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外伝『ザッド』
第2話「失ったもの」
マフィアに入って二年。
ザッドはボスの命令をこなし続けていた。
その理由はただ一つ。
家族を守るため。
ボスは約束通り金を渡し、家族も平穏に暮らしているように見えた。
ザッドは、それだけを支えに生きていた。
⸻
ある日。
仕事を終えて家へ戻る。
だが、いつも聞こえるはずの笑い声はなかった。
扉を開ける。
そこには、家族が倒れていた。
誰かに殺されていた。
「……。」
ザッドは膝をつく。
涙も出なかった。
犯人は分からない。
警察も手掛かりはないと言う。
だが、ザッドは知らなかった。
黒幕はボスだった。
ボスは心の中で笑う。
「家族を失えば、あいつはもう戻れない。」
「行き場をなくした人間は、俺だけを頼る。」
その思惑は当たった。
ザッドは家族を失った日から変わった。
以前は、人を殺さないよう手加減し、気絶で済ませることもあった。
だが、その日を境に迷いは消えた。
「……もう、どうでもいい。」
命を奪うことに躊躇はなくなった。
ボスへの忠誠だけが、ザッドを動かす理由となる。
こうしてザッドは、かつての優しい男ではなく、
マフィア幹部・ザッドへと堕ちていくのだった
コメント
1件
うわ、この展開……家族を失った瞬間のザッドの静かな絶望が胸に刺さりました。涙も出ないって描写、逆に重い。それに、黒幕がボスだったっていう構造、ゾッとしますね。「行き場をなくした人間は俺だけを頼る」って台詞、冷酷だけど説得力がある。迷いが消えて「どうでもいい」に至る心理変化が丁寧で、外伝ならではの深掘りだなと感じました。続きが気になります。