その巻が完成した場合は、題名の横に「改」をつけます。
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「アリさーん、どこですかー?」
「誘拐された人〜、どこにいますか〜?」
いやフォティ、、誘拐された人じゃあわかりにくいって。
カフェで俺たちは休憩した後、再び誘拐されたアリさんの捜索を開始した。
「あ、あそこにいるのは、誰じゃぁ?」
「普通の人。」
フォティは歩きながら寒いギャグを連発し、セグラル自然渓谷村に寒波を生み出していた。
そんな極寒といっても過言ではないセグラル自然渓谷村を隅から隅まで2人探しまくること3時間が経過。
いくら探してもアリさんらしき人物が見つからない。
もしかしたら、もう殺されてしまっているのではないか…。そんな最悪な結果も頭の中によぎってしまった。
そこからまた探すこと一時間。
「リード…、そろそろ集合場所に戻らない?」
何時間もぶっ通しで探し続けていた疲れが来たのか、フォティはいつもの元気が少しもなかった。
「うん、そうだな…。」
流石に俺も疲れた。辺りも段々と暗くなり、遠くがもう見えない状況だったため、もう今日は探すのをやめよう、と思った。
だるい体を無理やり動かして、集合場所と決めていたセグラル自然渓谷村に無数にある風車の一つのところに行くと、まだ誰もいなかった。
「もう少し探してみるか…」
「そうだね…頑張ろう。」
俺たちはそのまま、また探しに行こうとしたその時…
「おい、フォティ、リード!」
と叫びながら向こうの通りから走ってきたのは、リグだった。
「セグラル自然渓谷村の筆頭魔術師に今さっきホテアデスが相談しに行って、魔法除け魔法を解除してくれたらしいぞ!これで魔法が使える!」
俺達も初めて知ったのだが、リイナとフェレールの組はずっと、セグラル自然渓谷村の筆頭魔術師に、魔法除け魔法を解除してくれるよう説得していたらしい。
「いそいでリイナ達に合流するぞ!」
そう言ってリグは俺たちを引き連れてリイナたちのところへ走り出した。
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「おーい、リイナ!リードとフォティを見つけたぞ!」
「もうほかのみんなは揃ってるから、すぐに探査魔法を使うね。」
リイナはそう言うと、すぐに探査魔法を使用したらしい。リイナの目の前に鉄製の鎌が出てきて、西にクイックイッと動き出した。
「あっちにいるようね。リグは急いで他のメンバーを呼んで。リードとフォティは私と一緒に来て。リグも人の居場所がわかる魔法は使えるから、私達の場所はわかるはず。」
そう言ってリイナと俺とフォティは鉄製の鎌の向く方向に走り出した。
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「ここに、誘拐されたアリさんが監禁されている…?」
リグたちも合流して鉄製の鎌が示す場所に向かうとそこはあは、俺たちが泊まっていた宿〈旅荘 蒼虎帝宿〉だった。
「まさか、この宿に監禁されていたなんて…完全に盲点だった…。」
「冷静に考えると、この宿しかあんな短時間で監禁できる場所ってないわよね。」
ほんと、完全に盲点で唯一捜索してしなかった誘拐現場〈旅荘 蒼虎帝宿〉にいるとは思いもしなかった。
もしこの前にすでに監禁場所がわかってた人がいたなら、その人を心から尊敬する自身がある。
ガチャッ、ギィィィィ…
宿の両開きの黒樫の扉を開けると、突然鉄製の鎌の動きがおかしくなった。
あっちを指したと思いきやこっちに向いて、あちこちを向くようになってしまった。
「まだ、ここには魔法除け魔法がかかってるみたい。それも、探索魔法専用の、超強力な魔法を。」
「え、でも探索魔法を抑える魔法除け魔法は、一応存在はするけれど効果はない、という話じゃないのか?」
「ええ。探索魔法は魔法の力で制御はできないはずだった。そもそも、その制御魔法の使い手の魔力が足りなかったわけだけど」
「ということは、ものすごい魔力の使い手がアリさんを誘拐した…?」
「いえ、それも考えられないの。魔力の多さを確認する魔法は、定期的に全世界の人に使用され、魔力量を確認される。でも、未だに探索制御魔法の効果を発揮できるほどの魔力を持っている人は存在しないはず…。」
「え…、と、いうことは…」
「リグとセサはわかったみたいね。探索制御魔法を使える人がいないのならば、探索魔法が使用できない理由は唯一、探索する人の命が消えた場合のみなのよ…。」
「じゃあ、もうアリさんは…?」
「その可能性も視野に入れたほうがいいわ。それに、私達がこの〈旅荘 蒼虎帝宿〉に入った瞬間に探索魔法の挙動がおかしくなったということは、つい今殺されたということ。ということは犯人がこの宿の中にいる…。」
え、嘘だろ…。リイナたちの会話を聞いたフォティと俺は膝から崩れ落ちた。
結局、助けられなかったのか?俺たち〈紅蓮の鳳凰鳥〉という存在がいながら…?俺は全力でアリさんのことを探したのか…?
そんな後悔する気持ちが俺の胸の中で渦巻く。
だが、もう助けられなかった。なら、仇を討つ、それか埋葬くらいはしないと師匠に合わせる顔がない。
ゆっくりと俺は立ち上がり、崩れ落ちたままのフォティの手を掴んで助け起こした。
そして、俺たちは犯人に警戒しながら宿の中を捜索し始めた。
ただ、この時俺たちは、気づいていなかった。犯人に、俺たち全員が会ったことがある、ということを。
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