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「ちょっ、蓮!ダメ!!こんなのダメだって!!」
『なんで?佐久間くん、俺のことはイヤなの?』
「そ、そうじゃない!!でも、これは違うだろ!!」
『・・・佐久間くん、うるさい』
冷たく、据わった目がオレを捉えて離さない
力強く腕を掴まれて、背中には壁
逃げられない
静かに近づいてくる、めめの顔
避けようと思えばできるはずなのに、めめの視線がそれを許してくれなくて
身動きができないまま、オレは唇を受け入れた
*********************************************
ライブが終わった後は反省会も兼ねて、ホテルの一室でメンバー全員での飲み会が始まる
大抵、犠牲になる部屋はふっかだ
反省会が終わった後は、妙なテンションで飲み会に流れる
そうなったらいつものように、オレはメンバーと絡む
翔太は鬱陶しがるし、あべちゃんはツッコミながらもよしよししてくれるし、こーじは同じようなテンションで盛り上がってくれる
照に絡みに行った時、いつものようにスルーしながらもかまってくれる
後ろからハグすると、首に腕を回してきて、そのまま照の前に転がされるように引き倒された
ここまではいつもの通りのノリ
だが、違ったのは引き倒された後、片手で頬を挟まれてキスをされた
照からキスされるなんて、珍しい・・・、ってか、初めてか
「にゃ・・・っ、ん、照っ、もう、こんなとこで・・・」
「ふっ、いいじゃん、・・・今更」
ニヤニヤ笑いながら、頭を撫でてくる
ぶっちゃけ、初めてではないし(自分からいくから)、ライブ後のアドレナリンがまだ残ってて、悪ノリしてんなーってしか思ってなかった
その証拠に誰も気に留めずに、飲み会が続いてる
「人の部屋で盛ってんじゃねーよ」
部屋主から呆れた訴えが響く
へへへ〜と、ヘラつきながら照の首に手を回して、膝抱っこの状態で纏わりつく
しばらくしたら、飽きてきたのか照はオレの身体を、ペイッと隣にいるめめのところに押しつけた
「およっ」
「目黒、あとよろしく〜」
『・・・えぇ〜・・・』
めんどくさい人が来た・・・とばかりの態度で、オレの身体を支える
ん?と思ったのは、オレを受け取った時に掴まれた腕に、少し強い握力を感じた
見上げると、めめの表情も少し固い気がしたけど、半分酔ってるせいもあって、あまり気に留めてなかった
*************************************************
飲み会が解散して、各々の部屋に戻る途中だった
オレとめめはみんなと階が違うから、一緒に部屋に戻ることに
目的の階に着いてEVから降りると、めめから声をかけられた
『・・・ねぇ、佐久間くん』
「ん?にゃに??」
『ちょっとさ、悩んでることがあるんだ』
「え、なんだよ、先輩が聞いてやるぞ。このまま、オレの部屋でいいか?」
『・・・うん、ありがと』
カードキーで解錠して、めめを部屋に招き入れた
扉が閉まる音がした直後だった
ドンっと、オレの身体に衝撃が走った
目を開けると、めめに壁ドンをされていた
「えっ・・・!?、な、なに・・・?」
『佐久間くんて、キスされるの好きなの?』
「は!? お、お前、なに言ってんの!?」
『岩本くんとしてたじゃん』
「え、え、え、え、いや、ちょっと、それいつものこと・・・」
『ってことは、好きなんだね、キス』
めめ、なに言ってんだろう?
言ってることがわからない
「えぇと、そりゃ・・・、や、あのさ・・・」
『じゃあ、俺ともできるよね』
「はぁ!? え、お前、そんなんだったか?」
そりゃ、今まで照以外にもあべちゃんとか、康二とかとしたよ
でも所謂、ソフトキスじゃん
マジになってやるやつじゃない!!
