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あの「ラッキースケベ事件」以来
俺とリリアーヌの間には、これまでとは明らかに質の違う、妙に甘ったるくて
それでいて火花が散れば一気に爆発しそうなほど熱く、濃密な空気が流れていた。
「……ねえデューク。あの日から、贈り物の回数がおかしくありませんこと?」
月明かりが青白く差し込む夜のバルコニー。
リリアーヌは、俺が贈った「月の雫」と呼ばれる大粒の真珠が星屑のように散りばめられた
最新作のドレスを身にまとい、困惑したように小首を傾げていた。
夜風に揺れるその姿は、この世の美の結晶そのものだ。
「おかしくない。むしろ足りないくらいだ。リリアーヌ、君の価値を時給換算したら、この国の国家予算なんて3秒で溶けるんだぞ? これくらい、福利厚生の一環だと思って受け取ってくれ」
「福利……? また貴方はそうやって、私に理解できない変な言葉を……。でも、今日のこのお酒、少し……回るのが早いですわ」
彼女の頬が、冷たい夜風に当たっているはずなのに、熱を帯びた林檎のように赤く染まっている。
普段の刺々しい「ツン」がどこか遠くへ影を潜め、トロンとした、熱っぽい瞳で俺をじっと見つめてくる。
……マズい。これ、前世のゲーム画面だったら
『選択肢:A.キスをする B.押し倒す C.とりあえず脱ぐ』が、画面いっぱいにデカデカと表示されるシーンじゃないか。
俺の理性サーバーが、かつてないほどの高負荷で悲鳴を上げている。
すると、そのとき
「デューク……あの日、貴方が仰ったこと。……私を、一生離さないって。あれは、その……本当に、本気なんですの?」
震える、消え入りそうな声でリリアーヌがそんなことを聞いてきた。
彼女は、原作の残酷なシナリオでは「誰からも愛されない絶望」ゆえに、自分を守るために悪女の仮面を被らざるを得なかった悲しい少女だ。
俺は迷わず、彼女の華奢な肩に、熱い掌を置いた。
「本気に決まってる。俺はリリアーヌというただ一人の女性に人生を捧げる。何度だって、君の耳にタコができるまで言ってやるさ」
「……っ! よ、よくもそんな恥ずかしいこと、息を吐くようにサラサラと言えますわね……っ」
リリアーヌはたまらず顔を両手で覆う。
だが、隠しきれない耳たぶまでが真っ赤に火照っているのが、月光の下ではっきり見て取れた。
「でも…私は、貴方に酷いことばかり言ってしまうのに。……私の、どこがそんなに好きなんですの……っ」
「リリアーヌのそういうところが好きだからな。リリアーヌの言葉は、俺の脳内辞書では全部あべこべに変換して受け取ってるし」
「あべこべ??」
「反対の意味、つまりリリアーヌが俺を『嫌い』って言うのは、『好き』って意味なんだろうな解釈してる」
「なっ……! き、嫌いは嫌いですわ! デュークのことなんて、ただの婚約者というだけで、べ、別にそこまで好きじゃないんですから……っ!」
「そうか、そこまで好きか。嬉しいな」
「~~っ!! 黙らっしゃい!」
彼女は真っ赤な顔で、ポカポカと俺の胸を小刻みに叩く。
マッッッッジで可愛すぎてやばい。