テラーノベル
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「あ〜〜〜!暇だぁぁぁ!!」
楽屋のソファで、佐久間大介がバタバタと足を動かして叫んだ。
今日の空き時間は、深澤と佐久間の二人きり。
いつもならここに向井康二がいて、即興コントが始まるところだが、今日は別の仕事でいない。
「ふっかぁ!構ってぇ!康二いなくて寂しいじゃんか〜!」
「はいはい。お前は本当に元気だな」
深澤辰哉はスマホから目を離さず、寝転がったまま適当に相槌を打つ。
その「塩対応」に、佐久間のスイッチが入った。
「むぅ……!ドラマ班リーダーとして、その態度は許さん!」
佐久間は助走をつけると、寝ている深澤のお腹の上にダイブした。
「ぐぇっ!!」
「確保ー!ふっかが遊んでくれないとイタズラしちゃうぞ!」
佐久間が深澤の上に乗っかり、至近距離でニシシと笑う。
いつもの「バラエティノリ」だ。
深澤ならここで「重いって!」「どけよ!」とツッコミを入れて、わちゃわちゃとしたプロレスが始まる──はずだった。
しかし。
深澤はスマホをサイドテーブルに置くと、怒るどころか、自分の上に乗っている佐久間の腰に、ゆっくりと手を回した。
「……ん?」
「……お前さぁ」
深澤が、とろんとした優しい瞳で佐久間を見上げる。
「康二がいないと、すぐ俺のとこ来るよな」
「えっ?そ、そりゃだって、ふっかしかいないし……」
「嘘つけ。……本当は俺に甘えたいだけでしょ?」
図星を突かれたのか、それとも深澤の雰囲気がいつもと違うからか、佐久間の動きが止まる。
深澤の手が、佐久間の背中を優しく撫で下ろす。
その手つきは、バラエティのそれではなく、完全に「年上の余裕」を持った男のものだった。
「……ふ、ふっか?なんか今日、キャラ違くない?」
「そう?康二がいないから、ツッコミ役休んでるだけ」
深澤はふっと笑うと、佐久間の後頭部を引き寄せ、自分のおでことコツンと合わせた。
「……騒がしい佐久間も好きだけどさ。……二人きりの時は、静かにイチャイチャすんのも良くない?」
「……っ///」
至近距離で見せつけられる、深澤辰哉のリア恋力。
佐久間の顔が一気に赤くなる。
「ドラマ班」として面白い返しをしなきゃいけないのに、心臓がうるさすぎて言葉が出てこない。
「……なに、照れてんの?」
「て、照れてないし!ふっかが急にイケメンぶるから……!」
「ぶってるんじゃなくて、元々イケメンなの。……ほら」
深澤は佐久間を抱き寄せたまま、ゴロンと体勢を入れ替えた。
今度は深澤が上、佐久間が下だ。
ふかふかのソファに沈み込む佐久間を、深澤が覆い隠す。
「……ちょ、ふっか!?」
「康二が帰ってくるまで、このまま昼寝な」
「ええっ!?」
「佐久間は抱き枕として優秀だから。……あったかいし、いい匂いするし」
深澤は佐久間の首筋に顔を埋めると、満足そうに深呼吸した。
逃げられない。
でも、その重みと体温が心地よくて、佐久間も抵抗する気を失ってしまう。
「……もう、ふっかのバーカ……」
「はいはい、愛してるよ」
軽くあしらっているようで、その腕の力は絶対に離さない強さ。
康二がいなくて寂しかったはずの時間は、いつの間にか深澤による独占タイムに変わっていた。
今日のドラマ班は「コメディ」ではなく、甘々な「ラブストーリー」をお送りすることになりそうだ。
コメント
1件
かっこいいふっかをひさしぶりに摂取できた気がする 続き待ってます
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