ってか、二人っきりでこんな状態って・・・
オレの頭が大混乱を起こしてる
めめの身体をなんとか離そうと押してみるけど、ビクともしない
逆にオレの腕を壁に押さえ込まれて、身動きが取れなくなってしまった
「ちょっ、蓮!ダメ!!こんなのダメだって!!」
『なんで? 佐久間くん、俺のことはイヤなの?』
「そ、そうじゃない!! でも、これは違うだろ!!」
『・・・佐久間くん、うるさい』
*********************************************
「・・・・・・お前、酔ってた?」
『・・・酔ってるように見えた?』
「質問を、質問で返すなよ」
『佐久間くんには酔った奇行に見える方が、都合いいの?』
「なんだよ、それ・・・」
めめとキスをした
最初は唇を合わせるだけだったのが、止まらなくなって
唇をなぞられたり、舌を絡めたり
口だけじゃなくて、頭から顔、首筋まで、めめの唇が這ってくる
どこかで足に力が入らなくなって、壁にもたれるように崩れ落ちたオレを、めめが抱えてベッドに押し倒して
そこからもずっーーーーーと、キス
全く止まってくれないキスに、「もう好きにしてくれ・・・」と、途中で諦めた
そうなると、もうめめのペースに巻き込まれるだけ
次から次に、いろんなパターンでキスされるもんだから、お前の年齢でどんだけ経験してきたんだよ・・・って、思った
ドラマとか、舞台とかでもキスシーンって、いっぱいあるよ
仕事だからしゃーないって、なるし
だからオフの状態でのキスって、めちゃくちゃ大切だと思ってる
好きな人とするキスでも、いっぱい種類があるはずなんだけど
少なくとも舌を入れるようなキス、メンバーとしたことないよ、オレ
めめ、
これって「like」のキス?
それとも「love」のキス??
めめからのキスは、どう考えても相手が恋人じゃないとダメだろって思うものばかりなんだけど、オレがおかしいのかな?
長いキスの時間がようやく治ったら、一気に眠気が飛んできて、二人でそのままオレの部屋で眠りこけてしまった
ほぼ同時に目が覚めて、時間はとっくに真夜中
今日もライブがあるのに、バカなことやってんな・・・
たぶん、こいつは酔ってたんだろ
だから、あんなことをしてきたんじゃないかって思う
目が覚めてから聞いてみたけれど、答えがわからない
悶々とした気持ちのまま、めめの体から抜け出そうとすると、それを許さないように抱きしめられる
「・・・お前さぁ」
『・・・・・・もう少しだけ、このままでいて』
「それ、普通は恋人に言うセリフだぞ」
こんなシチュエーションで俺に使っちゃダメだろ、そのセリフ
『・・・佐久間くんさ、これまで俺とハグはいっぱいしてきたじゃん』
「まぁ・・・そりゃ」
『なのに、なんでキスはしてくれないのかな・・・って、ずっと思ってた』
「え・・・、し、したかったの・・・?」
予想外の言葉に、頭が真っ白になる
めめが、オレとキスしたいって・・・???
『最初はさ、岩本くんとかあべちゃんとか、6人の頃からの絆があるから、そういう感じが普通なんだと思ってたんだけど・・・』
「まぁ・・・ねぇ・・・」
『でも、康二とキスしてるのを見た時、なんだかモヤっとしたんだよね』
「えぇぇ・・・・・・」
『俺と曲の途中で顔を近づけあったり、割と至近距離にいると思ってるんだけど、なんで佐久間くんは俺にキスしてくれないのかなって』
まさか、めめがそんなことを考えてるなんて思わなかった
なんとなくだけど、ジョークでこいつにキスしちゃダメだな・・・っていうオーラを感じてたから
真面目な彼のことだから、軽いノリでするのは本気で嫌がるだろうと思ってたから
(してきたメンバーも嫌がってる奴はいるかもしれんが・・・)
ラウールにもキスはできないけど、また理由が違う
『冗談でもさ、キスできたらいいなって思ってた』
「・・・・・・・・・へ?」
『・・・ここまで言わせといて、そろそろ気づいて欲しいんだけど』
ため息をついて、オレを強く抱きしめてくる
『・・・佐久間くんが、好きなんだよ』
え・・・?
そんなことある?
『ガチだとこういうのはダメだと思うから、高望みはしないけど。でも佐久間くんからのキスが欲しい、1回だけでもいいから』
「めめ・・・」
ガチでこういうのって・・・アレだよね
「付き合う」ってことだよな
めめがオレを、好き・・・?
