TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


___ごめんなさい…私にはもう、無理です。


___これ以上あの子たちを殺すなんて、私にはできません!



何言ってるんですか!早く続けてください!______















貴方は、無限地獄、味わったことある?

逃げられない恐怖に支配され続けたことは?

何もか、得たものも失って、残ったのは孤独、絶望。

あの人も、私も、全部なくなった。














「今日は下級構成員の数人が裏切りを企んでいるようだね。」


『…そうですか。』


「首、にしてきてくれるかい?」


『分かりました。』


私は殺し屋、二つ名は百人殺しの夜叉。

小さいころからこの”エヴァーガーデン”と言う犯罪組織で殺しをしている。

完全実力主義の裏世界だったけど、私には才能があったから生き残ることができている。

下級構成員、私の部下にもいる人たち。

一般人に訓練をして、銃を持たせた程度の肉壁、ってボスが言ってた。

”普通の人”なら此処で可哀そう、とか非人道的だ!なんて言うと思うけど、裏社会じゃそう言ってる方がおかしい。

私は闇にしか憩えない花。

光を求めれば焼き切れる。

望むだけ無駄なんて、小さいころからわかってる。

だから、今日も_______


「ヒ、ヒィッ!や、辞めてください幹部様!」


『……。』


下級構成員の命乞いを無視して喉元を掻き切る。

仲間も敵の死体も毎日見てる。もう慣れた。

短剣についた血をふき取りながら首から下を如何しようと考えていた。


「任務は順調かね?」


聞きなれない声の方を振り返ると、白髪交じりの初老の男性が立っている。


『!最高幹部様、お気遣いありがとうございます。』


「いや、君も14歳で幹部にしては良く頑張っているよ。」


『ありがとうございます。』


最高幹部、それは組織の中で一番ボスに近い存在。そして、組織で最も強い構成員の証である。

私の階級は幹部。五大幹部という5人の幹部のうちの一人。

五大幹部の中で一番の古株はミツキ。日本刀で戦う女性。高圧的で、私はあんまり好きじゃない。

二人目はリサ。薙刀を使うミツキより少し若い人。気さくだけど、何処かおかしくて、構成員からも恐れられている。

三人目はあったことないし、も名前も知らない。

四人目は現在行方不明で、組織から抜けた扱いになっているから、実質四大幹部。

私はさっき殺した構成員の首を袋に入れ首領室に向かった。



__首領室


息を小さく吸い、首領室の扉を軽くノックした。


『ボス、失礼します。』


「おや、サユキくん。任務は如何だい?」


『はい、御命令通り、持ってきました。』


「有難う。」


ボスは殺した人の生首をコレクションする趣味がある。

首領室の中には今まで殺した人たちの中で綺麗な状態なものを飾っている。

だけど、首領室は腐敗臭どころか、コーヒーの匂いさえしない。

私は初めて入った時、不思議な空間だと感じた。



__昼時


「サユキくん。依頼が来た。お願いしても良いかな?」


『分かりました。』


いつものように単調な返事をする。お願い、とは言っているけど、拒否権なんてない。

殺せなくなったら不良品。黙って言う事を聞いていないと殺される。切り捨てられる。

今までそうなった構成員たちを何人も見てきた。

でも、私はそんな莫迦な事はしない。ただ忠実に組織の駒として生きている。

ボスに捧げるのなら命だって惜しくないと思っていた。



__地下倉庫


『……君、上の情報をはいて。』


「……断る。」


ボスに言い渡された任務は目の前の人を殺す事。敵組織からのスパイだった。

こんな組織に潜入させられるなんて、少し可哀そうに思わないこともなかった。


「……お前は…お前は、人を殺す事をなんとも思ってねぇのか?」


夜になって傷だらけの男が聞いてきた。何とも思ってなきゃ此処にいない。

思ってないきゃ、生きてない。

だけど、


『……分からない。』


私の口から出た言葉は思っていたことと違った。

私は昔からだった。自分を生んだ女も、種をまいた男も、何がしたいかも、全部分からなかった。

ただ、命令されたとおりに動いている時は自分が何をしなきゃいけないのか分かってた。

自分を理解出来る瞬間がある、ただその理由だけで動いていた。

その中で生まれたものなんて、本当かどうか分からない。最高幹部様への畏怖。ボスへの忠誠心。

それすらも、私のものなのか分からない。


「…お前には、帰りを待ってる大切な人がいねぇのか…..?」


『帰りを待つ、大切な、人………分からない。』


また、分からない。大切っていう事が分からない。

一つ、唯一つ分かるのは。私にも大切な人が”居た”と言う事。名前も知らない人だったけど、大切な人だった。

今、何処に居るかさえも分からない。


「お前は….唯の殺戮マシンだ。血も涙もない、ただただ無表情で人を殺す。….お前はそれでいいのかよ。」

loading

この作品はいかがでしたか?

33

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