コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
学年一の優等生様には
才能がないらしい。
# prsk夢小説注意
# 魔法学園パロ
⚠今回微キャラ崩壊注意
2023/11/03
________
「 ねぇ。 」
「 わっ!? 」
僕が声を掛けると、
吃驚したような表情で、
こちらを見る彼女_いや、朝比奈さん。
「あれ?生徒会の…白月さん?」
どうやら朝比奈さんは僕のことを
知ってるよう。
「…あ、えっと、初めまして。」
「生徒会副会長、白月夜です。」
とりあえず自己紹介をし、
ぺこりとお辞儀をする。
ついでに名刺も渡しとく。
「初めまして。3-B所属の朝比奈まふゆです。よろしくお願いします。」
「先程は突然大きな声を
出してしまい、すみませんでした。」
“ 丁寧な人 “
彼女のこの姿を見て、最初に思ったこと。
第一印象というものだ。
綺麗に整えられた服に、
寸分の狂いもない、最敬礼。
“ただの生徒会副会長の僕に、
同級生の人が最敬礼をしていいのだろうか “
そんな疑問が頭をよぎるけど、
やられて嫌な気持ちになる訳では
無いし、とりあえず触れないでおこう。
「どうしたんですか?屋上に来て」
僕に向けられた笑顔。
いつも学校で皆に見せている、
変わらない笑顔。
その顔で聞かれた。
ここが都会の街であれば、
僕は彼女にときめいたんだろうが、
今はときめくどころか少しぞっとした。
「あ、あぁ。屋上から音がしたから、
来てみたんです。不審者でも
入り込んだら、困りますから。」
これは本当。
この学校はセキュリティがかなり厳しい。
先生も職員も生徒も、全員が
3重のロックを解除しなきゃ入れない。
逆に言えば、たった3重のロックを
解除してしまえば入れてしまうということ。
けれど、セキュリティはパスワードや
顔認証など、本人が
居なければ解除出来ないものばかり。
しかもパスワードに関しては
完全に自分だけの特別なものなので、
友人家族…学校でさえ知らない。
(というか知らされないし言わない)
だからこの学校に、不審者は
設立以来入ってきたのは1桁台らしい。
(※全員捕まえられてます※)
…その中でも、僕は抜け道を知っている。
放課後のこの時間、
生徒はほとんど下校し、多分隣の寮で
各々勉強やら読書やら
睡眠やらをしている頃だと思う。
先生も広い寮へ見回りに5人くらい行き、
職員室にいる先生も減る。
招集をかけたって、すぐには
集まらないのが現状だし。
そんな時間帯だからこそ、
不審者が入ってきていたら
かなり面倒なことになる。
本当は”生徒会長”がいつも校内の見回りを
することになってるんだけど、
今は色々あっていない。
僕だって魔力がそんなにある訳じゃないし、
ましてや魔法なんて同級生の方が
使えるんじゃないかってなるくらいだ。
つまり、不審者が出てくるとなると、
『かなり面倒』だし『困る』。
(これ重要(多分))
「そうだったんですね、騒音を
出してしまいごめんなさい。」
先程自己紹介で最敬礼をし、
つい数分前90°に戻ったばかりだと言うのに、
またもや朝比奈さんは最敬礼をかます。
…社会出てから強そうだなこの人。
とまぁそんなことはどうでもよくて。
「あの、朝比奈さん。」
「はい?」
僕が声をかけると、
すぐに反応してくれたので、勢いで聞く。
「…せ、生徒会…っ、入りませんか?」
5秒。
10秒。
30秒。
…1分?
体感五分くらいの沈黙が続き、
目の前の優等生さん…いや、
“素の朝比奈まふゆ”が口を開いた。
「無理」
冷たい声だった。
先程まで明るい声で、笑顔で
接してくれていたのが嘘だったように。
または幻、もしくは夢のように。
丁寧な敬語も消え失せ、
暗闇に染まっているような、
そんな声で答えを聞いた。
「…え?」
驚く僕の口から零れた言葉。
「…なんで、私を誘うんですか?」
どうしたんですかと聞いてきた時とは違う、
わかりやすい、作り笑顔で
彼女はそう聞いた。
「才能が、あると思ったから」
そう答えた。
実際、実技の授業では
えげつない程の魔法を使い、
尚且つ魔力切れをほぼ起こさないという、
学園にとって最高と言えるほどの生徒。
生徒会としても、
欲しいか欲しくないかと問われれば、
欲しいと即答しそうなもの。
「…ざけ…い……っ」
「…?」
声のボリュームが所々小さかったり
大きかったりしたのと、
丁度風が吹いたのとで
聞こえなかったので、耳を澄ました。
「ふざけないで…っ!!」
澄ました直後、耳に刺さるような
静かな怒声が2人きりの屋上に響いた。
「…私には、才能なんてない」
…ん?
は?え?
“ 才能なんてない “ ?
何かの自慢だろうか?
実技の授業で、魔力切れをたったの1度も
起こさずあんな大規模な魔法を使ったのに?
成績優秀者の欄に、毎回
トップ3には入っているのに??
意味不明。
それが僕のたどり着いた答えだった。
「あったとしても、この学校には
必要ないし、使い物にならない。」
高みの見物?高飛車?
私には才能がありすぎるからここまでくるとないも同然ですーみたいなこと??
それとも、ただ自己肯定感が
めちゃくちゃ低いだけの人?
どっちにしろ、何故「才能はない」発言を
したのかちょっと分からない。
「そんなこと…」
咄嗟に口に出てきたその慰めは、
朝比奈さんには効果なんてなかった。
「そんなこと?…私には才能なんて…」
勝手にぶつぶつ独り言タイムに移行した
身勝手な優等生さんに、
僕はまたもや言葉をぶつける。
「そんなことない、!だって授業で
だってあんなに活躍して…!!」
「黙って。」
ちょうど冷たい風が吹いたのも相まって、
彼女の言葉がさらに冷たく感じた。
「私には才能なんてあっちゃ駄目なの、
あってはならないものなの。」
才能が、あっては駄目なもの、
ならないもの?
そんな常識を持ってる人なんて、
多分この世でこの人だけだと思う。
「…二度と、そんなこと言わないで。」
そんなことを言われた直後、
朝比奈さんが
僕の方に向かってきたと思ったら、
「忘れてね」
そう言い、屋上から去った。
NEXT