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#異世界ファンタジー
チョコリコ🍫🌈fw様企画
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#りゅなコンテスト
♕⚘𝓪𝓃ℴ⚘♕
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「優羽ー!ごはんできたわよー」
「はーい」
机の上のタイマーを止めて、参考書を閉じる。時計を見ると、針は午後七時を指していた。
椅子を後ろに引く。
ぐっと体を伸ばして、息を吐いた。
僕の名前は、櫻井優羽。ごく普通の高校に通う、ごく普通の男子高校生だ。
部屋を出て階段を降りると、リビングから良い匂いが漂って来た。
「母さん……もしかして、シチュー?」
「そ!お母さん特製シチューよ」
「いい匂い……!」
キッチンへ向かい、母の横から鍋を覗き込む。湯気がふわりと立ち上り、食欲をそそられる。
「ただいまー」
玄関から大きな声が聞こえて来た。
「おかえり、父さん!」
「おかえりー!ちょうどご飯よ」
小走りで近づいてくる足音。父さんがキッチンに入ってきて、僕と母の頭がわしゃわしゃされた。
「3人で食べれるなんて久しぶりじゃないか?」
「そうね。ほんと、残業ばかりしてくるんだから」
「いやぁ、新人が手がかかるやつで放っておかなくて……」
「全く……あなたはお人好しすぎるのよ」
ご飯を茶碗によそい、シチューを器に盛りながら二人の会話を聞く。
僕は、自然に笑顔になっていた。
『いただきます』
家族3人で囲む食卓。
温かいシチューと、いつもの会話。
風呂に入って、寝る前にまた少し勉強して。
部屋に入って来た母に「そろそろ寝なさい」と声をかけられた頃、僕は布団に潜り込んだ。
「おやすみ」
カチ、と枕元に開かれたライトの紐を引っ張る。
部屋は、すっかり真っ暗になる。
「ふぅ……」
息を吐く。身体から、ゆっくりと力が抜けていった。
────そう、もしかしたら。この瞬間からなにかが、変わっていたのかもしれない。
僕──櫻井優羽のなにかが。
・・・
「はぁ、はぁ、っ……」
息が切れる。草原を全速力で駆けている。満天の星空。
まるで、夜の中を走っているみたいだな────と思った。
「はぁ、はぁ……っ、あ……ッ!」
足につまずいて、どさりと地面に倒れ込む。
視界が、にじむ。反射的に涙が出て来る。
痛い……いや、怖い?
「なんで……」
冷たい風が吹き付ける。
「なんで……ッ」
だだっ広い、真っ暗な草原に。
「っ、なんで僕が……」
一人きり。
自分の胸ぐらをぎゅ、と掴む。息が苦しい。心臓がうるさい────。
・・・
「……夢、か」
変な夢だったな……妙にリアルで。
そう思いながら、優羽は上体を起こした。
眩しさに目を擦りながらゆっくり周囲を見渡すと、まだ夢うつつでぼやけていた視界が、次第にクリアになってきた。
空を見上げる。光が……眩しい。
「……え?」
もう一度、目を擦る。
……。
天井が……ない?
いや、それだけじゃない。
優羽が座り込んでいるのは、青々と茂った草の上。
お日様の匂い。それから……カモミールやミントを潰したような、少しツンとした薬草の香り。
大きな鳥が飛んでいること以外は、なんの変哲もない……雲ひとつない晴天。
知らない草。知らない匂い。知らない空。
太陽の光がギラギラと照りつけ、優羽を容赦なく照らしつけた。
「……おかしい」
「待って、待って待って待って……」
「えぇぇぇぇぇぇ!?」
「ここ、どこ……!?」
確かに昨日、いつも通り寝て。……起きる筈、だった。
「え、待って……どこ。ほんとに、どこ、なの……?」
その時だった。叫び声のような、唸り声のような……恐ろしい声が、後ろから重なって聞こえたのは。
「グルルルル……」
「ア゛ァァァ……」
恐怖で、足がすくんだ。
「え……?」
草を踏み締める足音が、いくつも聞こえる。
近づいてくる。
背後から、何かが迫っている。
気がついた時には、後ろも振り返らずに走り出していた。
振り返る勇気はなかった。いや──振り返ったら、終わる。
どれくらい走った頃だろう。
後ろから聞こえる恐ろしい声が、突然、悲鳴のような声をあげて途切れた。
「おーい、君!」
声が飛んできた。まるで友人を呼ぶかのような、軽い声だ。
ば、と振り返る。
「……え、?」
優羽が後ろを見ると、地面に広がる、溶けたみたいな黒い残骸が映った。じりじり、と焼け焦げたような音と匂い。
正直、絶対に触れたくない類のもの。
青い、火の玉みたいな……魂みたいなものが、その上に浮いていた。
それから……。
「君……人間?」
「う、わぁぁっ!し、死神……!!」
優羽は、思わず後退りする。
体を覆う黒いローブ、目深に被ったフード。そしてなにより……身長くらいの長さのある、大きな鎌。
死神は、その鎌をひょいと担いでこちらを見た。
「っ、こ、来ないでッ」
殺される────ッ!
