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「準二級ぐらいの過呪怨霊か…しかも私に取り憑いているね。」
過呪怨霊は個人に取り憑く呪霊だ。取り憑いた人物に危害が及んだりなどすると顕現する。
「呪霊と人間の混血呪物はつまらなかったし、この肉体もいらないかな。」
羂索は寺から出て、墓地の中を歩く。
「君が元々住んでいた場所には、他にも人がいるかい?」
「まあ、少ないけどいますね。案内しましょうか?」
「ああ。」
私が山の方に向かってまだ少し慣れない身体で歩き、羂索がそれに付いて行く。
「私を祓わないんですね。」
「君が生きていても何にもならないからね。」
低い山を越えて、三軒程の日本家屋が見えた。
「ここに何人かいるはずです。」
羂索はその内の一つの格子門戸をノックする。
中から足音が聞こえて中年女性が出てきた。
「何かご用でしょうか?……っ!!」
中年女性の首を羂索が絞める。
すぐにその女性は動かなくなり屍と化した。
「この過呪怨霊が取り憑いているのはあくまで私の肉体。私が加茂憲倫ではないことは、知っていないからね。」
独り言を呟いた羂索は、頭蓋を開け死体に自身の脳を入れ替える。
「君、私自身に取り憑いているじゃん。キッショ。」
「脳味噌に歯が付いてる…死体が動いた!?」
私は本来だったら羂索の術式を知らないはずなため、驚くふりをした。
「簡単に言うと死体を乗っ取れる術式を持っているからね。改めて…私の本当の名前は羂索さ。」
数日後
私と羂索はとある洞窟の中にいた。
この洞窟には珍しい呪具があるという噂があるのだ。
それを探しに羂索はさらに奥へ、私は洞窟の中でも比較的広い場所で呪力の鍛錬をしている。
術式が無くてもできて簡単なものといえば帳だ。
(渋谷事変で五条が花御を祓ったときみたいに、帳と壁で圧死させるとかできるかな〜)
「闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え…だっけ?」
自分を中心に半径2m程度の帳が下ろされた。
「こういう感じか〜」
しばらく眺めていると、外部から帳が破壊された。
槍と鎌を合わせたような見た目の呪具を持った羂索が洞窟の奥から戻ってきたのだ。