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#現代ファンタジー
むぎ 🖤🪽
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#死ネタ、流血表現、暴力表現
穏霞 乃矢
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#恋愛
ばたっちゅ
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第二章 小さな光
第三話 警鐘
カン――――。
遠くで鐘の音が鳴った気がした。
ジオは薄く目を開く。
暗い。
まだ夜だ。
窓の外には月明かりだけが広がっている。
どれほど眠れたのだろう。
ようやく浅い眠りへ落ちたばかりだった気がする。
気のせいだろうか。
そう思い再び目を閉じる。
だが数秒後。
カン――――!
再び鐘が鳴った。
今度ははっきり聞こえた。
ジオの胸がざわつく。
嫌な予感がした。
ゆっくり身体を起こす。
そして。
カン! カン! カン! カン!
激しく打ち鳴らされる警鐘が夜の街へ響き渡った。
「っ!」
ジオは飛び起きた。
警鐘。
それも夜中の警鐘だ。
ただ事ではない。
同時に、階下から扉の開く音が聞こえた。
マーサだ。
ジオは慌てて部屋を飛び出す。
一階へ降りると、すでにマーサが外套を羽織っていた。
その顔は険しい。
「ばあちゃん!」
「起きたかい」
短い返事だった。
外からは慌ただしい足音が聞こえる。
人々の叫び声。
馬のいななき。
何かが起きている。
間違いなく。
「何があったの?」
マーサは窓の外へ目を向ける。
「……魔物だろうねぇ」
ジオの背筋が冷える。
ーー魔物。
ラディス周辺では珍しくない。
けれど街へ侵入されることは滅多にない。
結界石があるからだ。
北門にも。
南門にも。
街の各所にも。
だからこそ、今夜は異常だった。
その時、外から怒鳴り声が響く。
「北門だ!」
「北門へ応援回せ!」
「結界石が弱ってるぞ!」
ジオは息を呑んだ。
北門。
薬屋から近い。
胸の奥がざわつく。
嫌な予感がする。
理由は分からない。
けれど、身体の奥が落ち着かなかった。
バァン!
突然、扉が勢いよく開いた。
「ジオ!!」
聞き慣れた声だった。
「サフィ!?」
息を切らしながら飛び込んできたのはサフィアンだった。
服の上から革の防具を着込んでいる。
腰には青い魔石のついた剣。
戦闘用の装備だった。
どうやら家から直接、馬を飛ばしてきたらしい。
額には汗が滲んでいた。
「無事だったか!」
その第一声に、ジオは少し目を見開く。
街が襲われている。
なのに、サフィアンは真っ先にここへ来たのだ。
「俺は大丈夫」
「良かった……」
サフィアンは本気で安堵した顔をした。
その表情を見てジオの胸が少しだけ温かくなる。
だが次の瞬間サフィアンの顔は真剣なものへ変わった。
「北門で魔物が出てる」
低い声だった。
「数が多い」
ジオの胸の奥がざわつく。
なぜだろう。
魔物という言葉を聞いた瞬間。
頭の奥が妙に熱くなった。
「俺も行く」
思わず言った。
だが
「アホ」
即座に却下された。
「何言ってんだよ」
「でも……」
「ジオはここにいとけ」
珍しく強い口調だった。
「俺が行ってくる」
「サフィ!」
「大丈夫だ」
そう言って笑う。
昔から変わらない笑顔。
けれど、どこか無理をしているようにも見えた。
「すぐ戻る」
ジオは言い返せなかった。
サフィアンは強い。
街でも有数の実力者だ。
だから大丈夫。
そう思わなければならない。
なのに、胸の奥がひどく苦しかった。
まるで何かが警告しているみたいに。
サフィアンは外へ飛び出していった。
扉が閉まる。
静寂。
いや、静寂ではない。
外からは悲鳴が聞こえる。
怒号も。
魔物の咆哮も。
全部聞こえる。
ジオは拳を握った。
胸が苦しい、呼吸が浅い。
何かがおかしい。
瘴気が濃い、濃すぎる。
「……っ」
頭が痛い。
黒い霧のようなものが街中へ広がっていく感覚。
見えているわけではない。
けれど分かる。
そこにある。
怒り。
恐怖。
悲しみ。
負の感情が胸へ流れ込んでくる。
まるで、自分へ集まってくるみたいに。
「ジオ」
マーサが静かに呼ぶ。
振り返る。
マーサは何かを決意したような顔をしていた。
そして、ジオの胸元にある御守りへ視線を落とす。
「……絶対に外へ出るんじゃないよ」
その声は、今まで聞いたことがないほど真剣だった。
ジオは頷けなかった。
なぜなら、もう気付いてしまったからだ。
胸の奥のざわめきが、ただの恐怖ではないことに。
それは、もっと別の感情だった。
嫌な予感。
焦り。
そして、サフィアンが危ない。
理由は分からない。
けれど、その考えだけが頭から離れなかった。
コメント
1件
警鐘のシーン、夜中に急に鳴り響く感じがすごくリアルで一気に引き込まれた…! サフィが真っ先にジオの無事を確認しに来た「無事だったか!」に胸がギュッてなったよ、もう優しすぎて泣ける😭 でもその後の「アホ」で笑顔見せるところもツンデレすぎる…! そしてジオの「胸のざわめき」が恐怖じゃなくて「サフィアンが危ない」って直感に変わっていく終盤、次の話が待ちきれないよ…! マーサの最後のセリフ、重すぎた…🥺