝るの…?」
「俺が、照に頼んじゃったから……」
「頼んだ……?」
照は、ただただ不思議そうにしてる。
……もう、潮時なのかな…
「…俺の、思い出話を聞いてくれる?」
俺は、深澤先輩……ふっかと友達だった。
最低でも、俺はふっかのことを友達って思ってたんだ。
ふっかと出会ったのは、俺が予備校に入った時。
俺は高校受験に向けて、両親の勧めで予備校に入ったんだ。
そこに、ふっかはいたんだ。
「君、見ない顔だね?新人くん?」
話しかけてくれたのは、ふっかの方だったんだ。
予備校のテストの順位の張り出し。
それを見てたら、急に後ろから声をかけられたんだよね。
最初は誰かもわかんなかったし、多分ここに通ってる人なんだろうなぁくらいだった。
「そうですけど……」
緊張気味に返事を返したら、ふっかは明るく笑いかけてくれたの。
「やっぱり?俺、深澤辰哉!ふっかって呼んでよ!」
深澤、その名前を知った時に、俺は驚いたんだよね。
だって、テストの順位…1位を総なめしてたんだもん。
俺の通ってた予備校は、進学校を目指す人たちの集まり。
その中で、ふっかは全部1位だった。
総合、教科別、3教科……全部、ね。
それも、その時のテストだけじゃない。
過去のも全て。
何でこんなすごい人が俺に声かけてくるんだろうって、不思議でしょうがなかったよ。
「で、君は?」
そんな俺の気も知らずに、ふっかはニコニコ話しかけてくるの。
「…阿部、亮平です」
「阿部くんって言うの?じゃあ、阿部ちゃんね!よろしく〜」
ふっかはとにかく明るくて、本当に読めない人だったんだ。
俺に、毎日話しかけてくれたの。
話してる内容は、すごい面白かったんだ。
ただの雑談の日もあれば、幸せとか並行世界とか生きることについてとか、そういう深い話もいっぱいしたの。
俺は、それがすごい楽しかった。
ふっかといると、俺の知らない世界が広がるって…
でも、その話を重ねていくと、段々ふっかの内側について勘付いた。
ふっかは苦しんでる。
何となく、それだけが胸に残ってた。
証拠も何もない。
ただ、それだけを感じてた。
笑ってるけど、辛いんじゃないかって……
それを思ったきっかけは、生に関する話をした時。
「阿部ちゃんってさ、死ぬことと消えることって何が違うんだと思う?」
「え?」
その日は、確か雨が降ってたかな。
授業後に、ふっかに急に問いかけられた。
「ニュアンスは同じ感じだよね」
その時は深い話だなってしか思わなかったよ。
また、何か新しいこと考えてるのかなって。
「そう。でも、本質っていうか…死ぬことと消えることには明確な違いがあると思うの」
ふっかは、ぼんやりと雨粒の跳ねる窓を見てた。
「明確な違い?」
不思議そうに尋ねた俺に、ふっかは柔らかく笑いかけた。
「阿部ちゃんは、どう思う?」
今までに何回も、ふっかが俺に答えを委ねることはあった。
そういう時は大体、答えがなくて、ふっかも一緒に考えることだった。
でも、その時は違くて……
ふっかの中に、答えは出てたみたいなんだ。
「……俺には、ちょっと難しいかもな…」
考えては見たけど、俺にはわからなかった。
生について、深く考えたことはなかったから。
そんな俺の言葉を聞いて、ふっかは満足そうに笑った。
「ま、そうだよね〜」
笑いながら、ふっかは指先で窓に触れる。
「死ぬっていうのは、必ず存在してた跡が残る」
触れた窓には、指先でなぞった跡が残る。
「で、消えるっていうのは…」
ふっかは窓に息を吹きかける。
一瞬だけ曇った窓。
「存在していた事実も一緒に消える」
ふっかが微笑みかけると同時に、綺麗に曇りは残らず消えた。
「俺は、消える方を選ぶかな」
笑いながらそんなことを呟いたふっかに、俺は少しだけ恐怖を感じたんだ。
何を考えてるんだろうって…
でも、その後はいつも通りで、俺も違和感を抱えながらもいつも通りに接してた。
俺の違和感が確信に変わったのは、並行世界の話をした時。
その日は、ふっかの様子がおかしかった。
様子っていうか……歩き方?