しかし……後退りする優羽を見て、死神はけらけらと笑った。
「あっはは!ビビりすぎじゃね?」
「いや、だって、その、鎌……ッ」
「あー、これ?」
そう言いながら、目の前の死神は鎌を前に持ち……ブンッと振った。
「ひッ……!!」
「あははっ!安心しな?俺も生きてるやつを刈ろうなんて思ってないから」
「え、えぇ……、?」
涙目で死神を見上げる。どうやら、優羽が思っているほど悪い死神ではないらしい。
今から魂を刈り取られる──なんてことは、なさそうだ。
「でも、君さ……
なんでこんなに魔力が多いのに、弱い
んだよ」
「え?」
優羽は、きょとんと首を傾げた。
魔力?その存在すら、今初めて知った。魔力が……多い?
「いや、なんでもない」
「それより君、名前は?」
優羽の疑問を気にすることもなく向き直る。
彼は、フードをずらしながら尋ねた。黒髪と、深い紫色の瞳が覗く。
「櫻井、優羽」
「へぇ……優羽。いい名前」
彼は、その言葉を舌の上で転がすように呟く。
「あ、ありがと……」
「……で。君は、人間?どこから来た?地球?」
死神は、青い火の玉……鬼火で遊びながら言った。質問攻めに、優羽が思わず身じろぎする。
「そ、そう、だけど……」
“地球”と言う言葉が出て来て改めて実感する。この死神にとっては、地球が珍しい存在だと言うこと。
ここは、地球ではないどこかだと言うことだ。
「へぇ、珍し」
「……」
くるくると周りを回る鬼火。残骸がすっかり消えた草原に座り、死神がこちらを見上げた。
「……聞いても良い?」
「ん?」
「なんで、助けてくれたの」
「……」
一瞬の沈黙。それから、死神はくすりと笑いながら言った。
「襲われてたし。あと……面白そうだったから?」
けろっとした顔。
見るからに、理由の大半は後者だった。
「……」
「……」
それ以降、沈黙が続いた。
優羽は何か言いたげに口をぱくぱくさせるが、結局、沈黙に押し負けて黙りこくる。
「あのさ……!」
「どうした?」
「君、って……」
優羽が口を開いた、その時だった。
「珍しいお客さんだね、死神」
背後からの声に、優羽が勢いよく振り返る。
対して横の死神は、ゆっくりと振り返った。
「また俺を殺しに来たのか?委員長」
「はは、まさか。君と争うのは御免だよ」
赤い瞳が、こちらを射抜く。その視線の鋭さに、優羽の背筋が凍った。
黒髪、赤色の瞳。すらりとしていて、なにより黒スーツが特徴的な男だった。
口元には微笑を携えていて、どこか胡散臭い雰囲気がある。
「……委員長、?」
「初めまして、だね。迷える子羊さん」
ぞくりとするほど綺麗な笑み。どこか非現実じみた、作り物のような笑みだった。
「君は……少し、調べる必要がありそうだな」
「……は、?」
その言葉を飲み込むのに、数秒かかった。
冷や汗が滲む。
そんな優羽の様子を見た死神が、立ち上がる。優羽の半歩前に出て、軽く笑った。
「お前さ。いきなり出てきて『調べる』って……迷える子羊に言うセリフ?」
「……」
委員長と呼ばれたその男は、口元に手を当てたまま沈黙した。
それから、少し目を細めて微笑む。
「名乗るのが遅れたね。私は、魔力取締委員会の委員長……夜神玲だ」
「魔力、取締……?」
「また会おう、櫻井優羽」
にこり、と人当たりの良い笑みを浮かべると、くるりと背を向ける。その背中が森の中に消えるまで、優羽は呆然と眺めていた。
「おーい、優羽、大丈夫か?」
呆然としていた優羽の眼前で、手が振られる。
「あ、うん……あの人って、さ。知り合いなの?君と」
