__っは
目が覚めた。少し寝ていたようだ、ここは何処だろうか。霧がかかっていて先程いたような森の中ではなかった
「ここは…」
「楽__瑤楽」
「っ……」
聞き覚えのある声が後ろからした。私は戸惑いながらも後ろを恐る恐る振り返った
そこには、若々しい美明珠がそこにはいた
「眠っていたのか。楽」
「明珠……?明珠なのか…?」
「明珠、悪い、私が悪かった…」
「楽、どうしたんだ。悪い?楽は私に何かした?」
私はただ頷くことしか出来なかった。深く頷いていると明珠は優しく私の頬を撫でた
「私に優しくしないでおくれ…」
__楽!
誰かの声がする。明珠は優しくて抱き寄せられる声。それとは裏腹にトゲのあるような声で、クスクスと常に笑っている声。そんな声、昔の私なら嫌になっていた
” ふざけないで “ と投げ飛ばしていたに違いない
__楽!目を覚ませ!
「明珠、貴方に聞きたいことがあるんだ」
「……なに?」
「 “ ミンジュ ” は、あなた様の生まれ変わりなのですか」
「楽…」
「もういいよ。ゆっくり眠ってくれ明珠
今、物凄く腹が立つ奴だけど愛おしく思える人がいる」
「私は勝手に “ ミンジュ ” をあなた様の生まれ変わりだと信じている」
私はゆっくりと近付き目線を合わせ、明珠に微笑みを溢した。驚いた顔をしている明珠もそれまた愛おしい
「生きる幸せをくれてありがとう。価値をくれてありがとう」
「楽、待ってくれ私は…」
「明珠、私は貴方を愛しています。また…何処かで」
愛する人、明珠に “ 待って ” と言われたら、過去の私は必ず振り返る。貴方のもとへ必ずゆく。それが許されないからこそ私は前を向く。歩み続ける
__楽!
「…………私は」
「あぁぁ良かった~、お前取り憑かれていたんだよ、 」
「瑤楽様に向かって “ お前 ” とはなんと言う口振り!」
「あぁぁんそんな怒んないで!!」
子供みたいに泣く彼。美明珠はこんな真似はしない、もしかしたらこうしたかったのかもしれない。こうやって生きたかったのかもしれない
「ミンジュ」
「ぁ うぅん?」
「ありがとう」
「ぇっ、いや、あ、あはは~、どーいたしまして…?」
「何故戸惑う必要がある」
「否、なんと言うか、」
首の後ろを掻いている彼。私は彼が不思議だ。不思議で、不思議でとても気になるんだ
「御礼言うとか辞めろよ、なぁ、?」
「瑤楽様になんと言う口調を!」
「あぁんん、何でも駄目じゃん!何!どーすればいいのさ!!」
ぎゃんぎゃんと吠えていた。犬でも猫でもこんなに吠えない。五月蝿いと思うのか、いいや…それは違った
「誰が私を部屋に案内したのだ。」
私の傍にいた者にそう話を聞いてみた。その者はすっと手をだし一人の人間へと差した。ミンジュだった
「道を彼に教えたのか」
その者は首を横に振っていた。
「 手馴れたようにここへ…」
別の者が口を開いた。手馴れたように?私はミンジュに道を教えていない。私が私の口で教えたのは…美明珠のみだった
「楽、私にあなたの家を教えてくれないか」
「ぇ……何故に?」
「いつか、必要になるかも知れないだろう。今後のお互いのために家は知っておくべきと思うんだ」
照れ臭そうに下を向いて明珠は応えた。いじいじと足を動かして、手は後ろで組んでいた
「いや、これは言い訳かもしれない。本音は、ただ単に知りたい…駄目かな?」
明珠はへらっと笑った。
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