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静かな部屋。
白い天井。
カーテンが揺れている。
「……ん」
陽葵がゆっくり目を開ける。
「ここ……」
体が少し重い。
その時。
「起きたか」
横から声。
黒崎理事長。
その後ろに蓮と凛もいる。
「陽葵!」
蓮が近づく。
凛もほっとした表情。
「よかった」
陽葵がゆっくり起き上がる。
「私……」
思い出す。
炎。
氷。
暴走。
「試合……!」
蓮が言う。
「中断」
凛も言う。
「気にしないで」
陽葵は少しうつむく。
「ごめんなさい……」
黒崎が静かに言う。
「謝る必要はない」
「だが」
少し間を置く。
「話す時が来たようだ」
蓮と凛が黒崎を見る。
「話?」
黒崎は椅子に座る。
静かに言う。
「この世界には」
「能力者の歴史がある」
陽葵は真剣に聞いている。
「数百年前」
「ある能力者がいた」
黒崎の目が少し鋭くなる。
「その人物は」
指を三本立てる。
「火」
「氷」
「再生」
陽葵が小さく息をのむ。
「三属性……」
黒崎は頷く。
「その人物は」
「始祖能力者と呼ばれた」
蓮が驚く。
「伝説の?」
凛も言う。
「歴史の教科書に出てくる」
黒崎は静かに続ける。
「その血は完全には消えていない」
「ごくわずかに」
「受け継がれている」
そして。
陽葵を見る。
「朝比奈陽葵」
「君は」
「その血筋の可能性が高い」
部屋が静かになる。
陽葵が小さく言う。
「……私が?」
黒崎が頷く。
「だから三属性」
蓮が小さくつぶやく。
「だから推薦したのか」
黒崎は否定しない。
「その通りだ」
陽葵は少し考える。
そして。
「でも」
「私普通の中学生でしたよ?」
凛が少し笑う。
「今は違う」
その時。
黒崎の表情が変わる。
窓の外を見る。
「……来たか」
学園の外。
森の中。
黒いフードの人物が立っている。
「確認完了」
低い声。
通信機が光る。
「三属性保持者」
「朝比奈陽葵」
一瞬の沈黙。
通信の向こうから声。
「確定か」
「はい」
フードの人物は静かに言う。
「始祖の血」
その声が言う。
「確保しろ」
「必要なら――」
少しの間。
「排除してもいい」
フードの人物が答える。
「了解」
視線は学園へ。
「ターゲット」
「朝比奈陽葵」
そして同じ頃。
蒼真は屋上で空を見ていた。
「なんか」
小さく笑う。
「面白くなってきた」