テラーノベル
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この場にいる六人の内、四人が揃って駄目出しをした、確率的には六十六.六六六六(永遠)、つまり過半数の意見を聞いたレイブは頬をパンパンに膨らませて抗議の意思を示しながらも答える。
ここまでロリコン、ショタ、ケモラー疑惑が高まるばかりだった超変態者目前だったレイブが漸(ようや)く心の内を吐露したのである。
聞いてみよう、性的異常者の言い分をっ!
「だってさぁ…… カタボラやエバンガはスリーマンセルの相方、シパイに捨てられちゃったんだろう? それって辛い、ってか普通なら無い事じゃ無いかぁ! 考えてみなよ、俺がギレスラやペトラに言うと思うかい? もういらないからあいつに着いて行けとかって…… 言われたらどう思うか想像してみなよっ! まあ言わないけどさ…… それにぃ………… ラマスはねぇ、えっと、もっと辛いんじゃないかな? 一度考えてみてくれよ、ギレスラ、ペトラ、エバンガ、カタボラ………… ラマスはコレまで一度も誰かに必要とされて来なかったんだよ? いつもいつも漸(ようや)く辿り着いた安息の場所から追放? まあ、言葉はもっと綺麗な感じで濁して来ただろうけど…… 最初の村でもシパイ兄ちゃんの元からも、この学院からも…… いらない……………… そう言われてしまったんだよ? 理不尽じゃないかい? 俺にとってはこんなに可愛らしく愛らしいのにぃっ!」
「えっ! か、可愛い…… そ、そんなぁ」(ポッ)
思わず、そんな感じでラマスが漏らしてしまった呟きを完全に無視したままレイブの言葉は続く。
「だから俺は、彼女等のスリーマンセルと絆を作りたいと思ったんだよ、ギレスラ、ペトラ、俺たちの絆は一過性のその場凌ぎの約束なのか? どうだ?」
『ば、馬鹿を言うな! スリーマンセルは一蓮托生、生きるも死ぬも共にするのが当然だろうがっ!』
『そうよっ! ずっとそうして来たじゃないのっ! レイブお兄ちゃんやギレスラお兄ちゃんが死んじゃう時はアタシ、ペトラだって一緒に逝くわよ! そんなの当たり前じゃないのぉっ!』
激高した様に口々に言う自らのスリーマンセルにレイブは言う。
「だよな、俺だってそうだ、そう思っていたよ…… バストロ師匠、ヴノ、ジグエラ、それにフランチェスカさん、ザンザスさん、ガイランゲルさん…… 深く心の底で結びついているスリーマンセルの姿を見て来たからね………… でも……………… でも、シパイ兄ちゃん、いいやっ、魔術師シパイは、彼等を、捨てた」
捨てたって…… そんな言い方しちゃったら、対象である捨てられた面々は傷付いちゃうんじゃないの?
案の定、ラマス、エバンガ、カタボラの三者は顔を下に向けて小刻みに震え始めてしまっているよ。
彼等に素早く視線を移したギレスラがレイブを嗜める声を上げた、流石だ、頑張れっ!
『レイブよ…… デリカシーって知っているよな? 確かに一方から見れば彼らは捨てられてしまった、そう見えるだろう…… だが、兄と呼んではいてもレイブ自身、別れてから九年が過ぎたシパイの本心を正確に読み解く事は出来ないのではないか? 彼等もお前も捨てられてしまった、シパイが捨てたと断じる、それは判る、それはそうであろう…… だがな、若(も)しかしたらシパイにとっては旅立たせた、その理由が別にあるかも知れ無いだろう? 例えて言えば、今居る場所より更に成長出来得る所へと涙を飲んで送り出した! そんな事だってあるかも知れないんじゃないか? もしそうだったとしたらこれは捨てた、のではなく、彼等の未来を拾い上げる為の選択だったのかもしれないだろう? どうだ? 兎に角、デリカシーなデリカシー、もう大人なのだから、な?』
ペトラも割りと辛辣である。
『そうだよレイブお兄ちゃんっ! 捨てたってぇっ! んな訳無いじゃないのよ! 彼女達が来てくれてアタシ達は嬉しかったじゃないっ! 事実、今日楽しかったでしょう? アタシからしたら何よりの贈り物だったわよ? それとも何なの? シパイさんが捨てた、そんな事を言うってことはレイブお兄ちゃんからしたら彼女たちは嫌々押し付けられたゴミ、って事なの? 覚悟して答えて頂戴っ! そう思っている訳? 違うでしょっ! もしそうならペトラ幻滅、がっかりしちゃうわよ? どうなの、レイブお兄ちゃんっ!』
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