「な、なんでオレを・・・?」
『いろんなところで佐久間くんの背中を見てたらさ、追いかけたくなったんだよ』
「背中・・・?」
『そうしてるうちに気づいたら、好きになってた』
「ふぇ・・・・・・」
理由がよくわからないけど・・・
めめから「好き」という言葉をもらうと、なんだか嬉しいような恥ずかしいような
どう答えたらいいのかわからなくて、めめの胸に顔を埋めた
『佐久間くん?』
「・・・・・・ちょっと待って」
『う、うん・・・?』
めめの心臓の鼓動が伝わってくる
もしかしたら、オレの心臓の音も伝わってるのかもしれない
何かよくわからないけど、ドキドキしてる
「・・・めめ」
『うん・・・』
「目、瞑れ」
『・・・・・・』
「・・・キス、してやるから」
オレを抱きしめていた手を緩めて、めめは静かに目を閉じた
いつも一緒にいるから特段、気にかけてこなかったけど、整ってる顔だよなぁ・・・
国宝級って言われるだけあるわ
そんな顔に手を添えて、唇を近づけてみた
・・・けど、できない
「・・・やっぱ、できない」
『・・・・・・そっか』
寂しそうな目で、こっちを見てくる
「・・・“冗談”じゃできねーよ、・・・お前には」
『・・・・・・?』
「だから・・・、めめとのキスは、どんなやつでも“冗談”じゃできないんだよ」
『・・・・・・それってさ、“本気”ならできるってこと?』
「・・・・・・・・・わかんない」
ワケわかんなくなった
イヤじゃなかったんだ、めめからのキスが
告白で、あのキスが本気だったってのがわかったけど、それを知らなくてもイヤじゃなかった(最初は、焦ったけど・・・)
本気だったってことを知ったら、ますます軽いノリなんかでキスできない
めめとのキスは強引だったけど、唇が離れた後、ちょっとだけ寂しさも感じてた
初めてだったのに、めめとキスをするのが当たり前みたいになってる
だから軽いキスじゃ、物足りなくなりそうで怖い
ん?
あれ?
それって、オレもめめが好きってこと・・・?
もし、めめが他の人とキスしてる姿を想像したら・・・
なんかモヤモヤする・・・
心の中がぐちゃぐちゃになってきて、なんだか苦しくなってきた
自分の気持ちがわかんないのに、こんな状態じゃ、なんて答えていいのかわかんない
ぐるぐる考えてると、過呼吸のようになってきて、息がうまく吸えなくなってきた
『さ、佐久間くん!? 大丈夫?』
「・・・っはっ、・・・かはっ・・・」
『落ち着いて! ・・・ちょっと、ごめん!!』
ぐいっと顔を持ち上げられて、めめの唇で口を塞がれた
舌を入れたりとかじゃなくて、これ以上、息を吸うことを防ぐために強く押しつけられる
「ん・・・ぐっ・・・・・・ぅ・・・」
口の端から唾液を零しながらも、めめが唇を離さない
徐々に苦しかった胸が、落ち着いてくる
それを確認して、唇がゆっくり離れていった
「っ、はぁっ・・・、はぁ・・・」
『・・・・・・もう、大丈夫?』
口から零れた唾液を拭いながら、首を縦に振る
『・・・・・・ごめんね、困らせちゃって』
「え?」
『忘れてよ、俺が佐久間くんが好きだってこと』
「な・・・・・・っ」
『キスが欲しいっていうのも忘れて』
そう言って、めめがベッドから立ち上がる
寂しそうな背中が、オレから離れていきそうでまた苦しくなる
今、止めないと
もう、めめがオレからずっと離れていきそうで
「待って・・・・・・っ!!」
『・・・っ!?』
めめの後ろから、抱き止めるようにしがみついた
『・・・・・・なんで』
「え?」
『そんな引き止められ方されると、期待しちゃうでしょ』
「・・・・・・えっ・・・と・・・」
『振ってくれた方が、すっぱり諦められるのに・・・』
めめは抱き止めたオレの腕を握って、悲しげに俯いた
オレの中途半端な気持ちが、めめを悲しませてる
「・・・・・・“本気”でしようよ、キス」
『え・・・』
「めめからのキス、イヤじゃなかった」
『・・・・・・』
「あのキス、“本気”だったんだろ?」
『・・・・・・そうだよ』
「だから、オレから“本気”のキスができるまで、待ってよ」
真剣な気持ちに、いい加減なことなんて言えない
でも、めめの近くにはいたい
オレ、今すっごい、ワガママだと思う
ってか、こんな都合のいい話、受け入れられないだろ
呆れてんだろうな・・・
『・・・・・・待ってる』
「え・・・、い、いいの・・・?」
『いや、待っててって言ったじゃん』
「う、うん・・・まぁ・・・」
『・・・それって、期待していいってことなんでしょ』
「そ、そうなる・・・よな・・・?」
腕を掴んだまま、オレの方にくるりと向き直って、抱きしめられた
身長差があるから、めめの体にすっぽりおさまるような形になって、めめの鼓動が直に頭に響いてくる
告白された時に聞いた鼓動よりも、なんだかすごく心地よくて、ずっと聴いていたい
『・・・絶対に“本気”にさせるから、佐久間くんを』
「う・・・お、お手柔らかに・・・」
顔を上げたら、子供のような笑みを浮かべている
でもその目には、揺るぎのない決意のようなものを感じた
オレがめめにキスできるまで、あまり時間はかからないかもしれない