テラーノベル
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レコーディング終わりのスタジオ。
元貴はソファーに寝転がってスマホを触っていて、若井はギターを片付けていた。
涼ちゃんは少し離れた椅子に座ったまま、ずっとメモ帳を握っている。
「……」
何回も開いては閉じて。
その様子に若井が気づく。
「なにそれ」
「えっ」
涼ちゃんがびくっと顔を上げる。
「いや、なんかずっと見てるから」
若井が笑う。
元貴もソファーから顔だけ向けた。
「なになに」
「…..あ、ただのゴミ」
そう言いながらも、涼ちゃんは少し迷ったあと、意を決したみたいに口を開く。
「……あのさ」
「んー?」
「今度、3人で遊園地行かない?」
その瞬間、
元貴と若井が少しだけ固まる。
「……遊園地?」
若井が聞き返す。
涼ちゃんは慌てて続ける。
「え、いや、嫌なら全然いいんだけどっ」
「なんか……急に行きたくなって」
「……」
若井と元貴が顔を見合わせる。
正直、珍しかった。
涼ちゃんから“遊びに行こう”なんて言い出すこと、ほとんどない。
だからこそ。
「……行く」
若井がすぐ答える。
「え」
「行きたい」
元貴も笑う。
「俺も。なにそれ、普通に楽しそうじゃん」
涼ちゃんは少し目を丸くして、
それからふわっと笑った。
「……ほんと?」
「ほんと」
若井が即答する。
その笑顔を見た瞬間、
2人とも少しだけ安心する。
最近の涼ちゃんは、どこか無理して笑ってる感じがしていたから。
「じゃあ他にもさ」
涼ちゃんはメモ帳を開く。
「温泉とか、花火とか……」
「めっちゃあるじゃん」
若井が笑う。
涼ちゃんは少し照れたみたいに笑って、
「……いっぱいやりたいことあって」
って小さく言った。
その時の2人はまだ知らない。
それが、
“残された時間でやりたいこと”だったなんて。
次回1000
コメント
1件

あれ、目から水が、、