片足を引き摺るみたいな歩き方。
怪我してるだけには見えなかった。
並行世界の話をしてる時も、どこか様子がおかしかった。
急に幸せかどうか聞いてくるし、明るいけど、何かがおかしい…
何となく不安になって、その日は注意深くふっかのことを見てた。
そしたら、色々とわかったことがあったんだ。
歩き方だけじゃない。
制服に隠れて見えてなかったけど、腕にあざがある。
それだけじゃない。
首元にいくつかつけられたキスマーク。
手のひらに残る引きずられた時につくような跡。
俺の中で考えられたのは、虐待。
どの跡も、自分でつけるには難しいところばかり。
そして、幸福論とか並行世界とか死ぬことと消えることの違いとか……
そういう哲学的な話をしてたのは、無意識に誰かに助けて欲しかったからなんじゃない…?
それに気づいた時、俺は何ができるかを考えた。
ふっかを助けるために、俺には何ができるのかなって。
「……ふっかの家、行ってもいい?」
その日の帰り道、俺は意を決してふっかに声をかけた。
俺の仮説が正しいのかの確認とふっかを助けるために。
「…え?」
俺の声を聞いたふっかは驚いたように振り返った。
「別に今じゃなくてもいいんだけどさ、ふっかの家に行かせて」
俺からこんなことを言い出すのは初めてで、ふっかが驚くのも当然だ。
でも、ふっかの驚いた顔には2つの理由があると思った。
1つは、俺が急に家に行きたいって言い出したこと。
もう1つは、
「…な、何でよ〜!わら」
気づかれたかもしれないっていう動揺。
「ふっか、俺のことを家に入れられないのはどうして?」
このままじゃ、うまく誤魔化して逃げられそうだから、俺はさらに踏み込む。
ここでふっかを逃したら、本当に消えちゃいそうな気がしてたんだ。
「そういう、決まりがあってさ…」
「なら、せめて家の近くまでは?」
「それも、だめだって……」
俺とふっかの攻防戦。
これじゃあ、ふっかは言ってくれなさそうだな…
だから俺は、さらに踏み込む。
「ふっか……足、見せてもらってもいいかな?」
あざがあるんだよね…?
「……っ!だめ!!!」
大きな声で、ふっかは拒絶の反応を示した。
……親からの、暴力なのか…?
このままじゃだめだ。
ここでふっかを逃したら、きっと俺は……ふっかは、苦しみ続ける…
「………虐待は、犯罪だよ」
感情的にはならないように、事実を述べる。
俺が感情的になったら、ふっかは余計に逃げようとすると思ったんだ。
「違う……そんなんじゃ…」
ふっかに、怯えたような瞳を向けられる。
怖がらないで…俺は、ただふっかのことを助けたいんだよ……
「もちろん、被害者は何も悪くない」
たとえ相手が肉親であっても、ふっかは何も悪くないんだよ。
「そうじゃなくて……」
ふっかはまだ否定を続ける。
ふっかは、そのまま黙り込んで俯いた。
物事を深く考えすぎる癖があるんだ。
その様子を見て、嫌な予感がした。
俺は選択をミスしたんじゃないかって。
俺がふっかを安心させようとして言った言葉は、ふっかの中の何かを変えてしまったんじゃないかって……
そんな嫌な予感は……的中したんだ。
「………ごめん、阿部ちゃん」
静かに呟いたふっかは顔を合わせてくれなかった。
そのまま俺から背を向けて歩き出す。
「ふっか!!」
名前を呼んだけど、振り向くことも、足を止めることもなかった。
……でも、俺もそれを追いかけられなかった。
俺がふっかの中にあるものを壊してしまったんだったら、俺が追いかけたところで、さらにふっかを苦しめるんじゃないか…?