「あー……まぁ、知り合いっちゃ知り合い。敵みたいなもんだけどな」
彼は、苦笑しながら頷き「詳しい話はまた後で」と濁した。
それから。
「この世界とか、地球に詳しいやつがいるから、行くか」
「優羽、君危なっかしいからさ……俺が手伝ってやるよ、帰 星」
「……!」
彼は、そう言ってにっと笑った。
そして、歩き出す。
「待っ、え、と……君!」
優羽が、その背中に呼びかける。
「名前!聞いてないなって……!」
「あぁ、名前?」
優羽がこくりと頷くと、彼は「死神」と一言答えた。
「え、? と……そうじゃなくて、固有名詞!」
「固有名詞?」
「死神じゃ、みんなと一緒じゃん。ほら、優羽、みたいな……」
彼は、瞬きをしながら数秒考え込む。
「じゃあ……疫病神?」
「……」
「怪物とか、怨霊とか、厄災……」
「ちょ、ちょっと……まって。もういいよ、!」
「……?」
優羽の顔が曇っていく。そんな言いよう、あんまりだ。
今日、初めて会って……いや、今日、知らない場所で初めて会って。
ものの数分だけの関係。
でも……さっきまで自分を追いかけていた怪物を、倒してくれた。
あの時、優羽の前に出て言った。
ものすごく怖かったけど。死神、だけど。
この人は、助けてくれたから。
「ライラ……いや、ライル」
「え?」
「君の、名前……!守ってくれたから……ライル、とか」
優羽の声が、自信なさげに、だんだんと小さくなる。
伏し目がちに、死神を見上げた。
「……」
沈黙。目の前の死神が、目を何度か瞬かせながらこちらを見た。そして。
「へぇ。ライル、か……いいんじゃない?」
「え、ほんとに?」
「うん」
軽い調子で頷く死神──ライル。優羽に背を向けたかと思うと、肩越しに振り返り、目を細めて笑った。
「ありがとう」
さっきまでの軽い調子と、少し違った改まった雰囲気。
「っ……いや、別に……」
“でも”と優羽が続ける。
「気に入ってくれてよかったぁ……僕、本当に不安で」
その言葉を聞いたライルが、愉快そうに肩を震わせた。
「あぁ、さっきの間が?あっはは!ほんとビビりだな〜、優羽」
「う、うるさいッ」
少し頬を赤らめながら目を逸らす優羽。それを見て、ライルはまた声を出して笑った。
この世界のこと、来た時に追いかけて来たモンスターのこと、青い火の玉のこと、夜神玲のこと……。
聞きたいことは山ほどあった。しかし……目的地までの道中、ライルがそのことを話す様子は一切なかった。
「ここ」
「わぁ……!」
ライルが立ち止まる。その隣で、優羽は目を見張った。
紅い鳥居に、石畳。漆のように黒い瓦、特徴的なカーブした屋根。
地球と……日本と、同じだった。
そして、賽銭箱の前に立った人影が、こちらを振り返った。
「あれ、死神くん!久しぶりだね〜」
「……と、お客さんかな?」
コメント
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うっわぁ好き() 文自体はシンプルなのに引き込まれるというか。思わず誰かの目を惹く文が好きです(?)シンプルな本音としてはファンタジー大好きなんでありがとうございますありがとうございますありがとうございま(言い過ぎ…

最高すぎませんか・・・??優羽さんとライルの掛け合いが最高です!続きもめちゃ気になります!楽しみにしてますっ!
めっちゃ文章書くのが上手いっていうか…!なんというか…!!😳 なんだか引き込まれる物語ですごくなんかもう!!!ね!!! 私語彙力皆無だからすごく尊敬するよ…😭😭