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「さっくまく〜ん!」
楽屋の扉を開けるなり、ラウールが一直線に突進してきた。
ターゲットは、ソファの近くで立ってストレッチをしていた佐久間大介だ。
「うおっ! ラウ!?」
ラウールは長い手足を広げると、佐久間の背後から覆いかぶさるようにして抱きついた。
190cmオーバーのラウールと、168cmの佐久間。
ラウールが少し屈めば、佐久間の頭はちょうどラウールの顎の下にすっぽりと収まる位置に来る。
「……はぁ〜、落ち着くぅ」
「ちょ、ラウール!重いって!俺はお前の抱き枕じゃねーぞ!」
「えー、だって佐久間くん、サイズ感がちょうどいいんだもん」
ラウールは佐久間の頭の上に自分の顎を乗せ、グリグリと体重をかけた。
佐久間は「くそっ、上が見えねぇ!」とジタバタするが、ラウールの長い腕に完全にホールドされていて動けない。
「佐久間くん、ちっちゃくて可愛い。持ち歩きたい」
「俺はアクセサリーか!」
「んふふ。……ねぇ、佐久間くん」
ラウールが甘えた声色で呼びかけると、拘束を少し緩め、佐久間の首元に顔を埋めた。
「……充電させて。今日、学校でテストあって疲れたの」
「……あー、お疲れさん」
その一言で、佐久間の態度が「抵抗」から「許容」に変わる。
文句を言いながらも、結局佐久間はラウールに甘いのだ。
佐久間は自分の胸の前で組まれているラウールの大きな手を、ポンポンと優しく叩いた。
「よしよし。頑張ったな、ラウ」
「うん……佐久間くん、いい匂いする」
「おいおい、俺のこと食うなよ?」
佐久間が背伸びをするようにして、背後にいるラウールの頭に手を伸ばし、ワシャワシャと撫でてやる。
身長差がありすぎて大変そうだが、その仕草はまさしく「お兄ちゃん」だ。
「……僕ね、佐久間くんのこと大好きなの」
「おっ、急にデレたな」
「だって、僕がどんなに大きくなっても、佐久間くんは怖がらずに受け止めてくれるでしょ?」
ラウールはそう言うと、佐久間の体をくるりと回転させて向き合わせ、改めて正面から強く抱きしめた。
佐久間の顔が、ラウールの胸板に埋もれる。
「佐久間くんのこのサイズ、僕の心臓の音を聞くためにあると思うんだよね」
「……うまいこと言うなよ、……ドキドキ聞こえるよ?」
「あ、バレた?佐久間くんとくっついてると嬉しくて速くなっちゃう」
無邪気に笑うラウールを見上げて、佐久間もつられてニカッと笑った。
「しょうがねーなー!気が済むまでくっついてていいぞ!」
「やった!じゃあこのままお昼寝する!」
「えっ、俺下敷き!?」
文句を言いつつも、佐久間は嬉しそうだ。
凸と凹のようにサイズが違うからこそ、パズルのようにガチッとハマる二人。
巨大な末っ子にとって、小さな兄の存在は、何よりも大きくて温かい安全基地なのだ。
コメント
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ひさしぶり~ さっくんとらうのでこぼこ感がいいよね~ だからこそのおもしろさもあるし! 続き待ってます!