静まり返った道場の中、タクトは刀を手にして立っていた。周囲は淡い光に包まれ、静けさが心を落ち着ける。一方、向かい側には、無表情でただ佇む人物がいた。ミカエルだ。彼は以前の戦いでタクトと出会った高級悪魔であり、自信過剰なナルシストであった。
「タクト、今日はお前との稽古が楽しみで仕方ない。」ミカエルはそのまま口を開き、自分の美しさを強調するようにポーズを決めた。「この美しい戦士が、ついにお前に教えを授ける時が来た。」
タクトは内心でため息をつきながらも、冷静に刀を構えた。「それじゃあ、やるか。どれだけ美しいか、試してみよう。」
ミカエルは優雅に身を翻し、自信満々の笑顔を浮かべた。「お前が俺に勝てるわけがない。俺の力を見せてやる。」
「それはどうかな。まずは、来てみろ。」タクトは刀を前に突き出し、挑発的に言った。
ミカエルは一瞬の静寂を破るように飛び出した。彼の動きは流れるようでありながら、その全てが自己主張で満ちている。タクトはその動きを見逃さず、刀を持って迎撃する。
「おっと、そんなに焦ってはダメだ。俺の美しさを理解していないようだな。」ミカエルが優雅に刀をかわしながら、タクトを煽る。「もっと楽しんでみろ。」
「楽しんでる暇はない。」タクトは冷静さを失わず、切り返しに入り、ミカエルの脇を狙った。しかし、ミカエルはその攻撃を軽やかに避けてみせた。
「見たか?これが俺の優雅さだ。お前には真似できない!」ミカエルはまたしても自分を称賛し、自信満々に笑った。
タクトは一瞬、苛立ちを覚えたが、すぐにその感情を抑えた。「ナルシストの戯言は聞き飽きた。そろそろ本気で来いよ。」
「本気だと?お前はまだまだ俺のレベルに達していない。」ミカエルは挑発的に言い返し、再び突進してきた。
タクトはその動きに合わせ、刀を振り下ろした。ミカエルはそれを避け、背後に回り込もうとしたが、タクトは一瞬の閃きを持って反転し、刀を振りかざした。
「しっかりと見ておけ、タクト。これが俺の本当の力だ!」ミカエルは空中でひねりを加え、華麗な攻撃を仕掛けてきた。しかし、その瞬間、タクトは自らの心を集中させ、刀を持ってその攻撃を迎え撃った。
「来い!」タクトは全力で刀を振り下ろし、ミカエルの攻撃を弾き返した。
「ぐっ…!」ミカエルは一瞬の隙を突かれ、驚愕の表情を浮かべた。その隙を逃さず、タクトは一気に攻撃に転じた。
「何が美しいだ、これが本当の戦いだ!」タクトは力強く刀を振り上げ、再度攻撃を加えた。
ミカエルは必死で受け止めようとするが、タクトの攻撃は圧倒的だった。彼は次第に追い詰められ、焦りを感じる。「くっ、こんなはずでは…!」
「俺はお前のように自分を過大評価するつもりはない。だが、悪魔の力を侮るな。」タクトはそのまま攻撃を続けた。
ついに、タクトはミカエルの足元を狙い、斬撃を加えた。ミカエルはバランスを崩し、地面に崩れ落ちた。
「い…いかん…、これは…!」彼は驚愕の目でタクトを見つめながら、自分の力の限界を悟った。
タクトは刀を地面に突き立て、ミカエルを見下ろした。「今日はお前の優雅さが通用しなかったな。次回はもっと覚悟を決めて来い。」
「お前の力、認めざるを得ん。」ミカエルは悔しさを押し殺しながら、苦々しい笑みを浮かべた。「だが、俺はまだまだ終わらん。次はもっと強くなってやる。」
タクトはその言葉を聞きながら、心の中で決意を固めた。これからの戦いに向けて、自分の力を磨く必要があると強く感じたのだった。
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