俺に、できることなんて何もなかったのかもしれない。
でも、それでも……
「悩み事があったら、相談してね?」
寂しげで、重たそうな背中を放ってなんて置けないよ……
俺は、それしか伝えられなかった。
………その日から、ふっかは予備校に来なくなった。
ふっかと同じ高校に入ってみたものの、学年で棟が分かれてるからね。
顔を合わせることもなかったんだ。
でも、噂だけは聞いてた。
“学校1のサボリ魔“ってね。
驚いたよ。
だって、俺の知ってたふっかは周りから期待される優等生だったんだもん。
しばらく学校で過ごしてわかったこと。
ふっかには、もう1つのあだ名がある。
こっちはマイナーで、一部の人しか知らないみたい。
“堕落した優等生“……ってね。
ふっかの同級生とか、先生たちが密かに呼んでる名前だよ。
高1の時ふっかは、誰もが期待する優等生だったんだよ。
難関大も余裕で合格だー!って、先生たちの間でも盛り上がってたんだって。
……でも、高2になってから変わった。
真面目な優等生じゃなくなったんだ。
学校には来るけど、授業には出ない。
空き教室とか屋上でゲームしたり昼寝したり……
平気で遅刻はするし、学校のルールも守らない。
それが、学校1のサボリ魔って呼ばれるようになった理由。
それを許さなかったのは、ふっかに期待してた先生たちだった。
期待に応えてくれる優等生が急に問題児になるなんてって……
それが堕落した優等生の始まり。
酷い話だと思う。
ふっかは、周りからの期待も重荷になってたんじゃないかなって……
期待を勝手に押し付けられてた。
苦しいから逃げたのに、それを否定されて、堕落した優等生なんて呼ばれて……
ふっかはさ、自分の内側に踏み込まれるのが嫌いなんだよね。
周りの人たちから期待を押しつけられ続けて、ふっかはこうだって決めつけられて…
だから、もう誰も入れないようにしようって蓋を閉めてた。
でも、俺のことは受け入れてくれてた。
……なのに、俺もふっかの内側に踏み込んだ。
そのせいで、ふっかはいくら仲がよくても線を引くようになったんだ。
誰にも、ふっか自身の深い部分を知れないようにするために。
でもさ、ふっかは照に自分から近づいてた。
誰とでも距離を置くふっかがだよ?
それを知った時、俺の中で光が見えたの。
照なら、あの日の俺にできなかったことができるんじゃないかって。
照はさ、いい意味でも悪い意味でも情報とか噂に疎いじゃん?
だから、ふっかにとっては初めてだったんだよ。
俺も、最初はふっかに対して優等生っていうイメージから始まった。
でも、照は違かった。
サボり魔でも優等生でもない。
誰もがふっかに対して色眼鏡をつけた状態で接してる中、何も知らない照がいる。
それが、ふっかにとって特別で、興味の対象だったんだよ。
そして、照もふっかを知ろうって思ってくれた。
俺はすんごく嬉しかった。
照ならふっかのことを救えるかもしれないって……
だから、照に言ったんだよ。
ふっかといっぱい話してって…
……でも、それは結果的にふっかも照も傷つけた…
ふっかは、照に気づかれたんじゃないかって不安になったんだと思う。
だから距離を置こうとした。
それでも照は諦めなかった。
だから……あえて照を傷つけたんじゃないかな……
「俺のせいだね…俺がふっかが人と距離を置くようにさせて、さらに照に自分のやらなくちゃいけなかったことを任せて、2人を傷つけた」
俺があの時ふっかのことを追いかけられてたら、2人はこんなに傷ついてなかったのかな……
どこで、間違えちゃったんだろうなぁ…?
「……謝んなよ」
照に、真っ直ぐ見つめられる。
照だってまだ傷ついてるはずなのに、真っ直ぐに前を見つめてる。
「……あいつのために、阿部は頑張ってたんだろ…?」
「…結局、俺には何もできなかったんだけどね」
力なく笑ってみせる。
俺は、本当に無力だったんだ。
「そんなことないよ…阿部は、俺にバトンを渡してくれたんだろ?」
「…‥バトン?」
照の芯のある声が静かに響く。
「俺だって、本当に嫌なことだったらやらないよ。あいつを支えるバトンを受け取ったのは、俺自身があいつを知りたいって思ったから」
「……でも、そのせいで」
照は傷ついたのに…
それを言う前に、照に止められる。
「確かに俺は傷ついてるかもしれない。あいつの本心じゃないとしても、この傷は治らないかもしれない」
「………」
そうだよね……
照自身を否定されたんだもん。
当たり前なこと……
「それでも、俺はまだあいつを知りたいんだ」
「……え…?」
コメント
3件
ひぃ〜💛 ありがと!ありがと! ふっか💜のなかには、貴方がいるよ〜!! 諦めないでくれぇ〜!!
ふぅ…読み終えた直後、ちょっと息が詰まったよ。 阿部の過去が明かされて、なるほど、そういう繋がりだったのかと腑に落ちた。ふっかが死と消えることの違いをあんなにも明確に語っていたこと、あの“跡”が残らない消え方の選択——あの時点で彼はもう、誰にも助けを出せない場所にいたんだな。 それでも照が「まだあいつを知りたいんだ」って言い切ったのが、本当に救いだった。傷ついても、それでも向き合おうとする強さ。まだバトンは繋がってるんだな、って思えたよ。