夢を見ていた。
なんとも奇妙で、後味が悪く、いや、吐き気すらした。そんな夢。
そんな夢だのに、内容がぼんやりとしか思い出せないのは何故だろうか?
…何故だろうか。
憶えている範囲で、書いていこうと思っている。
そこは、とても薄暗く、じめじめしていて、梅雨の時のような、なんとも言えな匂いが漂っていた。もしかしたら、雨でも降っていたのかもしれない。
廊下だったか、それとも庭だったか、憶えていないが、多分、あれは私の家ではない。
何かと無意味に感ぜられて、身震いした。
そこに淡く、うすらと灯りの様なものが見えた。
安心した私は、じっとりとそこへ近づいて行った。
ひとの顔だった。
それは薄ら笑いを浮かべていて、気味が悪く、ひと一人殺した 者の目をしていた。
しかも、体が無い。ほんとうに顔だけ、浮いていた。
私は絶叫した。
怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
必死で逃げた。
あれは、私だ。
いやだ、いやだ。また、罪の意識が私を殺す。
逃げに逃げて、別の屋敷に着いた。
そこには、美しい女がいた。
ただ一人、泣きじゃくっていた。私は思わず、おい、お嬢さん、どうしたのかね、と呼びかけていた。女は、もう駄目なのよ、あの人はもう戻ってこないのよ、あぁでもきっと、あなたが助けてくれるのでしょう、ねぇ、と私に呼びかけていた。
ひと一人殺したのならば、二人も同じだと思いませんか。
そう呼びかけて、女は、私に_____
ここまでしか分からない。
ねぇ、後味が悪いだろう。なんたって結末を迎えられなかったのだから。
妙に頭が冷たいと思えば、枕がぐっしょり濡れていた。
君はどう思う?
ひと一人殺したのならば、二人も同じだと思いませんか。
さぁ、出かけよう。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!