TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

愛しのフェイクディスタンス

一覧ページ

「愛しのフェイクディスタンス」のメインビジュアル

愛しのフェイクディスタンス

70 - 第70話*動き出す恋*9

♥

30

2025年06月15日

シェアするシェアする
報告する




***




「優奈!?」


帰宅すると、出張に行ったはずの雅人の姿があった。


「あれ、まーくん……なんでいるの? 出張だって」

「あ、ああ。いや、先方の都合で延期になったんだ。仕事には出る予定なんだが、荷物を取りに戻ってた」


だったら教えてくれたなら、今日は行かなかったのに。

そう言葉にしそうになって飲み込んだ。

週末を挟んでの出張だったので優奈の仕事に影響はないし、プライベートならばそれこそ詮索する権利はない。


「お前は、早いな。今日は奥村と出掛けたんじゃなかったのか」

「……なんで知ってるの?」


不審に思う感情が漏れ出ていたのか、雅人はバツが悪そうに優奈から視線を逸らす。


「……奥村は、いい男だろう」

「え? 何突然」

「優奈には、非の打ち所がない男の元に行ってもらいたかったし。あいつなら俺も安心できる」


優奈は雅人の言葉に愕然とした後。そうか、と唇を噛んだ。

握りしめた拳。手のひらに爪が食い込んでいく。


「やたら高遠さんって名前出すと思ったんだ」

「何がだ?」

「私、奥村さんに好きって言われた」


雅人の肩が揺れて、両目を大袈裟に見開いたかと思えば。それはすぐに細められ、眉を顰めた。

しかし何か言いたげな口は、すぐに真っ直ぐに閉じられ小さく息を吐く。


「おかしいんだもん、私を好きとか。まーくんが、言わせたの? 私がいつまでも居座るから? しつこいから? そんなの奥村さんに失礼だよ」


……悲しみよりも、虚しさ。

そして、怒りよりも悔しさ。


「そんなことをさせるわけがないだろう、お前らしくないことを言うな、優奈」

「私は、まーくんが好きなんだよ」


優奈が一歩近づくと、案の定、雅人はその一歩分遠ざかる。


「知ってるよね?」

「……ああ、知ってるよ。ありがとう」


大きな手が包み込むように頭を撫でる。


けれど、雅人の暖かさが、今日は悲しい。

ありがとうだなんて言いながら、他の男の元に行けと。


残酷だ。

愛しのフェイクディスタンス

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

30

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